ブルックリン横丁

ブルックリン在住17年の音楽ライター/歌詞対訳者=渡辺深雪の駄ブログ。 そろそろきちんと再開しますよ。

181:「36マフィアのオスカー受賞…微妙だ。」

2006-03-06 | ブルックリン横丁
とりあえず突っ込んでおかなくてはならぬネタが思わぬところで浮上した。数日のタイムラグがありますがとりあえずアップ。最近は話題の映画も半年遅れくらいで見ることの多い、およそ映画フリークとは呼べぬワタシですがレッドカーペット・イベント鑑賞は嫌いじゃないのでとりあえずアカデミー賞も観てたワケですが。

主演男優賞とかメインの受賞者/作品リストは置いといて、やはりこのブログ的に衝撃的(笑撃的?)だったのは36マフィアの「オリジナル・スコア」部門にてのオスカー受賞。他のノミニーには巨乳カントリー婆さんのドリー・パートンとかもいたのに、だ。映画は「Hustle & Flow」、曲目は「It's Hard Out Here For a Pimp」。しかもソースアワードばりのパフォーマンス付き。勿論フツーにジーンズ&デカTシャツとかのファッション。(一応レッドカーペットでは正装してたようなのでホッとしたよ。何か。)ピンプのライフ・ストーリーっつーことで女性ダンサー陣はストリッパーまがいのエゲツないホー(売春婦)・ファッション。

受賞の発表はパフォーマンスの後だったのだが、まさか彼らがマジでオスカーを受賞するとは誰が想像していただろう。全米、いや全世界の茶の間が一瞬凍ったと思われる。その後のリアクションには喜怒哀楽悲喜こもごもだったんだろうけど。メンフィスは盛り上がったんだろうなぁ。私個人の感想としては「何も36マフィアじゃなくたって…」っすね。近年のアカデミー賞の視聴率の低迷とか、若者にアピールしたい作り手の意志とかはこの際無視で。コレは世界の茶の間にヒップホップ、ひいてはアメリカ黒人の何たるかという一案を提供する場となるプラットホームっすよ。それが何も「ピンプとホー」じゃなくてもよかろうに。日頃ヒップホップを毛嫌いしているビル・オライリーみたいな保守派のおっちゃん達が喜んで突っ込んでそうだ。「ほら!ほら!こいつら馬鹿!」って。真面目に働いてる黒人はちゃぶ台ひっくり返すね。っつーかもっと他にマシな曲は無かったのか…でもオリジナル・スコアだもんな…。ぶつぶつ…。彼らのパフォーマンスの間、「頼むからノリノリでダンスしてるウィル・スミスとかジェイミー・フォックスの姿とかを大映しにしないでくれ」とカメラマンに念力を送っちゃったモンね。

その後司会のジョン・スチュアートも36マフィアの大喜び様をしきりにネタにしてたし(「複数のノミネートを受けているジョージ・クルーニーよりもヤツらは嬉しそうだ」とか)、その後プレゼンターとして登場したジェイミー・フォックスも苦笑しながら「今日は36マフィアのアフター・パーティーに行っとかなきゃな」とか言ってたし。

なんだかなー。ついこないだまではハル・ベリー、黒人女性として初のオスカー受賞!フンガー!みたいな敷居の高いアカデミー賞だったのに。ジェイミー・フォックスだって「Ray」での怪演あってこそ、だし。そもそもテレンス・ハワードが主演男優賞にノミネートされてる時点で気に食わない。いい男だし鑑賞には値するしベイビー・ダディになってやると言われれば検討もするが(阿呆)、アータまだ早いわよ。「Hustle & Flow」だっていかにもMTV映画って感じだったしさ。アファーマティヴ・アクションだか機会の平等だか何だか知らんが、やはり犯してはならない聖域というものがあるでしょうに。どうせここまで来るのに相当時間がかかったんだから、遅れて名乗りを上げるならスタイリッシュにやらんかいな、と言いたいのだ。英語でも言うじゃーん、fashionably lateってさー。いや36マフィアが自分達から「くれ!くれ!」って言ったからノミネートされたワケじゃないことは確かなのだが。ちなみに元々あの曲は、映画の主人公のピンプ上がりのラッパー=DJayによるパフォーマンスということでテレンス・ハワードが依頼されていたそうだが本人は断ったそうだ。良かった。



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