昨日の夜に団体のオンラインミーティングがあり
その時に「しまっちゃうおじさんみたい」って
私が不用意に言ったところ、
他の人もツボに入ってしまって
しばらく『ぼのぼの』の話題をしていたので
つい気になって『ぼのぼの』の絵を色々と見ていたら
”映画がすごくよかった”とあったので
ふーんと思って気になってしまい
探してみたらアマプラにあったので見ていたsachiakiです。
『ぼのぼの』とは、いがらしみきお作の
ラッコの子供とその子の周りで起こる不条理な
4コマ漫画なんですけれど、
よく哲学的とも言われていて
思春期では普通に笑っていたことだけど、
今見直すと「深い……」という話ばかりで
『ムーミン』に匹敵するすごい漫画なんじゃないかな?
なんてことを思ったりしています。
いがらしみきおさんの作品は
そのあとも哲学的なものが深くなっていき
山上たつひこさん原作の『羊の木』は
映画にもなったりしています。
原作とは当然のように設定も違うそうですが
どちらも気になるので見てみたいと思います。
さて、その『ぼのぼの』の映画ですが
1993年というおおらかでアニメでの実験に
協力的な雰囲気だった頃の作品なので
非常にクオリティがいいです。
音楽がゴンチチだよ!?びっくりだよ。
エンディングは大沢誉志幸で、これもびっくり。
声優陣もいまは亡き方がちょいちょいいらして
主人公のぼのぼのくんの藤田淑子さんの声を聞いた時には
思わず泣きそうになりました。
脚本・監督はみずから手掛けられて
いがらしみきおさんがされており
あの絵本風の温かい絵柄で制作されていました。
で、肝心の話といえば
ぼのぼのの暮らしている森に
「なにかでかいものがくる」というだけで、
その詳細のない情報で踊らされる子供たちと
「でかいものがくる」がそれは何もしないってことを知っている
大人たちの中で「なにかが変化する」と信じているものがいて
それを信じる要因となった一つのできごとを巡り
信念と信念がぶつかりあう話と
映画を通して「楽しいことはなぜ終わってしまうのか」が
なされていました。
エンタメを希望する人たちにとっては
なにも起こらない映画なので「???」ってなると思いますが
「なにも起こらない」ことと「なにも変化しない」は
イコールでないことを知っている人にとって
けっこうグッとくる話なんじゃないかなと思います。
森を守る役割を担い最強の座を持っていたヒグマの大将の信念
「命をかけて守ることはしてはならない」と
「目的のために生きてはならない」のスナドリネコさんの対決は
カントの話かと思うぐらい深くてビックリしました。
なぜ命をかけて守ることをしてはいけないのか
それはそれが行われた時に必ず命の取り合いになるからで
ヒグマの大将は自らその信念のために
守れる立場にいたにも関わらずコヒグマを守らない
というシンドイ選択をします。
結果的にコヒグマはピンピンしていて
「無茶をして生き延びられるのは幸運だ」と
喜ぶ大将とキョトンとしているコヒグマなんですけれど、
それを見守るしかできなかった大将の妻の心情を思うと
心がギュッとするしかないというかなんというか……。
スナドリネコさんは命をかけて守るという世界からものなので
大将に「命をかけてまもらなければならない時がきたらどうするんだ?」
という問いかけを過去にしていますが
大将は「命はかけない」と断言していたんですね。
それが彼の正義だからです。
そしてスナドリネコさんはその目的のために生きるのは
どうなのか?と問うていたんですね。
過去の問いを回収するように大将は目的を遂げたし、
スナドリネコさんは彼の正義を見守ったけれど、
ほんますごい話やなと。
私の好きな『トライガン』でも復讐は連鎖するから
堪えて欲しいと頼む話があって
苦渋の選択でその頼みを呑む話があるんですけれど、
それを思い出しました。
最近の世間では「復讐はした方がいい」その方が
いじめられるループを回避できるからとあり、
それは一理あるなと思うものの
私はそれは違うとも思っていて、
「反撃をする方がいい」が最適解なんじゃないかと思っているんです。
復讐はなにかが起こったあとでことを起こすことだけど、
反撃はなにかが起こっている最中に起こすことで
その場を持って終わりとすることができるからです。
復讐は連鎖し続けるけれど、
反撃は終わらせるチャンスがある。
その違いです。
もちろん反撃したことで、
さらに報復を呼ぶこともあるだろうけれど、
絶えず復讐に出るのではなく
迎え撃つのが義なんじゃないかなぁ。
と、話が逸れましたが『ぼのぼの』映画版
なにかのきっかけで見ることがあったら
ぜひ見てみてください。
最後にスナドリネコさんの名言をひとつ。
楽しいことは必ず終わるし、苦しいことも必ず終わる。
この世にあるのは全部必ず終わってしまうことばかりだ。
なぜだと思う?
それはたぶん、生き物というものが
何かをやるために生まれてきたわけじゃあない証拠だろう。
それではまた。モイモイ
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