最近のグラミー賞は、アーティストや作品も知らないものが多くてよくわかりませんが、洋楽に、マイケルに、プリンスに目覚めた1980年代後半のグラミー賞にはほんとときめいた。当時としては、レコードやCDを通して接するアーティストたちの生のパフォーマンスや、生の声を聞ける場所、それも音楽業界の最高峰の舞台でしたから。いやが上にもテンションはあがった。
90年代もグラミー賞はしっかり見て、追えていましたが2000年以降、知らないアーティストも増えてきてだんだん80年代のような感じでは見れなくなりました。
そういうわけで、グラミー賞をすべて見た上での比較ではない部分もありますが、1987年のグラミーはほんと華やかだったし、ステージパフォーマンスも最高だった。まずオープニングが、ホイットニー・ヒューストン。大ヒット曲「すてきなSomebody」を歌います。軽やかなステップをふみながらの熱唱。ホイットニー、めちゃ細っ!。この細さでこの歌唱力は何なの!?。一気に会場は盛り上がります。
そして、そこで紹介される今回のステージ・パフォーマンス、プレゼンターの名前。以下抜粋。アニタ・ベイカー、ジョージ・ベンソン、ベリンダ・カーラエル、テレンス・トレント・ダービー、マイルス・デイビス、グロリア・エステファン、ロバータ・フラック、ケニー・G、サイーダ・ギャレット、ハービー・ハンコック、アル・ジャロウ、ビリー・ジョエル、クインシー・ジョーンズ、レバート、リトル・リチャード、ロス・ロボス、ボビー・マクファーリン、リチャード・マークス、マーカス・ミラー、ルー・リード、ダイアナ・ロス、RUN-DMC、デヴィッド・サンボーン、ボブ・シガー、スザンヌ・ベガ、ジョディー・ワトリー、そして、マイケル・ジャクソン。さらに会場には、壇上にはあがらないけど、プリンス、スティヴィー・ワンダーも来ているという。すごい会場です!
今回のグラミー、ステージ・パフォーマンスが最高だった新人賞ノミネートのテレンス・トレント・ダービー。そしてマイケル・ジャクソンの「Man In The MIrror」。しかし、圧倒的なパフォーマンスの後に発表される部門賞では受賞できないという皮肉さ。新人賞は、ジョディー・ワトリーが受賞。プリンスの旧友、アンドレ・シモーンのバックアップも大きかった。
強気の天才、テレンスは「If You Let Me Stay」を熱唱。めちゃとがった強気なパフォーマンスだった。途中、アカペラもいれたりと。ちょっと最初はかたかったけど。個人的には新人賞はテレンスだった。
そして、最優秀アルバムはほんと激戦だったと思う。まずはノミネートの5作品。カントリー系のドリー・パートンを除く4作品はリアルタイムに購入しました。当時、『BAD』以外はレコードでした。プリンスの『Sign o' the Times 』はLPレコードだと4枚でした。
Sign o' the Times / プリンス 87年4月購入
BAD / マイケル・ジャクソン 87年8月購入
Whitiney / ホイットニー・ヒューストン 87年6月購入
TRIO / ドリー・パートン、エミルー・ハリス、リンダ・ロンシュタット 未購入
The Joshua Tree / U2 87年5月購入
あらためて当時の自分の記録も見ながら振り返ってみましたが、87年はいいアルバムにたくさん出会った。ノミネートされていませんが、フリートウッドマックの『Tango In The Night』もこの時期に購入し、めちゃお気に入りだった。新人賞のノミネートされた「Breakfast Club」のアルバム(当時のマドンナのProducer・スティーヴン・ブレイのグループ)もダンサンブルで洒落ててお気に入りアルバムだった。その中でもプリンスの『サイン』はレコードPlayerで聞きまくってた。レコードで購入した他の3作品も後に(もちろん)CDで再購入しています。
リリースがずれていたら違う年で受賞できた作品群だと思う。さらに1988年度の最優秀アルバムを受賞するジョージ・マイケルの『Faith』が数ヶ月リリースが早かったら87年度として争っていたけど、そこは2人のスーパースター、マイケルを擁するSONYがきっちりリリース年度を調整したものと思われます。
個人的に1票を入れたのはプリンスの『Sign of the Times 』です。
★ Sign o' the Times / プリンス
革命を終えたと判断したのか、『パープルレイン』からのバンド、ザ・レヴォルーションを解散し、プリンス単独名義でのリリース。2枚組作品です。最近、プリンスのBlogも独立させて作っている私ですが、そこでも『サイン』のレビューをしていますが、素晴らしい作品です。プリンスファンの中でもこの作品をプリンスの最高傑作と推す人も多かった。
なんなんでしょうねこのアルバムの魅力は。2枚組み全16曲のボリュームですが、まったく疲れない。とにかく曲がいい。そして1曲1曲が確固たる世界観を持っていて同じスタイルのものがない。1曲1曲、その曲の世界へTripしちゃう。すごく楽しい、すごくときめく、切なくもなる。かっこいい。スピリチュアル。いろいろな感情を喚起させる。プリンス作品というだけでなく、これまで聞いてきたいろいろな作品の中でもこんな感触をもつ作品はない。ジャンルで言えば、ロックでありポップでもあり、ソウルでもあり、ファンクでもあり、ゴスペル、Jazzyでもある。いろいろな音楽を楽しめる。こんなにたくさんTripできちゃうアルバムもそうない。混とんとする世界を歌いながらも、男女の愛も描きつつ、最後、神がすべてを救うとしめる。
