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ニュー・ジャック・スウィング Teddy Riley テディー・ライリー 80’S WORKS

2011年02月16日 | Producer
 91年の『DANGEROUS』からマイケル・ジャクソンとの強く結びついたテディー・ライリー。そして、昨年新作と銘打って発表された『MICHAEL』でもプロジェクトの中心的なメンバーとなっています。
 マイケル・ジャクソンは、その時代の最高のプロデューサーを選ぶ。クインシーとの出会いは、モータウンが制作した映画『ザ・ウィズ』ででした。
 ソロアルバムを制作しようとしていたマイケルが、様々な音楽に精通し、顔も広いクインシーに「誰かよいプロデューサーを紹介して欲しい」と頼みます。するとクインシー自らがかって出たと言う展開に。MJは、そんな事を期待して頼んだわけではないそうで、その答えは驚きだったと。でもほんとはクインシーのその言葉をまっていたんじゃないのかな~などと思ってしまうのですが。
 父親のジョーは、ジャズのイメージが強いクインシーに難色を示していたそうですが、まさに運命の出会いです。当時は、異種的な組み合わせだったのかもしれませんが、今となっては必然です。クインシー以外に誰がMJを頂点まで導けたというのかという感じです。
 
 そして、マイケル・ジャクソンはクインシー・ジョーンズと作品を作り上げていきます。最初の79年の『オフ・ザ・ウォール』でR&Bを制し、82年の『スリラー』でPOP、ROCKを制し、87年の『BAD』でKingと呼ばれるようになる。クインシー・ジョーンズとの三部作は歴史的な傑作だと思います。
 
 90年代に入り、MJが新たなパートナーとして選んだのがテディー・ライリーでした。テディと初めて組んだアルバムが91年の『DANGEROUS』。
 テディーとのつながりは、その後も続いていき、01年の『INVINCIBLE』、そして死後発表された『MICHAEL』までも。
 今回は、マイケル・ジャクソンがテディー・ライリーに目をつけるにいたった彼の80年代後半の主要なWORKSを紹介したいと思います。(あくまでもおいらの視点と好みでですが・・・)
 
 テディ・ライリーは1966年・NY生まれ。テディーの周囲にはヒップホップカルチャーが溢れており、そんな音楽を吸収し育っていく。テディ自身も、マネージャーのジーン・グリフィンのもと84年にティーングループとしてデビューしますがヒットせず解散。その後、プロデューサー/アレンジャーとして活動を開始。
 当初は、クール・モーディー、へヴィーD&ザ・ボーイズなどのラップ系アーティストを手がける。
 そしてテディーが初めてR&Bサウンドとして手がけたのが87年のKeath Sweat(キース・スウェット)のアルバム『Make It Last Foerver』。

Make It Last Forever

Elektra / Wea

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 ここから「I Want Her」がビックヒット(R&B1位/Hot100-5位)。テディーの初めてのメジャーヒットといえる曲です。私もほぼリアルタイムに聞きました。ボーカルのキースのねばっこいボーカルもあるのですが、当時は黒い音だな~って思うだけで、この特徴あるビートとスネア感はそんなにインパクトは感じませんでした。
 アルバムはテディーが全編手がけており、素晴らしい仕上がりです。打ち込み色は強いですが、テディーの抜群のセンスを感じます。
 80’S R&Bの代表作の1枚としてもあげたい。(実際、88年ビルボードR&B年間No1アルバム)曲がいいし、キースのボーカルもDeepでSoul。いそうでいなかったボーカリストでした。「Right And A Wrong Way」はテディの代表作バラードだと思う。すでにダウンローっぽい。後にマライア・キャリー&Joe他、いろいろカバーされる「Make It Last Forever」もすばらしいデュオバラード。「In The Rain」も雨の効果音の中、そのDeepなボーカルに没入する。
 87年はMJの『BAD』が発売された年でした。シングル「BAD」はシーンにも大きなインパクトを残しますが、88年のR&B年間No1シングルになったのは、マイケルではなくTeddyが手がけた「I Want Her」でした。(もちろんHot100ではMJの圧勝です、あくまでもR&Bチャートの話)この時、マイケルはテディーのStreet SOUNDを欲したのかもしれません。(*ちょっと不思議に思ったのが、記事にテディーのインタビューがのってて、実は『BAD』に参加予定だったとあるのです。ただまさに『BAD』製作期の87年は、まだテディーはそんなにシーンでは認知されていなかった。その辺りがちょっとよくわからない。)
 翌88年、テディーはさらに躍進します。R&Bでジョニー・ケンプの「Just Got Paid」が1位を獲得。テディー自身もこのヒットには手ごたえを感じたといいます。

