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「中国の現状と今後」石平氏講演…7

2009年09月02日 | 【講】中国の現状と今後

【7】石平氏講演/中国の現状と今後


・・・労働力の安さこそ、中国経済のアキレス腱」ということ。

大体、中国経済が今まで伸びてきたのを見てきた人は、このタイトル見ただけで
ビックリ仰天する。というのは今まで皆の常識になってるのは中国の労働力の
安さこそ中国経済発展の原動力だということ。それは確かに(そう)ですよ。

どうして労働力の安さが原動力になったかというのはまず輸出ですよ。中国が
毎年20何%の輸出拡大(が出来たのは何故か)別に中国の車が世界中で売れてた
わけじゃない。中国が売ってるのは高い付加価値があるものじゃないんですよ。

高級時計とか高級なネクタイとか、私のネクタイ安いんですけれども、あるいは
高級車とかそういうもんじゃない。中国が売ってるのは大体僕たち貧乏人の、
まあそういうもんですわ。そういうものは付加価値が低い。国際市場で売る為に、
結果的に競争力のポイント(になるもの)は安さ以外に何も無いんです。

安いから売れる。だから中国の輸出した製品が世界を支配してしまった。made 
in China 勿論毒餃子と一緒に売る(笑)ボロは安く作らなければならない、
当然労働力も安いものでなければいけない。

実際、中国政府はこの10何年間、輸出を拡大させる為に、意図的に為替相場を
操作して出来るだけ人民元を安くした。その結果、何が起きたか。一般の労働者や
国民、エリート達や金持ちは別にして、の賃金を低く押さえつけたんですよ。それが
中国の輸出をここまで拡大させてきた1つの大きな理由。

しかしね、今回輸出がダメになったからと、内需拡大と言っても、あまりにも
ムシが良すぎる。今まで輸出のために皆の給料を低く設定したのに今回は内需
拡大だと言ったら、当然労働力の安さが問題になるんです。労働力安いから、
皆の給料安いからそんなに消費能力はないんですよね。そこがまた中国経済に
とって(問題)

もう一回まとめてみると、昔は輸出を頼りにして経済を引っ張ってきた。輸出の
拡大の決め手は労働力の安さ(だった)しかし、まさに労働力の安さが原因と
なって、ずっと中国が内需不振、国民一般の消費能力がそれほど高くない。

輸出がダメになると内需拡大に経済発展の将来を託すしかない。しかし今まで
安く抑えつけられた賃金、賃金の水準を抑えつけた事が、逆に今回は内需拡大に
とってのネックになるんです。まあ、これは簡単な構造、中国政府がやった一番
得意な技が結果的に裏目に出て、これから自分達の首を絞める。

もう1つ、中国にとって内需拡大がかなり無理な理由がある。国民的保険システムが
整備されていない(こと)皆さんは信じられないかも知れませんが2007年の
段階でも、中国国民全体、もちろん農村も含めて65%の人々が医療保険には
入ってなかったんですよ。今年は多少改善したと言ってもやっぱり国民の半分
位が、あるいは大半が、医療保険がないことは事実です。

それで皆さんも、テレビで見ても分かるように、今中国で医療費が高騰してまし
てね、農村だったら大体、農民の場合は癌の病気でもなんでも死を待つしかない。
1回病院に行ったら家が潰れるんですよ。1回病院で手術でもすれば全財産が
なくなってしまう。

今でも覚えていますけれども、2007年かいつか、中国人民大会が開かれた時に
朝日新聞が、たまにいい事も言うんですよ、どういう社説を出してたかというと、
タイトルが「農民も病院へ行きたいでしょ」(というもの)そりゃ当然行きたい
ですよ。

どうしてこの社説を出したかというと、馬鹿な朝日新聞でも分かった、中国の
農民が病気になっても病院へ行けないという状況(が)

僕が、共産党を許せないと言うのはそういう所なんですよ。そのかわりお金が
あれば何をやるのかというと、軍備拡大をやるでしょう。有人宇宙船を飛ばす
でしょう。お前達、そんな事やるお金があれば農民1人でも助けて下さいよと