この後紹介するマイケルの『BAD』はめちゃくちゃ金をかけていると思う。数千万円する最新機材を何台もそろえ、スタジオも何カ所もおさえ、各パートの一流ミュージシャンも招集する。それぞれのチームが競って曲を制作していく。時間もかけてると思う。それに対して、プリンスのこの作品は、プリンスが一人で密室のスタジオにこもってシコシコ制作していった感触。自身でドラムを叩き、ギターもPlayし、キーボードも弾く。そして自分でミキシングもしていく。金も時間も一番かかってないんじゃないのか(嫌みではなく)。デモTrackのような感触もある。何重にも音を重ねていったマイケルのアルバムとは対照的。(ただ『BAD』のレコーディングを担当したブルース・スウェディンは最優秀エンジニアを受賞していますが)
プリンスのこのアルバムのテーマ性も評価されたように思う。個人的には、最終選考に残りU2との一騎打ちとなったのではないかと思うのですが。
1984年時は、「Baby I'm A Star」のライブパフォーマンスで会場をプリンスワールドにそめましたが、今回はパフォーマンスも、プレゼンターとしてもなし。受賞するかわからない会場に来そうにないプリンスもきっちり来ているのがいい。それともアルバムでの受賞に自信を持っていたのか。オーラ出てるわ~。
全米2位でシーナ・イーストンとのDUO「U Got The Look」は最優秀R&Bグループにもノミネートされますが受賞はできず(受賞は、ジョージ・マイケルとアレサ・フランクリンの「I Knew You Were Waiting (For Me)」)。
2014年度のグラミーで最優秀アルバムのプレゼンターとして登場したプリンス、そこでプリンスは「アルバムって皆覚えてるかい? アルバムはまだ大事だ。本とか黒人の命と同じようにアルバムって重要なんだよ」というコメントで感銘を与えます。アルバムへの思いはこの発言でもよくわかる。『パープルレイン』に続き、最優秀アルバムの受賞でプリンスが壇上に上がることはありませんでした。
★ BAD / マイケル・ジャクソン
マイケル作品大好きなのは当然ですが、客観的な視点(ファンでもこの辺は大事)で見ると今回の受賞は難しかったと思います。たぶん、『サイン・オブ・ザ・タイムズ』でも言及したように、このアルバムは一番お金と人材と時間をかけていると思います。これでもかという位、完璧なSOUNDとVOCALを求めた。しかし、その隙のなさがある意味、音を堅苦しくした印象がある。
しかし、その成果は前人未到の1枚のアルバムから5枚のNo1シングルをうむという記録をうむ。この記録はいまだに維持している(ケイティ・ペリーとともに)。ただ創造性、芸術性という所でグラミー会員の心に届かなかった感じ。1983年の『スリラー』での7冠で、プロデューサーの、クインシー・ジョーンズとマイケルにはかなり高いものを求められたようにも思います。
この最新機材の音や、生音の取り込み、ボーカルとのバランス、そういった録音技術は評価され、ブルース・スウェディンが最優秀録音を受賞しているのは、なんかある意味皮肉っぽくて、マイケルは関係者の受賞とはいえ素直に喜べたか疑問。
マイケルは今回グラミーのステージに立ちます。No1シングルとなった「The Way You Make Me Feel」のパフォーマンスをCoolに決めた後、ゴスペル隊を率いての圧巻の「Man In The Mirror」のボーカルパフォーマンスを行います。マイケルはDanceのイメージが強かったと思いますが、『スリラー』の時より進化したボーカル力でこのアンセムを熱唱し、そのメッセージは観客やアーティストの心に届いたと思う。グラミーの中でも伝説のステージとなったと思います。
この「マンミラ」は最優秀レコードにノミネートされますが、リリース上、ノミネート年度は翌年度になるのです。この年の最優秀レコードは、ポール・サイモンの「グレイスランド」になるわけですが、この年にマンミラがノミネートされていたら受賞の可能性もあったと思うのだけど。観客はオールスタンディングでマイケルのパフォーマンスに賞賛の拍手を送ります。アーティストたちも拍手をしている中、プリンスの手は動いていない。
最初、マイケルに対して素直に拍手できないのかと思っていたけど、よく見ると、黒い手袋をした手を静かに合わせている事に気づく。その姿に感銘を受けた。
マイケル熱の余韻が少しさめ会場が落ち着いた後、最優秀アルバムの発表に移ります。プレゼンターはマイケルをデビューに導いたダイアナ・ロスとハーブ・アルバート。舞台袖でまつマイケル。マイケルの『BAD』の受賞のお膳立ては出来ていた。ノミネートアルバムの紹介が始まり、最初に『BAD』が読み上げられる。そしてプロデューサーの、クインシー・ジョーンズとマイケルの名前が呼ばれる。
5作品の紹介が終わり、受賞者の発表、そしてダイアナの口から出た言葉は「U2、ヨシュア・トゥリー」だった。明らかにダイアナも想定外な感じだった。グラミーやっぱガチなんだな~と思わせたシーンだった。
