「よがれ」と読む。
乃南アサの短編集。
女性心理の陰の部分を怖いくらいのリアリズムで描いた秀作である。
さすがは直木賞作家だと唸らせる。
友達の彼氏に思いを寄せた女性が、二人の結婚式のスピーチで、友達の過去の秘密を洗いざらい暴露する話。
人気歌手へのストーカー行為を繰り返す思い込みの激しい女性の話。
この話しはストーカー側から一人称で描いているところがすごい。
自分より美しい髪を持つ同僚に嫉妬したOLが事故を装い同僚の髪に火を点ける話等。
どの話も主人公の目線から描いているところが秀逸である。
実際に周りにいたら、かなり怖い女性も登場する。
本のタイトルにもなっている「夜離れ」
華やかな銀座のホステスが平凡な結婚に憧れ、OLとなる話。
自分の気持ちばかりを優先させた結果、男が離れて行ってしまう。
女の微妙な心理描写も上手いが男の心理描写にも納得できる。
この本に登場する女性、怖い女性だったり、思い込みが激しかったり、嫉妬深かったり、自分勝手だったり・・・
でも、どこか人間くさく、憎めないところもある。