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高尾山を守る(2)大自然の宝庫を一体誰が壊すのか

2009年10月15日 | 地球・命・健康

高尾からのリポートより http://homepage2.nifty.com/takao-san/repo.html


水、土、木、鳥…巨大な命「人が造れぬもの壊すな」


2008.4.2 東京新聞

★高尾山圏央道トンネル 最終局面

ブナ、カシ、シュンラン…。多様な木々と希少種の植物、四季折々の美しさを
見せる緑深い高尾山(東京都八王子市)。都心から約 50km。休日には親子
連れや外国人も多く訪れるこの山は先月25日、未買収地の明け渡し期限
切れを迎えた。反対する市民を押し切って、いよいよ圏央道のトンネルが山を
貫こうとしている。

★八王子JCT 広がる北側 深い緑に突如道路

沢伝いに南側のコース「6号路」を行く。せせらぎの音が心地よい。清らかな
空気に梅の甘い香りが混じる。日差しが樹木の葉一枚一枚を照り返す。どこ
からか、まだ上達しきってないウグイスの声が聞こえてくる。

「疲れた時、鬱屈(うっくつ)した時、ふらっと歩くのがいい。山の霊気に触れ、
半日歩くときれいな心になる気がする」とジャーナリスト・辰濃和男さん(78)

(中略)

「水湧く山と呼ばれるほど水が豊かな山。しかも都市近郊では数少ない原生林に
近い森が残る巨大な生命体」
わき水の出る妙音谷を通る。工事の影響は不明だが、
最近、地元の人が沢枯れを報告している。

高尾山トンネルに先駆けて完成した八王子城跡トンネルの工事では、城跡のシン
ボルの滝が水枯れし、工事差し止めを求める民事訴訟の判決でも、地下水位低下や
滝の水枯れは工事の影響と推認される-と指摘された。

「高尾山には地下水脈があり、豊かな土壌にもたっぷり水が保たれている。全国
各地のトンネル工事でも地下水位低下や沢枯れが報告されており影響がないわけが
ない」

頂上に着き「4号路」に。ブナやモミの大木を通り過ぎ、北側の斜面に立つ。突然
風景ががらりと変わる。眼下に巨大な八王子ジャンクションが広がり、のんびり
した鳥のさえずりは、ひっきりなしに通る車の音にかき消されがちだ。何本もの
コンクリートの道路が山を取り囲み、貫く。

「高尾山は、薬王院を中心に『殺生禁断』の教えで千年守られてきた山岳信仰の
霊山。トンネルは似合わない。車で10分20分早くなるとしても、国定公園で
あり、都民の宝物である山を貫く必要が本当にあるのか。一度壊してしまったら、
自然の生態系は二度と元には戻らない」

★共同購入地にDJら集結

高尾山は風致保安林、特別鳥獣保護区、都立高尾陣馬自然公園にも指定され、
「都心から約50㌔に、これだけの自然が残るのは奇跡的」と、ミシュランの日本
旅行ガイドで京都、奈良などと並び最高の三つ星に輝いた。


カンアオイ、シュンランなど都指定の7種の希少種を含め、 1100種とも1300種
とも言われる植物が自生。昆虫も5000種以上いるという。オオタカなど150種以上
の鳥が確認され、ムササビ、イノシシも生息する。


旧建設省は1968年に調査を開始したが、工事計画は84年にようやく発表。地元や
全国の、高尾山に惹かれた人々が、共同で高尾の土地を買った。工事差し止め
訴訟には高尾山に魅せられた外国人も加わる。年間200万人以上の人が訪れ、移り
住んできた自然学者、外国人も少なくない。


(中略)

都心から1時間 高尾山の魅力


★「渋滞解消」胸張る国 識者「スピード命は時代錯誤」

国土交通省相武国道事務所(八王子市)は「都心部の慢性的な渋滞解消のための
三環状線の一つ。昨年6月に、あきる野-八王子ジャンクションが開通し、中央
道と関越道がつながり圏央道の交通量が60%伸びた。

周辺道路の渋滞解消にも効果が出ている」と胸を張り、自然破壊についても
「八王子城跡の工事では、地下水位が約30㍍低下したが現在6割目復した。
川の水が減ったが、これは工事に関係しているか調査中。現在の工事は水環境に
影響は与えていない」と言い切る。

・・・しかし、高尾自然科学博物館の学芸員だった新井二郎氏(62)は
「地形が多様でさまさまな植生が見られ、希少種も都指定の7種だけではない。
自然すべてが影響し合いバランスを取っている。水環境に配慮した特殊工事と
いっても削った山や工事個所は水脈が変わらざるを得ず、影響がないはずはない。
影響が出た時はもう遅い」と警告する。

・・・東京学芸大の小泉武栄教授(地生態学)も
「世界遺産に匹敵する奇跡の山。600㍍しかないのにブナの大木があり、1300種
とも言われる植物が自生する。日本中にこんな山はない。
一度壊すと生態系は
元には戻らない。今からでも工事は中止し(圏央道は)迂回させるべきだ」。

「高度成長、スピード命、道路を造れば幸せになるという人間中心の二十世紀の
価値観の中で作られた計画は、もう時代錯誤ではないか。未来の子どもたちに
日本の豊かな自然を残したい」。前出の辰濃さんも言う。「人間の手で造れない
ものは壊してはいけない」

(後略)
※下の画像(トンネル)がまだ工事中の段階での、付近の状況です※
●圏央道のトンネルで御主殿の滝や城山川に異変が起きています。


●圏央道八王子城跡トンネル……快適さの犠牲になるのは
2度と取り戻す事ができない自然の姿と営み、動植物の命






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