マイケルの心情は、マイケルの母のキャサリンの著書に書かれている。キャサリンに「どう思った?」と尋ねるマイケル。キャサリンは「みんな、あなたに対してフェアじゃないと思った」と答える。そして同意するマイケル。『オフ・ザ・ウォール』の時とはまたちがう失望感をそこに感じる。『BAD』は、現在全世界3,500万枚セールスです。モンスターアルバムです。
さらに数年後、マイケルにある種さらなるショックを与えたのが、共同プロデューサーのクインシー・ジョーンズの『Back On The Block』が1989年度優秀アルバム、最優秀プロデューサーを受賞したことではないかと思います。
『BAD』は、マイケルとクインシーが共同プロデューサーだったけど、マイケルの比重が高かったと思います。グラミー会員からは、マイケルはアーティストとしては称賛するけど、製作者としてはまだまだだと言われてる印象も持ったかも。そして数年後にクインシーが制作したアルバムが最優秀アルバムとプロデュースを受賞するのですから。それがこの後、クインシーから離れることを強く意識させたようにも思います。
★ Whitney / ホイットニーヒューストン
日本では『Whitney Ⅱ』というタイトルでしたが、原題は『Whitney』。前作のデビューアルバムは、「すべてをあなたに」「How Will I know」「The Greatest Love Of All」と3枚のNo1シングルをだし、女性ソロアーティストのデビューアルバムとしては最高の売り上げの記録も樹立。そのヴォーカルとビジュアルに世界が魅了された。新たなディーヴァの誕生でした。
アリスタレーベルの社長・クライブ・デイヴィスはレーベルをあげてホイットニーの2ndアルバムを制作、プロモートします。制作の軸としたのが前作も参加した Producerナラダ・マイケル・ウォルデン。このアルバムからの1stシングル「すてきなSomebody」も見事にNo1シングル。他にもこのアルバムからが「Didn't We Almost Have It All」「So Emotional」「Where Do Broken Hesrts Go 」と4枚のNo1シングルも生みます。
アルバムはかなりPOPな仕上がりで黒人層よりも白人層にうけた感じ。ノミネートでもわかるようにR&Bでの受賞はありません(「Love Of You」でR&B女性歌手部門ノミネート)。このアルバムは、ソウル・トレイン・ミュージック・アワーズ(BLACK MUSICのグラミー賞)で、ナタリー・コール、ジョディ―・ワトリーを抑えて最優秀アルバムに輝くのですが、壇上に上がるホイットニーに対して一部からありえないブーイングがおこるのです。これには彼女は相当傷ついたといいます。個人的にはデビューアルバムの方がR&B的でクオリティーが高いように思いますが、見事にアルバム部門でもノミネートされます。ただこのノミネーションの中では受賞はないなとは思いました。
最優秀アルバムの獲得はできませんでしたが、ホイットニーは、カーリー・サイモン、ベリンダ・カーラエル、スザンヌ・ヴェガ、バーブラ・ストライサンドをおさえ黒人アーティストとして最優秀POP歌手を受賞。そしてプロデューサーのナラダは、マイケル&クインシー・ジョーンズ、ダニエル・ラノワ&ブライアン・イーノをおさえて最優秀プロデューサーを受賞しました。
これもけっこう意外でした。グラミーっていわゆる売れ線系のサウンドには厳しい評価をされる印象で、ナラダはけっこうその路線だから。
しかし、1987年にウォルデンが手がけた曲はすばらしい。この時はアルバム『Whitney』(Naradaは3枚のNo1シングル)とスターシップの「Nothing’s Gonna Stop Us Now」やジョージ&アレサの「愛のおとずれ」もNo1シングルとなり、この年のビルボードでの最優秀プロデューサーの受賞もしています。個人的には『ビバリーヒルズコップⅡ』に収録されたポインター・シスターズの「Be There」も素晴らしい。これらの楽曲が見事に会員の心をつかんだのでしょう。しかし、アルバムの受賞はできませんでした。ホイットニーのこの2ndの全世界セールスは2,500万枚です。このセールスもとてつもない。
ナラダの本名は、マイケル・ウォルデンなのですが、「ナラダって何?」ってずっと気になってたのですが、この方インド哲学に傾倒しているそうで、哲学的、宗教的な意味をもつ有難い言葉のようです。ナラダさん、人柄の良さが顔に出てる。
★ TRIO / ドリー・パートン、リンダ・ロンシュタット、エミルー・ハリス
ドリー・パートンはカントリーの女王。カントリーはよく知らないのでWiki情報(爆)。ただこのアルバムはカントリーのフィールドに収まらずPOPでも大ヒットし、カントリーアルバムだけど最優秀アルバムにノミネート。今回のノミネートで唯一聞いていない作品です。
余談ですが、この方″巨乳”で有名みたいです。小林克也氏も番組でこの人のおパイでかいって言ってたの覚えてる。なんかカントリー歌手というより熟女ポル〇女優みたい。嫌いじゃないけど(爆)
★ U2 / The Joshua Tree
