constructive monologue

エゴイストの言説遊戯

すぺしゃる・りれいしょんしっぷ

2005年06月03日 | nazor
アメリカの一極構造を特色とする現代世界において、対米関係はどの国の外交政策にとっても重要な位置を占めることは明らかであろう。

そのなかで、対米関係を「特別な関係 special relationship」と位置づけている/位置づけようとする国家、あるいはそうみなされている二国間関係として、イギリス、イスラエル、日本の3カ国が挙げられる。特に、英米関係は、ユーラシア大陸の両端にあるという地政学的な観点から、日米関係の模範とされることが多い。

しかし、ここ最近の、中国や韓国における「反日」機運の盛り上がりを見た場合、アメリカとの「特別な関係」を柱とする日本の立場は、イギリスよりも、イスラエルのそれに共通性を見出せる。つまり、中東において、アメリカとの関係を誇示するイスラエルがアラブ諸国の「敵」としての役割を演じてしまっているように、現在の日本は、アジア諸国にとって、「敵」とはいかないまでも、各国のナショナル・アイデンティティーを強化する「他者」としての機能を否応なく演じているといえる。

しかも問題は、アラブ諸国にとってイスラエルは「全き他者」である点で、可視化されやすいが、日本はすくなくとも「アジア」の一員であることにもアイデンティティーの一部を求めていることから、より錯綜した関係性が現出することになる。

戦後日本外交が第二次大戦から学んだ最大の教訓が「アングロ・サクソン」との同盟路線であったが、それが含意しているはずの、イギリスの対ヨーロッパ大陸諸国との関係という側面が十分に視野に入らず、英米関係だけに光が当てられたことが、皮肉にも「イスラエル化」ともいうべき現在の状況を作り出していると考えられる。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 夢の鍵 | トップ | 顕教/密教 »

コメントを投稿

nazor」カテゴリの最新記事