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「中国の現状と今後」石平(せきへい)氏講演…4

2009年09月01日 | 【講】中国の現状と今後

【4】石平氏講演/中国の現状と今後


中国にこの十何年間の成長率はずっと10%前後、要するに絶対8%以上の成長
率でやってきている。そのお陰で中国の経済も繁栄して、外貨準備高も世界一に
なって、金持達が銀座に来て買物する,そういう国になった。

しかも共産党が常に、これをもって自分達の政権を正当化できる、というような
状況にある。しかし問題はこの十何年間、特に南巡講話以来の何十年間、どう
やって中国が常に8%以上の高度成長を成し遂げてきたのか、その理由は何
だったのか、という事なんですね。ここから考えなければならない。

その問題に対して、中国国内ではかなり(有名な)慣用句、つまり、経済学者も
一般の知識人もよく使う1つの言葉があるんですよ。「二台の馬車」、要するに
この十何年間で、中国の高度成長を牽引してきた、引っ張ってきた原動力とは
何か、それは二台の馬車だと。

じゃあ二台の馬車は何かというと、◎投資、◎輸出、端的に言えばこの2つです。

1つは投資、特に中国の場合は政府の力が強いから、政府による財政出動による
投資、投資による拡大。とにかく投資する、固定資産投資、あるいは工場作ったり
あるいは鉄道作ったり、あるいは空港作ったり、あるいは不動産作ったり、とに
かく建物作ると経済が成長するのよ。成長率とはそういうもんですよ。ここに建物
作って、これまた壊して成長率になるんですから。それが投資になる。

実はここも数字あるんですよ。ここ十何年間、毎年中国の固定資産投資の伸び率は
大体25%から30%の間だった。今年の1月から5月までの固定資産の伸び率は
32%、さっき申し上げたように、経済全体の成長率は10%程度、それに対して
固定資産投資は25%~30%まで。要するに経済全体の成長率を大幅に上回って
いるんですよ、投資の部分が。

とにかく銀行はみんな国家の銀行ですから、やり方は簡単、銀行からお金を引き
出して投資すれば成長率も上がるし、関係者はみんな懐が潤う(わけ)

大体中国の地方で、地方の幹部の汚職の一番の財源は不動産です。あれ(ほど)
凄いの見たらさ、日本の政治家の汚職は可愛い程度のものですよ。あの宗男さんが
捕まったの、中国から見れば可愛そうなものですわね。

※以下に、済州と書いてある箇所、正確かどうか分かりません

去年ね、滄州、凄く不動産投資が盛んな土地、あそこの市長が捕まったんです。
けれど滄州市の市長、あいつの不動産からの収賄額が1億元ですよ。簡単に計算
すると15億円。そりゃスケール大きいでしょう、ただの滄州の市長。

今でも印象にあるんですけど、いつか自民党の橋本さん?総理大臣やった橋本
龍太郎、何かお医者さんの会から(日歯連)1億円もらっただけで大変な事に
なったんですけど、中国の場合、滄州の市長だけでも15億円堂々と懐に入れる
んです。

そういう構造の中で、とにかくみんな投資やるんですよ。一般に・・でいっぱい
話が出るんだ。水の無い川でダムを作る事もある、いやほんとほんと。僕の作り話
じゃない。とにかくダム1つ作ると、関係者みんな何万位かは(懐に)入るん
ですから。しかし、水が無いのにどうやって作るかというと、そこはまた中国人の
知恵ですね。

どこかの大学の教授にお願いして、教授に賄賂、袖の下を渡して、その教授が論文
を書く。「実は今は水が無いですけども、・・水が出る」とか。まあそれは別の話。

これが、1つの、中国の経済を引っ張ってきた大きな原動力。

もう1つは輸出。中国は1990年代の末にWTOに加入してから輸出が毎年
莫大に増えたんですよ。大体それも、今まで十何年間、中国は毎年の対外輸出が
総額、大体、毎年25%から30%までの伸び率。

要するに皆さん、中国がどうして経済成長したかというと、結果的に皆さんが成長
させたという事。日本国民もアメリカ人も中国の労働買うから。それで中国は成長
した。

その1つの典型がアメリカ人です。とくにこの十何年間、アメリカ人バブルやって
るから。あの連中は金あっても無くてもとにかく消費する、消費癖。中国の対米
輸出が毎年何十%の増加です。それで中国の経済を、この2つで引っ張ってきた。



「中国の現状と今後」石平(せきへい)氏講演…3

2009年09月01日 | 【講】中国の現状と今後

【3】石平氏講演/中国の現状と今後


共産党が、そういう政策転換をやった原点は、どう考えてもやっぱり天安門
(事件)を隠したい、天安門というキーワードを人々の記憶から消したいという
ことです。それはかなり成功したんですよ。