受賞はU2の『ヨシュア・トゥリー』となります。U2、5枚目のアルバムにして最大のヒットを記録します。それまでのU2のイメージは、アイルランド出身というのもあり、政治色やメッセージ色の強いロックグループというもの。明るいイメージはなかったな~。怒りというか硬質な感触があった。
マイケル、プリンス、ジャム&ルイスとR&B路線と80'S POPサウンドが好きだったので、U2との接点はそれまでなかったですが、あの名バラード「With Or Without You」がNo1シングルとなり、Radioでも流れて魅了される。キャッチーなメロディーラインだけど、これまで感じたことのないある意味重苦しさもあるLove Songだった。終盤の圧力もすごい。こんなバラード初めて聞いた。曲を書いたボノとしては。ここまで受け入れられるとは思わなかったようですが。そして、何よりやたらとアルバムが評価されるので、私としてはめずらしいロックアルバムの購入となったのです。カテゴリー的にはロックになってるけど、こういう素晴らしいアルバムは例のごとく簡単にカテゴライズできないと思う。このアルバムにソウルも感じた。
アルバムのジャケットのイメージにもあうし、一つのアルバムとしての統一感、コンセプト的なものもすばらしかった。荒涼たる砂漠に生える1本の木、ヨシュア・トゥリー。彼らはこのジャケットとアルバムに今の世界の精神性と現状をうったえた。『ヨシュア・トゥリー』はSOUNDだけでなく、その歌詞も評価されたと思う。全曲の詩を書いたのはフロントマンでボーカルをとるボノ。Producerは、ブライアン・イーノとダニエル・ラノワ。
当時は、まったく意識していませんでしたが、ブライアン・イーノってRock系のProducerというより、アンビエントMusic(環境音楽)を提唱した人っていう印象がある。実際、私はイーノの手掛けたノン・ボーカルのアンビエント系のアルバムたくさんもってる。で、後からイーノって『ヨシュア・トゥリー』のプロデューサーじゃんて感じにもなって、しばらく結びつかなかったとこもあった。でもそういう視点であらためて『ヨシュア』聞くと、空間的なアンビエント感も感じてくるから不思議だ。
今回、『ヨシュア・トゥリー』ツアーとして来日しこのアルバムを再演した。30年前のアルバムをこうして完全再演するのも珍しいことだと思う。あらためてU2のDiscographyとか見直したけど、このアルバムがいまだに最大のヒットアルバムのようだ。80'SのSOUNDの中でも名盤として必ずPick Upされる1枚。全世界セールスも2,500万枚。87年のノミネートアルバム3枚が2500万枚超えセールスってとてつもない。
そしてマイケル、プリンス、ホイットニーをおさえてU2が最優秀アルバムを受賞する。
壇上に上がるU2のメンバーと、プロデューサーも受賞対象となり、ブライアン・イーノとダニエル・ロノワも上がる。そしてスピーチするのがボノ。「全世界の重荷を肩に背負って何年にもなるけど・・・」という切り口からはじまるんだけど、けっこうこういう感じで笑いを取る人なんだって知る。観客はけっこううけてる。そして南アフリカで起こっている事を取り上げようとするも今夜のテーマにふさわしくないので、音楽の話をしたいと思うと。ボノ、1960年生まれ。マイケル、プリンスの2こ下だけど、この落ち着きは何??
「僕らは心ある音楽(SOUL MUSIC)を作りたいと思っている。それは黒人か白人か(Black or White)どんな楽器を使っているかのではない。物事を明らかにするか隠すのかを決める事だと」、そしてそれがなければ、「プリンスはただ優秀なシンガーでダンサーにしかすぎない」と。「しかし、彼はそれ以上のアーティストだ」と。その時、プリンスにカメラ、ターンしてほしかったな。あとブルース・スプリングティーンも引き合いに出していた。黒人か白人かなんか関係ない、というのはマイケルに対しての賛同だったのか。そして最優秀アルバムをあらそったプリンスへの賛辞。最後は、プロデューサーのイーノとロノワに最大の謝辞を述べ終える。素晴らしいコメントだった。
こうして1987年のグラミーの最優秀アルバムは、U2の『The Joshua Tree』となる。U2は、「I Still Haven't Found What I'm Looking For(終わりなき旅)」で最優秀レコードと最優秀SONGにノミネートされていましたが受賞はできず。他には最優秀ロックグループを受賞します。「ヨシュア・トゥリー」はU2の最大のヒットアルバムにして、80'Sを、いやロック史に残る名盤となった。
その余韻は、30年経た今も残っており、30周年を記念した「ヨシュア・ツリー・ツアー」として2017年にスタートし、北米、ヨーロッパ、南米で270万人以上を動員。アルバム『ヨシュア・ツリー』を完全再現したセットリスト、巨大なスクリーンを駆使した映像も高い評価を獲得し、U2の健在ぶりをしめした。ボノも59歳なのか~。U2はこのアルバムしかもっていません。後にU2がテクノポップみたいなのをしたのは驚いた。
日本でもさいたまスーパーアリーナで12月4日、5日に行われるけど完売だった模様。そして30周年記念盤も発売。
今回、U2の来日がきっかけでこの記事を書いたけど1987年度の最優秀アルバムは最高です。またプリンスの言葉にももどるけど、アルバムってとても大切。すてきだ。そして、この最高作品を生み出した、マイケル、プリンス、ホイットニーは天に召された。切ないね。U2のボノも彼らを相手に自分たちの『The Joshue Tree』が最優秀アルバムを受賞したことは忘れがたいことだと思う。