「中国の現状と今後」石平氏講演…6

2009年09月02日 | 【講】中国の現状と今後

【6】石平氏講演/中国の現状と今後


中国の外貨準備高、あれは別に中国政府が稼いだわけじゃないでしょ。企業が
稼いだ、中国国内の企業が海外に向けて商品を輸出して、それで外貨を稼いだ。
しかし中国独特の外貨管理制度下では、企業の稼いだ外貨が、企業の手に直接
入って来ない。

全部一旦は中国政府、具体的に言えば中央銀行の所に留まる。そして中国政府が
その企業の稼いだ外貨と同額の人民元を企業に渡す。という事は、今中国が持って
る外貨は既に人民元として国内で流通してるんですよ。

だからそのお金はもう外貨としての意味しかないんですよ。もう、1回人民元に
して中国で使ったら、要するに無いお金を使ってしまうという事になる。だから
出来ない。

出来ないからどうするか、結局アメリカの国債買うしかない。だから今中国の
外貨準備高が逆にアメリカに拉致されてしまう。アメリカの国債買う以外に
使い道は無いの。それが中国の、温家宝達のかなり苦しいところ。

しかし、じゃあ皆さんは、中国はアメリカの国債売ればいいじゃない(という
けれど)そんな事も出来ない。売れば暴落する。誰が損するか、また中国が
損する。どっちみち温家宝が大変という事は確実。要するに、経済を輸出で
引っ張ってきた、この構造が段々おかしくなってきた。

もう1つの投資、投資は皆さんご存知のように、1つは不動産投資ですわね、
いわゆる固定資産投資、一部は不動産投資。もう1つは企業による設備投資。
しかしね、企業が色々設備投資をやリ過ぎると、どういう問題が出てくるかと
いうと、中国語で「産能過剰」になる。

どういう意味かというと、生産能力が過剰になる、余ってしまう。簡単な話
工場を作りすぎた(けど)消費がそれ以上伸びない(ということ)そうすると、
過剰出資。

実はこの問題2006年から中国で既に発生してきている。工場を作りすぎた
結果、産能過剰という事になってる。

例をあげますと、中国の携帯電話。2006年の段階で中国は、携帯電話の市場が
伸びてるから一斉に携帯電話の市場に参入して関連企業を一生懸命作った。携帯
電話を生産する工場を作った。2006年の段階で、中国の国内で作った携帯電話
関連の工場がどれほどになったかというと、あの頃の工場を全部フル回転させたら
1年間で5億台の携帯電話を作れるだけの(数)になったんです。

しかし2006年の段階で、中国の携帯電話の年間販売台数は7千万台くらいです。
7千万台に対して、産能だけは5億台、確実に過剰出資。

いつまでも投資の拡大で経済を引っ張っていく戦略のリズムが狂ってくる。要
するに永遠に続かない。今まではね、産能過剰のかなり大きな部分を輸出で
吸収してもらえばよかった。輸出が伸びてれば、過剰の部分は吸収されてしまう。
しかし、一旦輸出が止まってしまえば、過剰問題がまた生じてくる。

じゃあこの問題をどう解決するか、経済学的な常識に照らせば、そのやり方は
簡単。投資も輸出も減ったら、それをカバーするのをどうすればいいかというと、
議論としては簡単、要するに内需寛大。

国民に消費を拡大させる。そうすることによって輸出で減った分(余った製品)を
吸収させる。投資した産能もまた(内需拡大による消費で)吸収してもらえる。

ですから去年から中国政府も内需拡大、内需拡大とまるで馬鹿のひとつ覚えの
ように毎日言うんですけど、しかし、この内需拡大が果たして出来るかどうか、
そこがまた問題です。結論から言えば、それはまだ無理。どうして無理かと
言うとー

