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栗本薫さん逝去 グインサーガは未完に終わるのか?

2009年05月30日 | 雑談
  作家の栗本薫さんが、5月26日にすい臓がんのため56歳で逝去されました。夕飯時のニュースでその報道を見て、思わず「うそやろ」という言葉を発していました。そして、正直なとこ、ご冥福を祈るよりも先に「グインの物語はどうなるのよ」という思いがわきました。完成させずに逝ってしまうなんて・・・
 栗本薫さんは、中島梓としても評論活動や、脚本、演出家としても活躍する本当に多才な方でした。そして私が出会ったのが『グインサーガ』です。もともとヒロイックファンタジー系の作品が好きなのと、スケールの大きな壮大なストーリーが好みでした。そんな中、本屋にズラーとならぶこの小説と、当時天野義孝氏のイラストも好きで購入する事になったのです。出会ったのは18歳くらいの頃。
 
 

 『グインサーガ』は、79年に刊行され100巻を目標にした壮大なストーリーでした。架空の世界での国の興亡の中で様々な魅力的なキャラクターが織り成す壮大な物語。大国の興亡ですので三国志的な要素もあり、ヒロイックファンタジーなので、『ロード・オブ・ザ・リング』や『ハリーポッター』のような世界観もあり。その世界観の構築も見事なのですが、あくまでもこのサーガの最大の魅力はその登場人物たちにあります。そのキャラクターがいろいろからみ物語をうんでいきます。恋愛、友情、裏切り、様々な欲望もうずまき、様々な謎もあります。そもそも主人公のグインが豹頭なんですもん。なんで豹頭なの?って思うのですが、それも最大の謎なんです。これからの人生「なんでグインは豹男だったんだ」って生きていくのはちょっとスッキリしない。
 物語を読み始めると、読者はグインの世界へとトリップするのです。栗本氏をはじめ作家の方がいわれるのをよく耳にしますが、たしかな手ごたえを感じて書き進んでいくと物語が命をもってくるのだそうです、何かに操られるかのようにペンがすすんでいくと。その世界の出来事を文章にしている感覚に陥るそうなのです。そして私もグインの世界はどこかにある感覚を持つのです。それだけ、その世界の設定が綿密で、キャラもすごく活きている。物語の中で悲劇的な出来事もあるのですが、悲しみで泣いた覚えもあります。小説を読んであれほど号泣したのは初めてだったかもしれません。多感なあの頃だからだったかもしれませんが。
 そうやって語っている割には、実は126巻の内、30巻くらいで止まっているんです・・・しかし、読まないのだけどずっと購入していました。(これも相当めずらしいことだと思うのですが)完結したら、スッキリ読みきろうという思いもあったもので。この4月から日曜日の深夜にアニメ化もされ、また1巻から気合入れて読みなおしていたところでもした。最近、ちょっと購入していなかった分を中古屋で大量に100円で買ってしまい、こんな素晴らしい作品をこんな安価で購入してしまい申し訳なく思っていたところでした。
 闘病生活をされていたのは知っていました。グインファンならお馴染みのあとがきや、ホームページでその様子を見てなんとか書き続けてもらえると思っていました。この作品を未完で終わらせるはずがないと信じてもいました。しかし、相当な闘病生活を送られていたのだという事がこの訃報をきいて思いました。弱音を吐かない方だったんだなと、不屈の闘志で近年グインを書き続けていたのだと感じました。
 作者のライフワーク的な作品ですから、もちろん本人が一番無念なのはまちがいないです。ただし、少し厳しい言い方をすれば「100巻で終わらせれなかったのか」という思いもあります。終わらせようと思えば出来たのではないかと。世の中、ある程度の期限や枠があると思います。その制約の中で事を完成させるのもやはりプロの仕事。それこそ論文とかも原稿用紙何枚でまとめて提出しろとかあるじゃないですか。長ければいいというものでもない。泣く泣く文章を削る事もあります。ただこの人の中の、構想が膨らみすぎて抑えられなかったのかもれませんが・・・逆に100巻を越えてから、収拾がつかなくなってきたとこもあるのでしょうか。全部読んでないのでその辺を語ることが出来ないのに勝手な事をいっておりますが・・・とにかく、神様は彼女に物語を完結させませんでした。
 『グインサーガ』は多くの人々の心に入り込んでいる物語です。それは作者の思いをこえて拡がっていると思います。『グインサーガ』は未完で終わるのか?それとも誰かが引き継いで終わらせるのか?読者の中でも意見のわかれるとこだと思います。栗本薫の『グインサーガ』はこの方しか書けない。ただ私が感じるのは、この方はご自分のもしもの時も想定して、どなたかにプロットを話したりまとめられているのでは思うのです。ですから個人的には、誰かの手でグインの物語は何らかの形で完結させられるのではないかという気もするのです。
 前述しましたが、『グインサーガ』はどこかの世界の物語を栗本氏を通じて文章化していた感覚があります。誰かがその『グインサーガ』の世界と再びつながってくれればまた再開できるのではという期待をもたずにはいられません。
 一読者として勝手な事も記しましたが、栗本薫さま(本名:今岡純代)のご冥福を心からお祈りします。
 P.S. 6月7日(日)23時25分より追悼番組があるみたいです。明日31日(日)23時29分から第8話も放送です。


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