90年代もグラミー賞はしっかり見て、追えていましたが2000年以降、知らないアーティストも増えてきてだんだん80年代のような感じでは見れなくなりました。
そういうわけで、グラミー賞をすべて見た上での比較ではない部分もありますが、1987年のグラミーはほんと華やかだったし、ステージパフォーマンスも最高だった。まずオープニングが、ホイットニー・ヒューストン。大ヒット曲「すてきなSomebody」を歌います。軽やかなステップをふみながらの熱唱。ホイットニー、めちゃ細っ!。この細さでこの歌唱力は何なの!?。一気に会場は盛り上がります。
そして、そこで紹介される今回のステージ・パフォーマンス、プレゼンターの名前。以下抜粋。アニタ・ベイカー、ジョージ・ベンソン、ベリンダ・カーラエル、テレンス・トレント・ダービー、マイルス・デイビス、グロリア・エステファン、ロバータ・フラック、ケニー・G、サイーダ・ギャレット、ハービー・ハンコック、アル・ジャロウ、ビリー・ジョエル、クインシー・ジョーンズ、レバート、リトル・リチャード、ロス・ロボス、ボビー・マクファーリン、リチャード・マークス、マーカス・ミラー、ルー・リード、ダイアナ・ロス、RUN-DMC、デヴィッド・サンボーン、ボブ・シガー、スザンヌ・ベガ、ジョディー・ワトリー、そして、マイケル・ジャクソン。さらに会場には、壇上にはあがらないけど、プリンス、スティヴィー・ワンダーも来ているという。すごい会場です!
今回のグラミー、ステージ・パフォーマンスが最高だった新人賞ノミネートのテレンス・トレント・ダービー。そしてマイケル・ジャクソンの「Man In The MIrror」。しかし、圧倒的なパフォーマンスの後に発表される部門賞では受賞できないという皮肉さ。新人賞は、ジョディー・ワトリーが受賞。プリンスの旧友、アンドレ・シモーンのバックアップも大きかった。
強気の天才、テレンスは「If You Let Me Stay」を熱唱。めちゃとがった強気なパフォーマンスだった。途中、アカペラもいれたりと。ちょっと最初はかたかったけど。個人的には新人賞はテレンスだった。
そして、最優秀アルバムはほんと激戦だったと思う。まずはノミネートの5作品。カントリー系のドリー・パートンを除く4作品はリアルタイムに購入しました。当時、『BAD』以外はレコードでした。プリンスの『Sign o' the Times 』はLPレコードだと4枚でした。
Sign o' the Times / プリンス 87年4月購入
BAD / マイケル・ジャクソン 87年8月購入
Whitiney / ホイットニー・ヒューストン 87年6月購入
TRIO / ドリー・パートン、エミルー・ハリス、リンダ・ロンシュタット 未購入
The Joshua Tree / U2 87年5月購入
あらためて当時の自分の記録も見ながら振り返ってみましたが、87年はいいアルバムにたくさん出会った。ノミネートされていませんが、フリートウッドマックの『Tango In The Night』もこの時期に購入し、めちゃお気に入りだった。新人賞のノミネートされた「Breakfast Club」のアルバム(当時のマドンナのProducer・スティーヴン・ブレイのグループ)もダンサンブルで洒落ててお気に入りアルバムだった。その中でもプリンスの『サイン』はレコードPlayerで聞きまくってた。レコードで購入した他の3作品も後に(もちろん)CDで再購入しています。
リリースがずれていたら違う年で受賞できた作品群だと思う。さらに1988年度の最優秀アルバムを受賞するジョージ・マイケルの『Faith』が数ヶ月リリースが早かったら87年度として争っていたけど、そこは2人のスーパースター、マイケルを擁するSONYがきっちりリリース年度を調整したものと思われます。
個人的に1票を入れたのはプリンスの『Sign of the Times 』です。
★ Sign o' the Times / プリンス
革命を終えたと判断したのか、『パープルレイン』からのバンド、ザ・レヴォルーションを解散し、プリンス単独名義でのリリース。2枚組作品です。最近、プリンスのBlogも独立させて作っている私ですが、そこでも『サイン』のレビューをしていますが、素晴らしい作品です。プリンスファンの中でもこの作品をプリンスの最高傑作と推す人も多かった。
なんなんでしょうねこのアルバムの魅力は。2枚組み全16曲のボリュームですが、まったく疲れない。とにかく曲がいい。そして1曲1曲が確固たる世界観を持っていて同じスタイルのものがない。1曲1曲、その曲の世界へTripしちゃう。すごく楽しい、すごくときめく、切なくもなる。かっこいい。スピリチュアル。いろいろな感情を喚起させる。プリンス作品というだけでなく、これまで聞いてきたいろいろな作品の中でもこんな感触をもつ作品はない。ジャンルで言えば、ロックでありポップでもあり、ソウルでもあり、ファンクでもあり、ゴスペル、Jazzyでもある。いろいろな音楽を楽しめる。こんなにたくさんTripできちゃうアルバムもそうない。混とんとする世界を歌いながらも、男女の愛も描きつつ、最後、神がすべてを救うとしめる。