Secrets of Flying

Sony

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 しばらくすると、このテディーの特徴あるビートは、ニュー・ジャック・スウィング(NJS)と呼ばれるようになりますが、おれを含めほんとにわかってる奴はどれくらいいるんだろ???おれ的には、この曲のHip Hop Taste溢れるリズム・アレンジとビートが初期のNJSにイメージに一番近いと思う。後にジャスティン・ティンバーレイク率いるインシンクも00年『No Strings Attached』でカバー。(もちテディーProduce)
 
Guy (Spec)

Mca

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 そしてテディ自身のグループ『GUY』も登場。これもCreativeな名盤だと思います。これまた黒いアルバムです。のってるテディーの溢れんばかりの才能が凝縮。3か月で仕上がったというのもわかる。ラフなとこもありますがそれがまたいい味を出しています。このアルバムからは、メガヒットシングルはでませんが、5枚の斬新なシングル(どれもちがったグルーブを持ってる)が次々きられ、シーンにインパクトを与えアルバムは売れていきます。
 (89年のビルボード年間R&Bアルバム1位にも輝く。2年連続Teddyの手がけたアルバムが年間1位になってる)この5枚のシングルのExtendedを収録したSpecial Editionも発売されています。
 このアルバムは、マイケルもお気に入りみたいで、特に「Spend The Night」がかなり気に入ったみたい。後のテディーと作り上げた「Remember The Time」につながっていった気もします。Romanticさも感じるNJS。ベスト盤などデジタルリマスターされていますが、当時わからなかったメリハリ感がかなり出ててteddyファンなら必聴。まさにTeddyのGrooveが凝縮された1枚。
 アーロン・ホールのSOUL&DEEPなVocalが全開の「Piece Of My Love」のような王道バラードもいい。R&Bの伝統と未来もつまった1枚。



 そしてボビー・ブラウンの「My Prerogative」です。Hot100/R&Bで1位。さらに89年の年間2位シングルにも輝きます。テディーはこの時点で頂点に一度たった感じです。この異常なまでにスネアを強調したドラムが斬新。(当時は思わなかったけど・・・)やはりExtendedをおさえとくべきでしょう。どちかといえば裏方のテディーより、ボビー・ブラウンの大ブレイクとなった曲ではありますが、シーンや業界的にはテディー・ライリーの名前が認知された。
 89年に入り、のってるテディーは、マイケルより一足はやくジャクソンズのアルバムに呼ばれます。

2300ジャクソン・ストリート

SMJ

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 それまでセルフproduceにこだわったジャクソン兄弟も、マイケルが抜けた穴を埋めるべくシーンの先端をいくトッププロデューサーの起用に動きます。その一人がテディー・ライリー。アルバムでは2曲手がけます。「2300Jackson Street」、曲はよいですが正直、バックトラックはいまいち。ここで注目されるのはDance曲の「She」でしょう。スネア感はMy Prerogativeな感じ。リードをとるのは末弟のランディー。けっこういい感じで歌っています。ただNJS全開のこの曲を歌う、ジャーメイン、それこそ80年代のマイケルのボーカルで聞いてみたかった。シングルカットはされていません。
 