今,中国国内は、大半の収入あるエリートとかは、天安門の事はもう何かという
事は忘れたという人が形作っている。まだ忘れてないのは一部の変わった者達、
まあ僕みたいな変わり者が忘れてない。

大体利口な奴はみんな忘れてしまっている。一生懸命市場経済の中で波に乗って
頑張っている。それが中国がこの20年間、共産党の安定に繋がった要素だと
私は思います。

天安門事件以来20年間、中国で起きた変化の意味がそこにあると思います。
そしてその結果、何がもたらされたかというと、1つは皆さんご存知のように、
反日的(な感情)。2005年の反日デモを頂点とした、「とにかく日本は悪い、
何もかも日本が悪い、とにかく日本は憎たらしい」そういうような20年間の
それ(教育)

実はこの20年間、日本は中国に対して何も悪い事していない、にも関わらず
とにかく日本が悪いという事で、結果的に2005年の、私から言えば理由無き
反日運動が(起こった)

2005年に日本は中国に対して何も悪い事やってないですよ。日本は国連の
常任理事国に入るかどうかの問題でデモがおきたでしょう。別に日本が常任
理事国に入るのは中国にとって悪い事は何も無い。

2005年の反日デモは、この20年間の、いわゆる江沢民政権の天安門隠しの
マジックにある流れが1つの頂点に達したということ。

しかし大体ね、頂点のなかの時に裏目にも出たんです。2005年の反日デモを
注意深く見てますと、あれさらにね、1ヶ月やっていれば、見事に反政府デモに
転換してしまう。そういう胡 錦濤から見れば危険性、私から見れば希望に満ちた
可能性が(あった)そういう可能性があったんです。

それで胡 錦濤達も、何が分かったかというと、要するに反日、愛国主義という
火をみだらに点(つ)けるという事は、彼達自身にとっても危ないということ。
場合によっては、この火が自分達のお尻の下に延焼してくるかも知れない。

ただあれ以来ね、中国共産党がちょっと反日とか、今でも反日やってるんです
けどちょっおとなしくなったんですよ。皆さん今振り返ってみれば分かるで
しょう。あれ以来、日本に対してそれほど言わなくなった。

勿論そういう効果を挙げたもう1人功労者がいたと思いますが、小泉さんです。
とにかくあの5年間、靖国に参拝したという事が、何を中国共産党に分からせた
かというと、要するに日本の総理大臣は「お前達の話を聞かなくてもいい」って
こと。

それで彼等に分からせた事は、今の中国共産党は反日もやりますし、愛国運動も
やってるけれども、この愛国教育1つで政権をまとめるというマジックは限界が
あるという事。それが1つ。

もう1つ、ここが一番大事だと思いますのが、さっき申し上げたように、南巡講話
以来中国共産党は、愛国主義教育と同時にもう一方の政権維持の(為の)国策で、
結果的に市場経済を発展(させてきたこと)みんなに儲けさせる、その代わりに誰
も中国共産党政権に反対を言わなくさせた。

その政策も1つ大きな限界があるんです。かなりこの政策とった20年間成功して
きたんです。何が限界かいうと…

要するに20年間経済の繁栄と成長をもって中国共産党の政権の正しさを証明する
でしょう。毎年6月4日、要するに天安門事件の記念日の日、北京の外務省の記者
会見やってる場で、必ずどこかの外国の記者が「今日は6月4日、天安門事件に
対して中国政府はどう評価するか」という質問をぶつける。

そうすると、中国政府の答は決まっている、常に決まっている。どういう答かと
いうと、「今の我々中国は、経済成長で繁栄している。この経済の繁栄がまさに
天安門事件に対して我々が取った鎮圧が正しかった事の証明です。天安門事件を
鎮圧したからこそ、今の繁栄がある」という言い方。

おそらく中国国民の多くもこの言い方には納得する。ほら、あれで鎮圧したから、
今我々が繁栄しているんじゃないか。そこが中国共産党の老獪(ろうかい)さ、
凄い上手です。

しかしね、ここにも必ず落とし穴がある。この落とし穴が何かと言うと、20年間
そういう事をやってきて、じゃあ何が起きたかというと、中国共産党が(その)
政権を守れるかどうかは経済の成長に依存してしまうという構造になってしまった。

要するに経済が成長すれば中国共産党は正しい。もし経済がダメになったら、この
天安門事件の鎮圧が正しかったという論理が通じなくなる。どういう事かというと
中国共産党がこの20年間やってきた中で、自分達の運命を経済成長に託してしま
ったという事。

しかし、歴史的、長期的な視点からすれば、それは彼達にとっても大変危険な話。
というのは経済が永遠に成長する国はどこにも無いから。経済というのは成長する
時もあれば、また落ちる時もある。経済が決して胡 錦濤の話を全部聞くわけが
ないでしょ。