この後紹介するマイケルの『BAD』はめちゃくちゃ金をかけていると思う。数千万円する最新機材を何台もそろえ、スタジオも何カ所もおさえ、各パートの一流ミュージシャンも招集する。それぞれのチームが競って曲を制作していく。時間もかけてると思う。それに対して、プリンスのこの作品は、プリンスが一人で密室のスタジオにこもってシコシコ制作していった感触。自身でドラムを叩き、ギターもPlayし、キーボードも弾く。そして自分でミキシングもしていく。金も時間も一番かかってないんじゃないのか(嫌みではなく)。デモTrackのような感触もある。何重にも音を重ねていったマイケルのアルバムとは対照的。(ただ『BAD』のレコーディングを担当したブルース・スウェディンは最優秀エンジニアを受賞していますが)
プリンスのこのアルバムのテーマ性も評価されたように思う。個人的には、最終選考に残りU2との一騎打ちとなったのではないかと思うのですが。
1984年時は、「Baby I'm A Star」のライブパフォーマンスで会場をプリンスワールドにそめましたが、今回はパフォーマンスも、プレゼンターとしてもなし。受賞するかわからない会場に来そうにないプリンスもきっちり来ているのがいい。それともアルバムでの受賞に自信を持っていたのか。オーラ出てるわ~。
全米2位でシーナ・イーストンとのDUO「U Got The Look」は最優秀R&Bグループにもノミネートされますが受賞はできず(受賞は、ジョージ・マイケルとアレサ・フランクリンの「I Knew You Were Waiting (For Me)」)。
2014年度のグラミーで最優秀アルバムのプレゼンターとして登場したプリンス、そこでプリンスは「アルバムって皆覚えてるかい? アルバムはまだ大事だ。本とか黒人の命と同じようにアルバムって重要なんだよ」というコメントで感銘を与えます。アルバムへの思いはこの発言でもよくわかる。『パープルレイン』に続き、最優秀アルバムの受賞でプリンスが壇上に上がることはありませんでした。
★ BAD / マイケル・ジャクソン
マイケル作品大好きなのは当然ですが、客観的な視点(ファンでもこの辺は大事)で見ると今回の受賞は難しかったと思います。たぶん、『サイン・オブ・ザ・タイムズ』でも言及したように、このアルバムは一番お金と人材と時間をかけていると思います。これでもかという位、完璧なSOUNDとVOCALを求めた。しかし、その隙のなさがある意味、音を堅苦しくした印象がある。
しかし、その成果は前人未到の1枚のアルバムから5枚のNo1シングルをうむという記録をうむ。この記録はいまだに維持している(ケイティ・ペリーとともに)。ただ創造性、芸術性という所でグラミー会員の心に届かなかった感じ。1983年の『スリラー』での7冠で、プロデューサーの、クインシー・ジョーンズとマイケルにはかなり高いものを求められたようにも思います。
この最新機材の音や、生音の取り込み、ボーカルとのバランス、そういった録音技術は評価され、ブルース・スウェディンが最優秀録音を受賞しているのは、なんかある意味皮肉っぽくて、マイケルは関係者の受賞とはいえ素直に喜べたか疑問。
マイケルは今回グラミーのステージに立ちます。No1シングルとなった「The Way You Make Me Feel」のパフォーマンスをCoolに決めた後、ゴスペル隊を率いての圧巻の「Man In The Mirror」のボーカルパフォーマンスを行います。マイケルはDanceのイメージが強かったと思いますが、『スリラー』の時より進化したボーカル力でこのアンセムを熱唱し、そのメッセージは観客やアーティストの心に届いたと思う。グラミーの中でも伝説のステージとなったと思います。
この「マンミラ」は最優秀レコードにノミネートされますが、リリース上、ノミネート年度は翌年度になるのです。この年の最優秀レコードは、ポール・サイモンの「グレイスランド」になるわけですが、この年にマンミラがノミネートされていたら受賞の可能性もあったと思うのだけど。観客はオールスタンディングでマイケルのパフォーマンスに賞賛の拍手を送ります。アーティストたちも拍手をしている中、プリンスの手は動いていない。
最初、マイケルに対して素直に拍手できないのかと思っていたけど、よく見ると、黒い手袋をした手を静かに合わせている事に気づく。その姿に感銘を受けた。
マイケル熱の余韻が少しさめ会場が落ち着いた後、最優秀アルバムの発表に移ります。プレゼンターはマイケルをデビューに導いたダイアナ・ロスとハーブ・アルバート。舞台袖でまつマイケル。マイケルの『BAD』の受賞のお膳立ては出来ていた。ノミネートアルバムの紹介が始まり、最初に『BAD』が読み上げられる。そしてプロデューサーの、クインシー・ジョーンズとマイケルの名前が呼ばれる。
5作品の紹介が終わり、受賞者の発表、そしてダイアナの口から出た言葉は「U2、ヨシュア・トゥリー」だった。明らかにダイアナも想定外な感じだった。グラミーやっぱガチなんだな~と思わせたシーンだった。
