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脳死を人の死と認めることには反対です…③

2009年06月29日 | 脳死・臓器移植

以下は、五島メンタルクリニック様のHPからの転載です。

 
(A)臓器移植が正しい医療ではない理由

1:医療は与えられた患者一人で完結すべきであるのに、移植は第三者を巻き込む。
その巻き込み方は様々であるが、本来「脳死」臓器移植は殺人、心臓停止後の角膜・
腎臓移植は死体損壊、生体肝移植などは傷害の罪に当たるはずである。

2:臓器移植は本質的に人肉食(カンニバリズム)に通ずる残酷な行為であり、
人肉食が許されないのであれば、臓器移植も許されるべきではない。

3:移植は自分が生きる為に他人の死を期待する医療で、未来永劫にわたって人間
精神の荒廃を招く。臓器提供者の善意はなるほど貴重なものであろうが、その善意
は残念ながら善意で終わらず、人の欲望を増幅させる効果を持つ。

4:移植は人を単なる部品の集まりと見る人間機械論で、これは人の命の唯一性を
否定するものであるが、移植後免疫抑制剤の投与を要することや、心肺同時移植を
受けた患者が臓器提供者の性格や食べ物の好みをすっかり受け継いだ実例などは、
臓器が交換可能な万人共通の機械部品とは異なることを示し、その論理の破綻は明
らかである。

5:移植推進派は移植を受ける側(レシピエント)の命のかけがえがないことを強
調する一方で、臓器提供者(ドナー)の命のかけがえのなさは無視して人の命に軽
重をつけ、更に部品交換を強行することで命のかけがえを狙うという二重の誤りを
犯している。

6:人は他の人格を必ず目的として扱うべきでこれを手段としてのみ扱ってはなら
ぬというカントの定言律は、時代と国境を越えて通用する普遍的道徳律であり、こ
れこそが人を他の動物から区別する条件だとされる。臓器移植はまさに他の人格を
手段としてのみ扱うものであり、移植推進派は人であることを放棄するつもりなのか?

                   
(B)脳死状態を人の死と認めるべきではない理由

1:身体が温かく、皮膚の色もよい脳死状態の人を死体と思えないのは人情の自然
であり、また脳死状態からの妊婦の出産も何例も報告されている。

2:心臓が止まって身体が冷たくなって行くことで泣く泣く愛する者の死を受容れ
るという誰にも納得できる死の基準を用いるのは、人類何万年の経験智であり、
文化である。

3:脳死を個体の死と見て全ての臓器・組織をばらばらに摘出してよいなら、将来
的には首のすげ替えまで行き着くのを禁止する論理はないが、それを認めるか?

もしこうした文化論を移植推進派がなお単なる感情論だと強弁し、もっと理性的に
議論せよと主張するのならば、彼等は以下の科学的事実に反論する義務がある。即ち、

4:脳死状態で体温が正常に保たれるのは、脳の体温調節中枢の機能健存を示すも
のであり、また脳の視床下部からの或る種のホルモン産生も認められている。現在
脳死状態での世界最長生存記録は、5歳の時に脳死に陥ってから16年以上生存して
いる小児で、その間身体的にはほぼ正常の発育を示している。

5:脳幹死をもって人の死とする英国で、ドナーの皮膚切開による血圧上昇(即ち
脳幹機能の存在)、心拍促進や体動が多数例で見られ、1985年に報告されている。
現在欧米では脳死ドナーの臓器摘出手術時に麻酔をかけており、旧厚生省の臓器摘
出マニュアルにも麻酔器の設備が示されているのは、脳死患者が痛みを感ずる(即ち
生きている)ことを移植医が知っているからに他ならない。

6:1998年にサンパウロ国立大学脳外科教授から筆者宛に届いた外傷性脳虚血の動
物実験成績では、脳血流がある程度減少すると、シナプスの機能が抑制される為脳波は
平坦になって脳死判定基準を満たすが、脳細胞は生きており、脳を冷やすと脳血流が
増して脳機能は回復するという。

これはまさに日大で始められた脳低温療法の画期的成果を実験的に裏付けるもので
ある。一方この時人工呼吸器を止める無呼吸テストをすると、脳血流が臨界値以下
に低下して脳細胞は死んでしまうので、同教授は無呼吸テストは脳死の診断法では
なく作成法だと結論しており、脳死判定基準から無呼吸テストは削除すべきであろう。

なおこの成績からは、真に不可逆的な脳機能の廃絶は脳低温療法を行って見なけれ
ば診断出来ないことが結論され、貴院における法的脳死判定で「脳機能の回復不能
が分かった」と主張される先生の論理には根拠がないと言わざるを得ない。

7:脳死問題に関しては、国際的に著名な3人の学者の編集で、11名の著者の論文
を集めた単行本Beyond Brain Death:The Case Against Brain Based Criteria
for Human Death,Dordrecht,Kluwer Academic Publishers,2000が出版され、哲学的、
文化的、医学的、すべての面から、脳死状態は人の死ではないことを徹底的に論考
しており、筆者も1章を執筆している。



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