 それからもテディーへのProduce依頼は増すばかり。ここにきて注目は、R&Bフィールドだけではなく、POPアーティストからの依頼。超異種と思ったのが元カルチャークラブのボーイ・ジョージも手がけます。さらに英国でおきたグランドビートの創始者Jazzy・B率いるSOUL Ⅱ SOULの「Keep On Moovin」をテディーがRemixするというかなり(わかる人にはわかる)衝撃的な出来事もおこります。スティーヴィー・ワンダーやクインシー・ジョーンズもTeddyにRemixを依頼しています。
 この辺からそういう単発のRemixの仕事も増えて、彼のWORKSも細かくなり追えなくなるのですが、メインどころの紹介です。89年は、クール・モーディーや弟が所属するラップグループ・レックスン・エフェクト(92年にランプ・シェイカーがメガヒット)には「New Jack Swing」という曲も収録されています。ボーカルグループ・Todayなどもてがけます。
 そんな中で89年にあげる作品は、デジャの『Made To Be together』です。

Made to Be Together

Atlantic / Wea

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 このアルバムもテディーが全編てがけます。デジャは男女のデュオ。1stはジャム&ルイスの同僚モンテ・モアが手がけています。テディの黒かったこれまでのサウンドとちがって、ちょっと都会的な感じもする音です。そう意味では新鮮でテディーサウンドの中でも貴重。
 90年にはいると、初期のNJSのイメージから次の段階に入った感じ。女性ボーカルをフューチャーしたスターポイント(4曲)、ゴスペルのワイナンズ(3曲)、グレン・ジョーンズ(1曲)、キース・スウェットの2nd(3曲)などてがけます。そんな中師匠であったジーン・グリフィンとも金銭面も含めもめてきます。実際、トラックを作ったり、Produceしてるのはテディーなのにクレジットはジーンの名前ばっか。ジーンとしては、才能はあってもまだ経験不足で若いテディーを指導・監督していたという意識があったと思うのですが、やはり若さあふれるテディーは反発したのでしょう。後に和解はするみたいですが(テディーは、ジーンの事をゴッド・ファーザーと呼んでるし)、この時の関係は最悪でコンビ解消。
 そんなわけでテディのクレジットは、ここでも後ろに追いやられているのですが、『ZAN』はこの頃のTeddy SOUNDの集大成的な印象ももつ1枚。

Zan

Warner Bros / Wea

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 ZANも才能感じるアーティスト。曲も書くみたいで、彼のカラーなのか「Want To Be With You」はメロウなバラード。これまでのテディーサウンドになかったSexyなバラードもある。Dance系もいい曲が続く。インストの「Love Juicy」もいい。
 
Guy the Future

Mca

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 そしてGUYの2ndがドロップアウト。シーンが注目した作品。1stはテディーはトラックに重点を置き、あまり表に出る感じはありませんでしたが、今作ではオープニングの「Her」から自らラッピンも披露。Teddyの主張をいたるとこに感じます。ジーン・グリフィンへの決別宣言、NJSフォロワーを皮肉る曲。一方、アーロン・ホールのボーカルを引き出す曲も忘れない。「Let's Chill」はめちゃ好きなバラード。
 そして、テディーは『BAD』の後のニューアルバムの制作に入ったKingのMJからお呼びがかかります。前にも紹介したように、テディーはMJに出し惜しみすることなくこの時点での自分のすべてのサウンドを提供します。そしてMJもそれをほとんど採用するのです。
 次回は、TeddyとMJの共同作業WORKSを紹介します。


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3 コメント

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Unknown (ノリ)
2011-02-18 22:20:48
この頃のテディ・サウンドはお気に入りばかりです!
キース・スウェットといい、GUYといい、バラードが良いですね。
Deja、ZANが懐かしくて思わず引っ張り出してしまいました。
この時代はワイナンズ、ハイファイブなんかもかなりハマッてました。

NJSと聞くだけで、ときめきますよ(笑
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Unknown (Amber)
2011-02-19 10:15:43
ノリさん、コメントありがとうございます。

この頃のサウンド、R&Bいいですよね~。

GUYのSpecial Edition(2枚組)が出ているのを最近知りました。シングルカットした、TeddyがあらたにきっちりRemixした5曲が収録されています。CD音源で聞けるのは貴重です!
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Unknown (ノリ)
2011-02-21 00:01:34
>>GUYのSpecial Edition(2枚組)
リリースと同時に、即決で買ってしまいました(苦笑
出来れば『The Future』もSpecial Editionで出して欲しいものです。。。
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