別に経済に対して秘密警察を使って胡 錦濤の話を聞かせることは出来ないから。
経済には経済自身の法則があるでしょ。上がる時もあれば落ちる時もある。

中国共産党が天安門事件以来(とってきた)、経済の繁栄をもって天安門での鎮圧
の正しさを表明するという論理はいずれ必ず裏目に出る。その時、要するに経済が
落ちた時はどうするか、という事です。

そういう意味で、皆さんもご存知かもしれません、僕も産経新聞にも書いているん
ですけれど、最近中国で、巷間でよく使う言葉「保八:ほうはち」保八とは何か。
八は成長率の話、要するに経済の成長率8%。保は保つ、死守する。要はどんな
事をやっても8%の成長率を保たなければならない。

どうしてそんな事を言うのか。要するにこの成長率から下がると半年、1年間なら
いいですけど、2、3年間8%以下の成長率やってると中国共産党政権が持たない
という事。

それがさっきの話と繋がっているんです。要するに彼達は、結果的に共産党政権の
運命を、具体的に言えば8%の経済成長率に託してしまっている。ここから問題が
生じていく、あるいは可能性のあるドラマが生じていく。

彼達が果たして永遠に8%を保つ事が出来るかどうか、そこから私の楽しみも生じ
てきます。これからは、この問題で行きます。



「中国の現状と今後」石平(せきへい)氏講演…2

2009年09月01日 | 【講】中国の現状と今後

【2】石平氏講演/中国の現状と今後


エリートと知識人と、あるいは一般人民に対して、1つの悪魔の契約を、この
レジュメにも書いてあるんですけれど、持ちかけた。どういう契約かというと
「これから我々は市場経済は許す」と(いうこと)

実は天安門事件以前は、中国共産党は完全な市場経済は決して許さなかった。
常に経済を自分達のコントロールする範囲の中で(動かした)いわゆる、鳥篭
(鳥篭経済)

経済を鳥だとすれば、常に籠に入れるんですよ。それが天安門事件までの中国
共産党がやった経済政策ですけども、南巡講話以降、市場経済をやった。市場
経済は誰でも参入できる。お金と資本と・・と技術と能力があれば誰でも参入
できる市場経済になった。

じゃあ 小平は実際、何の契約を持ちかけたかというと、「これから中国は市場
経済になる。誰でも儲かるチャンスがある。だからみんなで金儲けに没頭して
欲しい。その代わりに天安門の事とか政治の事とか共産党の・・がいいかどうか、
そんなどうでもいい事全部忘れてください。」そういうような1つの契約をみんな
に持ちかけた。

勿論それで大半の中国エリートも知識人も、能力のある奴は皆一斉にこの契約に
飛びついた。それ以来、中国(人)は段々天安門の事も政治の事も民主運動家の
事も、独裁政権がどうなるか、そういう事を誰も言わなくなって、関心を全部
失ってしまった。

みんなの関心はこっち(金)に向けさせられた。その結果、20年間、天安門事件
以来の20年間、中国はかなりの成長、経済の発展を成し遂げまして、その中で
かなり大きな一部の人々、すごく金持ちになったんですね。要するに、昔は民主化
運動を一生懸命考えてたエリートの人達も、今はこの20年間の中で金持ちに
なったという事。

その代わりに、民主化運動も完全に空洞化してしまう。それが僕から見れば南巡
講話の・・。それでこの20年間、かなり中国は色々な問題抱えてても中国共産党
政権はかなり安泰であった。特に南巡講話からの18年か17年間、ほとんど中国
は政治的動乱もなく、政治的には平穏無事を保ってきました。

それが 小平がやった1つのマジックですね。基本的に時代のパラダイムという
ものを政治から経済にシフトさせる、そうする事によって国民のエリート達の関心
を全部金に向かわせる事によって、誰も政治に対して関心を持たなくさせる。そう
すると、逆に共産党政権はその分だけ安泰になるという事。

もう1つは、 小平が指示したかは定かではないんですけども、南巡講話とほぼ
同じ時期から、皆さんもご存知と思いますが、江沢民政権になっていました。江
沢民政権がやったもう1つの国策とは何か。要するに愛国主義教育と、それにセット
された反日教育です。

僕から見ればそれも1つの天安門(事件)隠しの魔術です。その論理的構造も簡単
ですよ。要するに、中国の外に、日本という仮想の敵を作り上げてそれに若者達の
憎しみとか警戒心を全部日本という悪者に向かわせる。そうする事によって天安門
の事もみんな忘れてしまう。

