constructive monologue

エゴイストの言説遊戯

phony alliance

2005年10月28日 | nazor
女性天皇:有識者会議の結論を尊重したい(『読売新聞』)

「日本」の根幹とされる天皇家の「御家断絶」がそう遠くない将来起こりうる状況が現実味を増している中、男系のみの継承条件を緩和する方向で決着が図られようとしている。

当然、『産経新聞』などに代表される(自称)真正保守派から反発の声があがっているわけだが(「皇室典範会議 女系天皇はさらに議論を」『産経新聞』10月27日)、このような男系のみの継承に固執する立場は、真正保守派と対極に位置するはずの天皇制廃止論者にとっても、魅力ある見解である。廃止論者にしてみれば、せっかく天皇家の血筋が絶える可能性が生じてきたにもかかわらず、女性天皇を認めることは天皇制の「延命」でしかない。

その意味で真正保守派の言い分は長期的に見た場合、廃止論者の目的に資するものである。伝統や格式といった「かたち」に囚われ、事の本質を見失ってしまうのは、第二次大戦末期「国体護持」を叫ぶあまり、終戦を長引かせ、結果的に彼らが嘆くような戦後民主主義体制が作り上げられたという点で、どうも真正保守派の性向のように思えてならない。換言すれば、戦略的に言えば、正しく善い意図が反対の望ましくない帰結をもたらすような行為は回避されなくてはならないはずだが、そこに「美学」を見出し、そして酔いしれ、長期的視野に欠けた行動に出るパターンに変化が見られない限り、常に足元を掬われる余地を残すことになる。

亡国や憂国を叫ぶ真正保守派の論理自体にそうした契機が内包されていることを皮肉にも暴露してくれる天皇制をめぐる議論は、まさに「日本」の根幹といえるだろう。
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