マイケルの心情は、マイケルの母のキャサリンの著書に書かれている。キャサリンに「どう思った?」と尋ねるマイケル。キャサリンは「みんな、あなたに対してフェアじゃないと思った」と答える。そして同意するマイケル。『オフ・ザ・ウォール』の時とはまたちがう失望感をそこに感じる。『BAD』は、現在全世界3,500万枚セールスです。モンスターアルバムです。
さらに数年後、マイケルにある種さらなるショックを与えたのが、共同プロデューサーのクインシー・ジョーンズの『Back On The Block』が1989年度優秀アルバム、最優秀プロデューサーを受賞したことではないかと思います。
『BAD』は、マイケルとクインシーが共同プロデューサーだったけど、マイケルの比重が高かったと思います。グラミー会員からは、マイケルはアーティストとしては称賛するけど、製作者としてはまだまだだと言われてる印象も持ったかも。そして数年後にクインシーが制作したアルバムが最優秀アルバムとプロデュースを受賞するのですから。それがこの後、クインシーから離れることを強く意識させたようにも思います。
★ Whitney / ホイットニーヒューストン
日本では『Whitney Ⅱ』というタイトルでしたが、原題は『Whitney』。前作のデビューアルバムは、「すべてをあなたに」「How Will I know」「The Greatest Love Of All」と3枚のNo1シングルをだし、女性ソロアーティストのデビューアルバムとしては最高の売り上げの記録も樹立。そのヴォーカルとビジュアルに世界が魅了された。新たなディーヴァの誕生でした。
アリスタレーベルの社長・クライブ・デイヴィスはレーベルをあげてホイットニーの2ndアルバムを制作、プロモートします。制作の軸としたのが前作も参加した Producerナラダ・マイケル・ウォルデン。このアルバムからの1stシングル「すてきなSomebody」も見事にNo1シングル。他にもこのアルバムからが「Didn't We Almost Have It All」「So Emotional」「Where Do Broken Hesrts Go 」と4枚のNo1シングルも生みます。
アルバムはかなりPOPな仕上がりで黒人層よりも白人層にうけた感じ。ノミネートでもわかるようにR&Bでの受賞はありません(「Love Of You」でR&B女性歌手部門ノミネート)。このアルバムは、ソウル・トレイン・ミュージック・アワーズ(BLACK MUSICのグラミー賞)で、ナタリー・コール、ジョディ―・ワトリーを抑えて最優秀アルバムに輝くのですが、壇上に上がるホイットニーに対して一部からありえないブーイングがおこるのです。これには彼女は相当傷ついたといいます。個人的にはデビューアルバムの方がR&B的でクオリティーが高いように思いますが、見事にアルバム部門でもノミネートされます。ただこのノミネーションの中では受賞はないなとは思いました。
最優秀アルバムの獲得はできませんでしたが、ホイットニーは、カーリー・サイモン、ベリンダ・カーラエル、スザンヌ・ヴェガ、バーブラ・ストライサンドをおさえ黒人アーティストとして最優秀POP歌手を受賞。そしてプロデューサーのナラダは、マイケル&クインシー・ジョーンズ、ダニエル・ラノワ&ブライアン・イーノをおさえて最優秀プロデューサーを受賞しました。
これもけっこう意外でした。グラミーっていわゆる売れ線系のサウンドには厳しい評価をされる印象で、ナラダはけっこうその路線だから。
しかし、1987年にウォルデンが手がけた曲はすばらしい。この時はアルバム『Whitney』(Naradaは3枚のNo1シングル)とスターシップの「Nothing’s Gonna Stop Us Now」やジョージ&アレサの「愛のおとずれ」もNo1シングルとなり、この年のビルボードでの最優秀プロデューサーの受賞もしています。個人的には『ビバリーヒルズコップⅡ』に収録されたポインター・シスターズの「Be There」も素晴らしい。これらの楽曲が見事に会員の心をつかんだのでしょう。しかし、アルバムの受賞はできませんでした。ホイットニーのこの2ndの全世界セールスは2,500万枚です。このセールスもとてつもない。
ナラダの本名は、マイケル・ウォルデンなのですが、「ナラダって何?」ってずっと気になってたのですが、この方インド哲学に傾倒しているそうで、哲学的、宗教的な意味をもつ有難い言葉のようです。ナラダさん、人柄の良さが顔に出てる。
★ TRIO / ドリー・パートン、リンダ・ロンシュタット、エミルー・ハリス
ドリー・パートンはカントリーの女王。カントリーはよく知らないのでWiki情報(爆)。ただこのアルバムはカントリーのフィールドに収まらずPOPでも大ヒットし、カントリーアルバムだけど最優秀アルバムにノミネート。今回のノミネートで唯一聞いていない作品です。
余談ですが、この方″巨乳”で有名みたいです。小林克也氏も番組でこの人のおパイでかいって言ってたの覚えてる。なんかカントリー歌手というより熟女ポル〇女優みたい。嫌いじゃないけど(爆)
★ U2 / The Joshua Tree
受賞はU2の『ヨシュア・トゥリー』となります。U2、5枚目のアルバムにして最大のヒットを記録します。それまでのU2のイメージは、アイルランド出身というのもあり、政治色やメッセージ色の強いロックグループというもの。明るいイメージはなかったな~。怒りというか硬質な感触があった。
