心の休憩室 パート2

何度か中断していますが、書きたいことがでてくると復帰しています。

天国旅行

2014-07-08 20:45:56 | 日記

きみと出会い、きみと生きたからこそ、私はこの世に

生を受ける意味と感情のすべてを味わい、

知ることができたのだ。 きみにとっても、そういう存在で

あったのならばいいが。

 

太陽のように白いボールは、きみから放たれた輝く矢と

なって、いまも深々と私の胸に刺さったままだ。

 

焼いたらきっと、あの日私が目にしたままの姿で

恋の矢が出てくるだろうから、お骨のあいだを探して

ごらん。

 

砕いてきれいな首飾りにしても、夜空へ放って星を

増やしても、失われたきみの歯のかわりに歯茎に

埋めこんでも、好きに使ってかまわない。

 

私のすべてはきみのものだ。

 

きみと過ごした長い年月も、私の生も死も、すべて。

                     (遺言)

 

 

私はこれまでと同じように、これからも生きるだろう。

 

目立たず、だれかに特別に求められることもなく、

謎も秘密もなにひとつとして解き明かせぬまま、

淡々と生きるしかないだろう。

 

だけどその出来事は、たしかに私たちのなかに

浸みこんでいったのだ。薄紫の空に閃光が走り、

遅れてかすかな雷鳴が響くように。湖の真ん中に

できた銀色の波紋が、広がってやがては岸辺に

届くように。

 

それはゆっくりと押し寄せ、私たちの心を削り

取っていった。いや、研磨し、新たな形に生まれ

変わらせたのかもしれない。刀や宝石が、

そうして長い年月を持ちこたえるのと同じく。

 

たぶん何十年経とうとも、炎は赤く暗闇を照らす。

忘れることを許さずに。

                      (炎)

*****

 

三浦しをんさんの「天国旅行」から書き抜いてみたけど、

後で読んだら、どんな物語だったかすぐに思い出せるかなぁ。

 

 

 

 

 

 

 



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2 コメント

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Unknown (アップルパイ)
2014-07-08 21:42:21
すごくロマンチックで深い詩です

この本をよんでみたくなりました
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アップルパイさん (ベルク)
2014-07-08 22:12:23
まさしく、アップルパイさんのコメントどおりです。

この作品を読んだ後、最後の解説を読んでくださいね^^
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