【4】石平氏講演/中国の現状と今後
中国にこの十何年間の成長率はずっと10%前後、要するに絶対8%以上の成長
率でやってきている。そのお陰で中国の経済も繁栄して、外貨準備高も世界一に
なって、金持達が銀座に来て買物する,そういう国になった。
しかも共産党が常に、これをもって自分達の政権を正当化できる、というような
状況にある。しかし問題はこの十何年間、特に南巡講話以来の何十年間、どう
やって中国が常に8%以上の高度成長を成し遂げてきたのか、その理由は何
だったのか、という事なんですね。ここから考えなければならない。
その問題に対して、中国国内ではかなり(有名な)慣用句、つまり、経済学者も
一般の知識人もよく使う1つの言葉があるんですよ。「二台の馬車」、要するに
この十何年間で、中国の高度成長を牽引してきた、引っ張ってきた原動力とは
何か、それは二台の馬車だと。
じゃあ二台の馬車は何かというと、◎投資、◎輸出、端的に言えばこの2つです。
1つは投資、特に中国の場合は政府の力が強いから、政府による財政出動による
投資、投資による拡大。とにかく投資する、固定資産投資、あるいは工場作ったり
あるいは鉄道作ったり、あるいは空港作ったり、あるいは不動産作ったり、とに
かく建物作ると経済が成長するのよ。成長率とはそういうもんですよ。ここに建物
作って、これまた壊して成長率になるんですから。それが投資になる。
実はここも数字あるんですよ。ここ十何年間、毎年中国の固定資産投資の伸び率は
大体25%から30%の間だった。今年の1月から5月までの固定資産の伸び率は
32%、さっき申し上げたように、経済全体の成長率は10%程度、それに対して
固定資産投資は25%~30%まで。要するに経済全体の成長率を大幅に上回って
いるんですよ、投資の部分が。
とにかく銀行はみんな国家の銀行ですから、やり方は簡単、銀行からお金を引き
出して投資すれば成長率も上がるし、関係者はみんな懐が潤う(わけ)
大体中国の地方で、地方の幹部の汚職の一番の財源は不動産です。あれ(ほど)
凄いの見たらさ、日本の政治家の汚職は可愛い程度のものですよ。あの宗男さんが
捕まったの、中国から見れば可愛そうなものですわね。
※以下に、済州と書いてある箇所、正確かどうか分かりません
去年ね、滄州、凄く不動産投資が盛んな土地、あそこの市長が捕まったんです。
けれど滄州市の市長、あいつの不動産からの収賄額が1億元ですよ。簡単に計算
すると15億円。そりゃスケール大きいでしょう、ただの滄州の市長。
今でも印象にあるんですけど、いつか自民党の橋本さん?総理大臣やった橋本
龍太郎、何かお医者さんの会から(日歯連)1億円もらっただけで大変な事に
なったんですけど、中国の場合、滄州の市長だけでも15億円堂々と懐に入れる
んです。
そういう構造の中で、とにかくみんな投資やるんですよ。一般に・・でいっぱい
話が出るんだ。水の無い川でダムを作る事もある、いやほんとほんと。僕の作り話
じゃない。とにかくダム1つ作ると、関係者みんな何万位かは(懐に)入るん
ですから。しかし、水が無いのにどうやって作るかというと、そこはまた中国人の
知恵ですね。
どこかの大学の教授にお願いして、教授に賄賂、袖の下を渡して、その教授が論文
を書く。「実は今は水が無いですけども、・・水が出る」とか。まあそれは別の話。
これが、1つの、中国の経済を引っ張ってきた大きな原動力。
もう1つは輸出。中国は1990年代の末にWTOに加入してから輸出が毎年
莫大に増えたんですよ。大体それも、今まで十何年間、中国は毎年の対外輸出が
総額、大体、毎年25%から30%までの伸び率。
要するに皆さん、中国がどうして経済成長したかというと、結果的に皆さんが成長
させたという事。日本国民もアメリカ人も中国の労働買うから。それで中国は成長
した。
その1つの典型がアメリカ人です。とくにこの十何年間、アメリカ人バブルやって
るから。あの連中は金あっても無くてもとにかく消費する、消費癖。中国の対米
輸出が毎年何十%の増加です。それで中国の経済を、この2つで引っ張ってきた。