マイケル、プリンス、ジャム&ルイスとR&B路線と80'S POPサウンドが好きだったので、U2との接点はそれまでなかったですが、あの名バラード「With Or Without You」がNo1シングルとなり、Radioでも流れて魅了される。キャッチーなメロディーラインだけど、これまで感じたことのないある意味重苦しさもあるLove Songだった。終盤の圧力もすごい。こんなバラード初めて聞いた。曲を書いたボノとしては。ここまで受け入れられるとは思わなかったようですが。そして、何よりやたらとアルバムが評価されるので、私としてはめずらしいロックアルバムの購入となったのです。カテゴリー的にはロックになってるけど、こういう素晴らしいアルバムは例のごとく簡単にカテゴライズできないと思う。このアルバムにソウルも感じた。
アルバムのジャケットのイメージにもあうし、一つのアルバムとしての統一感、コンセプト的なものもすばらしかった。荒涼たる砂漠に生える1本の木、ヨシュア・トゥリー。彼らはこのジャケットとアルバムに今の世界の精神性と現状をうったえた。『ヨシュア・トゥリー』はSOUNDだけでなく、その歌詞も評価されたと思う。全曲の詩を書いたのはフロントマンでボーカルをとるボノ。Producerは、ブライアン・イーノとダニエル・ラノワ。
当時は、まったく意識していませんでしたが、ブライアン・イーノってRock系のProducerというより、アンビエントMusic(環境音楽)を提唱した人っていう印象がある。実際、私はイーノの手掛けたノン・ボーカルのアンビエント系のアルバムたくさんもってる。で、後からイーノって『ヨシュア・トゥリー』のプロデューサーじゃんて感じにもなって、しばらく結びつかなかったとこもあった。でもそういう視点であらためて『ヨシュア』聞くと、空間的なアンビエント感も感じてくるから不思議だ。
今回、『ヨシュア・トゥリー』ツアーとして来日しこのアルバムを再演した。30年前のアルバムをこうして完全再演するのも珍しいことだと思う。あらためてU2のDiscographyとか見直したけど、このアルバムがいまだに最大のヒットアルバムのようだ。80'SのSOUNDの中でも名盤として必ずPick Upされる1枚。全世界セールスも2,500万枚。87年のノミネートアルバム3枚が2500万枚超えセールスってとてつもない。
そしてマイケル、プリンス、ホイットニーをおさえてU2が最優秀アルバムを受賞する。
壇上に上がるU2のメンバーと、プロデューサーも受賞対象となり、ブライアン・イーノとダニエル・ロノワも上がる。そしてスピーチするのがボノ。「全世界の重荷を肩に背負って何年にもなるけど・・・」という切り口からはじまるんだけど、けっこうこういう感じで笑いを取る人なんだって知る。観客はけっこううけてる。そして南アフリカで起こっている事を取り上げようとするも今夜のテーマにふさわしくないので、音楽の話をしたいと思うと。ボノ、1960年生まれ。マイケル、プリンスの2こ下だけど、この落ち着きは何??
「僕らは心ある音楽(SOUL MUSIC)を作りたいと思っている。それは黒人か白人か(Black or White)どんな楽器を使っているかのではない。物事を明らかにするか隠すのかを決める事だと」、そしてそれがなければ、「プリンスはただ優秀なシンガーでダンサーにしかすぎない」と。「しかし、彼はそれ以上のアーティストだ」と。その時、プリンスにカメラ、ターンしてほしかったな。あとブルース・スプリングティーンも引き合いに出していた。黒人か白人かなんか関係ない、というのはマイケルに対しての賛同だったのか。そして最優秀アルバムをあらそったプリンスへの賛辞。最後は、プロデューサーのイーノとロノワに最大の謝辞を述べ終える。素晴らしいコメントだった。
こうして1987年のグラミーの最優秀アルバムは、U2の『The Joshua Tree』となる。U2は、「I Still Haven't Found What I'm Looking For(終わりなき旅)」で最優秀レコードと最優秀SONGにノミネートされていましたが受賞はできず。他には最優秀ロックグループを受賞します。「ヨシュア・トゥリー」はU2の最大のヒットアルバムにして、80'Sを、いやロック史に残る名盤となった。
その余韻は、30年経た今も残っており、30周年を記念した「ヨシュア・ツリー・ツアー」として2017年にスタートし、北米、ヨーロッパ、南米で270万人以上を動員。アルバム『ヨシュア・ツリー』を完全再現したセットリスト、巨大なスクリーンを駆使した映像も高い評価を獲得し、U2の健在ぶりをしめした。ボノも59歳なのか~。U2はこのアルバムしかもっていません。後にU2がテクノポップみたいなのをしたのは驚いた。
日本でもさいたまスーパーアリーナで12月4日、5日に行われるけど完売だった模様。そして30周年記念盤も発売。
今回、U2の来日がきっかけでこの記事を書いたけど1987年度の最優秀アルバムは最高です。またプリンスの言葉にももどるけど、アルバムってとても大切。すてきだ。そして、この最高作品を生み出した、マイケル、プリンス、ホイットニーは天に召された。切ないね。U2のボノも彼らを相手に自分たちの『The Joshue Tree』が最優秀アルバムを受賞したことは忘れがたいことだと思う。