そしてまた、今回愛国主義という看板を掲げている。さっき申し上げたように、
もう天安門事件以降もいわゆる中国共産党のイデオロギー、神話に対して誰も
信じなくなったんですわね。

今度は共産主義という既に信用失墜したイデオロギーにとって代わって愛国主義と
いう新しいイデオロギーを持ってきて、共産党政権の正当化の根拠にしたんですよ。

皆さん考えてみれば分かるように、大体90年代から中国国内で起きた大きな変化
はこの2つです。1つはみんなが反日になった事と、もう1つは、中国の経済が
発展したこと。

今振り返ってみれば、この2つの大きな変化の意味、どうしてそういう変化が
あったのか、その背後には結局天安門があったんですよ。



「中国の現状と今後」石平(せきへい)氏講演…1

2009年09月01日 | 【講】中国の現状と今後

石平氏:石平(シー・ピン、せき・へい 1962年 - )は、中国生まれの中国系
日本人(1世)の評論家。2007年末に日本に帰化。主に日中の政治・経済外交
問題について論じている・・wikiより




【1】石平氏講演/中国の現状と今後


まあ、それはちょっと余談ですけれど。話の本題にもどりますけれど、要するに
その時もし 小平がそこまでの非常手段を取らない限り、おそらく中国共産党
政権は崩壊していたんです。

だから最近もよく中国が崩壊するかどうか議論されているところですけども、あの
政権ははっきりと言って、いつでも崩壊するかもしれないという危険性があると
いう事。

現に1年前に、崩壊する寸前のところになったのは事実であって 小平がそれで
民主化運動を鎮圧したという事でかろうじて彼達の政権を崩壊から守ったんですよ。

しかし、それで彼達が払ったリスク、要するにコストもかなり大きい。1つのコスト、
リスクは、ああいう行為に出てしまった事で、今までの中国共産党自分達の政権を
正当化する根拠を失った。

今まで共産党というのは宣伝が上手で、あいつらどんな悪い事をやり通しても常に
言う「我々の政権は人民の為の政権だ。我々は私利私欲は何も無い」ー要するに
泥棒が「私は絶対私利私欲のために泥棒をやって(るわけじゃ)ない」と言ってる
論理であって、天安門事件以前ね、僕達若者も含めてかなりの中国人が信じていた。

実際、僕達も馬鹿だったんですよ。天安門事件でもかなりこの部分は信じてた。要
するに、中国共産党がいくら何でもそんな人民を鎮圧することは無いだろうと高を
くくっていた。しかし、それが見事に裏切られた。

裏切られた結果、天安門事件の後に、一般の中国のエリート、知識人、多少頭の
ある国民の、中国共産党に対する信頼は完全に失った。というのは、誰でも知ってる
(ように)あれで殺されたのは、丸腰の何の罪も無い若者達というのは天下周知の
事実になった。その事実の前で、当時の中国の知識人もエリート達もすべて、中国
共産党は人民の為にある政権であるという論理が完全に崩れて(しまった事を知った)

じゃあ中国共産党は何だったのか、そういう根本的な懐疑、根本的な疑問がその頃
から生じてきたんです。ですから天安門事件の後で、 小平達が言った。武力で
鎮圧したと。しかし彼達にとって1つ大きな課題が残された、要するに武力では
いつも政権(を)維持する事は出来ない(ということ)。彼達にとって、天安門事件の
後の大きな課題とは何か?(それは)中国共産党政権の正当性(です)

正当性、根拠を新たに作らなければならない。一旦崩れた国民の中国共産党に対
する支持を何とかやはり取り戻したい。我々の政権は正しい事をやってると証明
しなければならない。

彼達の知ってるように、武力で国を治めることが1年間出来たとしても、永遠に
できる訳がないから、じゃあそれでどうするか。そこで 小平が色々考えた結果
2つの、私から見れば政権維持の(ための)新しい戦略を打ち出した。

1つが、経済成長、経済の成長と繁栄。それをどこで打ち出したかというと中国の
エンダイ?市場で、まあ勿論これは無いですわね…無いものづくしですわね。

そこから出た話、エンダイ?市場ではかなり有名な「南巡講話」要するに、その時
には 小平は実際の公職から退いたんですけれど、突然、中国の南、広州、深セン
とかそういうところに行って一連の講話をおこなった。それが南巡講話。

じゃあ彼等、講話でどういう事を喋ったかというと、基本的に一言「お金」ですね。
彼等はその(話の)中で、1つのポイントは、中国はこれから全面的に市場経済を
やる(と言った)。どうして市場経済をやるのか、やっぱり豊かにならなければ
ならない、その為には市場経済を全面導入して、経済発展のためにみんな一緒に
やろうと。

表向きはそういう事ですけども、実際この南巡講話の意味は、私から見れば、中国
共産党、 小平が中国のエリートと