大変大事な論文が最近見つかったんですよ。ここも以前から同じこと言ってます
けれども、5月の30日、2週間前に中国の国内新聞で発表された3つの論文。
論文の書き手は中国社会科学院公共管理と政府政策研究所の経済学博士の馬 
光遠(バ・コウエン)さん、彼のこの論文を見つけたあとは、私は個人的に馬さん
こそ一番かわいい中国人だと認定しております。

じゃあ何を彼が書いたかというと、論文のタイトルは「労働力



「中国の現状と今後」石平氏講演…5

2009年09月02日 | 【講】中国の現状と今後

【5】石平氏講演/中国の現状と今後


輸出が伸びると原材料も設備投資も勿論増える。要するに経済というものはそう
いうものですよ。1つの原動力、エンジンが発動している(状態)たとえば私が
このマジック(インキ)1つ買うと、あるいは日本国民が1本買って1億本これが
売れたら凄い経済効果でしょう。そういう生産する色んな機械も売れますし1本に
関わるメーカーは何百、何千あるんですよ、それが経済の成長ですから。

(中国経済を引っ張ってきた)2つの馬車(投資、輸出)が、この十何年間ずっと
走ってきたから、中国経済が繁栄してきた。問題は、2台の馬車で経済の成長を
引っ張っる戦略が、永遠に続くかどうか。しかし、そこが問題ですが、大変楽しい
事に、私からすれば大変嬉しい事に、これは続かないです。

どうして続かないかと言うと、いつまでも輸出の拡大が(続く事が)前提になって
いるからです。世界市場が永遠に拡大する。世界の市場が常に増える、世界の
景気が常に良くなる。この前提で中国の経済は回っているんですよ。

一旦中国の得意先であるアメリカ、日本、ヨーロッパの経済がダメになったら
この馬車が止まってしまう。そして大変嬉しいことに、このことが現実に起きた。
アメリカ発の金融危機で、世界同時不況。

それが中国の輸出産業にとって、去年の秋位から凄く大きな打撃(になった)例え
ばね、私のところに、中国の経済に関する嬉しいニュースが多く来るんですよ、
勿論私にとっての嬉しいニュースです。胡 錦濤にとっては悲しいニュースかも
知れませんが。

今年の1月から5月、中国の海外輸出がだいたい20何%のマイナス成長。そこ
皆さん考えて、大きいでしょう。昔はプラス20何%の成長、今はマイナス20何%。
マイナス20何%とプラス20何%、その差は数字で言えば50%以上ですよ。

中国にとって、この構造(2台の馬車=投資と輸出)が段々崩れてしまう。ただ、
今、中国にとって救い(の可能性)は、世界経済が急速に回復するかどうか。実は
ね、私もそう言うし、中国の国内学者もそう言うんですよ。

(これは)中国国営のいちばん大きな通信社、新華社の記者が色々経済問題取材
して書いた文章ですけども、彼が言うように、今中国の経済成長にとって最大の
困難が何かというと、輸出の縮小、萎縮。それが最大の困難であると(書いてある)

要するに、中国の経済成長の大きな部分は、私から見れば今までは他力本願。
大体中国はね、共産党は外にでて偉そうな事言うでしょう。本当は偉そうな事
言う立場じゃないよね。お前達の繁栄も発展も、政権の正当性も、外国のお客
様の財布をあてにしているんだもの。その・・結果的にアメリカのバブルの崩壊。
そこが中国にとってかなり致命的なダメージ。

しかも、そこから経済にとってさらに問題が生じたことは、外貨準備高の問題。
ご存知のように中国は今1.9・・何兆ドルの世界一の外貨準備高、あれを見て
中国は大丈夫、あんな外貨を持ってれば大丈夫だと思うんですけれど、しかし
大丈夫じゃない。

どうしてかと言うと、正直、今中国が持っている外貨準備高が、中国国内の問題
解決に、何の意味も無い。どうして無いかというと、この外貨は、中国国内で使う
事は出来ない(から)

どうして出来ないかと言うと、それは簡単な話。ご存知のように、中国が外貨を
国内で流通させないから。要するに人民元と外貨を遮断する為替政策やってる
からです。