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中国、深刻な裁判官不足 滞る給料・過重な仕事量 全人代報告

2006年03月12日 | 国際
中国、深刻な裁判官不足 滞る給料・過重な仕事量 全人代報告 (産経新聞) - goo ニュース
【北京=野口東秀】中国で開会中の全国人民代表大会(全人代=国会)は十一日、最高人民検察院(最高検)と最高人民法院(最高裁)の活動報告を行った。「劣悪な待遇」や「過剰労働」が裁判官の不足、質の低下を生み、司法腐敗に結びついている。
報告では裁判官の「法に対する能力と水準の向上」が重要課題に挙げられた。暴力的言動や知人が絡む訴訟などに対する情実判決が目立ち、昨年一年間で延べ十一万人の裁判官に「育成訓練(再教育)」を施したという。
背景には、過剰労働や劣悪な待遇による人材の流出がある。
広州テレビによると、広州では、人員不足のため多くの裁判官が一人で年間二百-三百件の案件を抱えている。経費不足も深刻で、中国紙「第一財経日報」は「湖北省のある裁判官の月給はわずか二百元(約三千円)」と報じた。同省高級人民法院(高裁)副院長の事務室では、電話代はおろか給料の支払いも何カ月も滞っている。
全国の下級裁判所の約六割が経費不足に陥っており、人材確保にも影響が出ている。多くの裁判官が弁護士に転職。法律専攻の大学生も裁判所への就職を避ける傾向にある。山東省の三十余の下級裁判所では長年、新任の裁判官がおらず、ここ五年で約四百七十人の裁判官が辞職または移籍している。人員が補充されても、司法試験に合格していないため、裁判官に任命できない例もある。
最高人民法院の蕭揚院長は「司法と地方政府が癒着し、法治の原則を脅かしている」とし、地方政府が裁判所の経費や人事を管轄する構造を根本的問題に挙げている。 →情報源

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…そんな有様だから、麻生外相に「台湾は民主主義を信奉する、法治国家というか地域なわけですが」と言われるんじゃないですかね。明らかに「台湾は民主主義で法治国家だけど、中国は違う」と言ってるようなものですから。ずいぶんと前に、「裁判官が袖の下しだいで量刑を幾らでも変えてしまうから、いっその裁判官をロボットにすればどうか」という新聞記事を取り上げたことがあったと思うんですが……あんまり変わってないというよりは、むしろ悪化しているような。
だいぶ前に、「政治家の収入を一般市民並に引きおろすと、かえって生活のために賄賂を受け取り、癒着がより多く起きかねない。政治家は生活を心配せず、小金に揺らぐことのないよう、ある程度金持ちのほうがいい」というような意見をどこかで見たことがあるんですが、こういう中国の現実を見ると、確かに一理あるなぁと思ってしまいます。「貧すれば貪す」ということわざもありますし、なかなか自分が飢え死にしようとも清廉潔白を貫く、というのは難しいんじゃないですかね。誰しも、自分の生活がまず大事でしょうし。
中国は空母なんか作って喜ぶよりも前に、こうした社会基盤への投資を先にやるべきじゃないでしょうか。北朝鮮見てても思うんですが、長期的に国家を経営するのなら、もうちょっと金の分配を考えたほうがいいと思うんですけどね。明らかになんか、こう…生活よりも趣味に金を回して、挙句破産してしまう人を見るような痛々しさがあります。
「衣食足りて礼節を知る」ということわざもありますし。北京オリンピックでマナーがどうこう、というよりもまず、「法治国家」として成り立つことが先なんじゃないですかね。