
今回はナイル・ロジャースのProduce 作品をまとめてみました。(以前HomePageでUpしていた分を整備、加筆してみました)ナイルのProduce作品はかなりある。今回は、全盛期的な80'S期の、ナイルがのりまくってる時のアルバムの大半を手掛けている作品を中心にとりあげました。(前回のCHIC&NILEのNo1作品とも一部内容がかぶるかと思います)
ナイル・ロジャースは、スーパーギターリストですが、さらにテクノロジーにもたける。最新の機器を導入して、自身のGrooveとミックスした。正確で、様々なスネアを生み出すドラムマシーンも重宝した。しかし、それがCHICの仲間、ドラムのトニー・トンプソンとの隔たりを生んだのも事実。(一時期、疎遠のようでしたがトニーの葬儀にもちろんナイルは参列しています。参列しないわけがない。)テディー・ライリーやロドニー・ジャーキンス、Jam&Lewisもミュージシャンで楽器も使えるけど、ギターリストではない。ナイルのProduce WORKがすごいのが、自身がすごいギターリストであり、テクノロジーも使いこなしてProduceしたところ。そしてナイルのギターにはリズムが宿る。
それでは作品の紹介です。日々、書き加えていったらけっこうな量になりました。最後まで見てね。
92年に発表されたシックの8年ぶりのリユニオンアルバム。トニー・トンプソンは不参加というか、残念ながら参加できる関係になかった感じ。そして、私もリアルタイムに購入したシックのアルバムです。それまで、ナイル・ロジャースやバーナード・エドワーズがプロデュースした作品は聞いていましたが、伝説のグループと化ししつつあったシックは過去のグループのように思っていました。しかし、初めて聴いたシックの復帰作に見事にノックアウトされます。とにかく理屈ぬきにかっこいい!当時、はじめて車を購入した事もあって、ドライブにも最適なこのアルバムはカーステでききまくりました。(今でも愛聴盤ですが)さらに、このアルバムで、ナイルのサウンドをあらためて評価し、彼のプロデュース作品を購入していくことになります。
出だしから、シックのグルーブが全開。1曲目から4曲目までそれぞれちがったGrooveで、一気に聴けます。特に2曲目の「Your Love」はお気に入り。バーナードのまさにうねるようなベースに、ナイルのカッティングが入ってくる。4曲目の「Something You Can Feel」もRapとシック・サウンドが見事に融合、後半になるにつれ、ジワジワとギターのグルーブが増してくる手法も見事。9曲目の「My Love's For Real」も「Good Time」っぽいグルーブでいい。12曲目の「M.M.F.T.C.F」はインストでナイルのギターのかっこよさがよくわかる。
今となっては、この作品がCHICの最後のオリジナルアルバムとなりました。(正確には、トニーは欠けていますが)しかしこのアルバムには不変のGrooveがつまっています。
CHICのナイル・ロジャースからProducerのナイル・ロジャースへの転換点となったデヴィッド・ボウイとの83年の作品です。英国ロックのスーパースター、デビット・ボウイがEMIに移籍し、新たな自分のスタイルを模索し、ボウイの方からナイルに声をかけ彼をプロデューサーにむかえる。ナイルにとってもこのプロデュースの成功がターニングポイントとなり、超売れっ子Producerとなっていく。ナイルはこのプロジェクトを「モダン・ビック・バンド・ロック」と位置付ける。
キーワードは「Dance」。ボウイとナイルは、ボウイサイドが招集したミュージシャンたちとレコーディングをすすめていきますが、自分たちの要求する音を彼らがうまくだせない。そこでナイルは、当時解散し、疎遠になっていたCHICの旧友をスタジオに呼ぶ。まずベースのバーナードに声をかける。久々にあった2人でしたが、バーナードはナイルが求めている音がすぐにわかったといいます。そして、その後、ドラムのトニー・トンプソンもかけつけ、そのダイナミックなドラムを録音する。こうして「レッツ・ダンス」は文句のつけようのない仕上がりになります。ボウイも70年代後半、シーンを席巻したCHICの実力を目の当たりにすることとなるのです。
そして「Let's Dance」は見事ビルボード1位を獲得。アルバムも、83年度のグラミーのアルバム部門にもノミネートされます。ボウイにとってもキャリア最大のヒット作となります。ボウイも、出来上がるまでは複雑だったが、仕上がりはシンプル、明るく情熱的でのれるサウンドとナイルの方向性に納得しているようです。今聴いても新しい。90年代に入り、ナイルとシックSOUNDをこの上なくリスペクトするP.Diddyも、「Been Around The World」でサンプリングし大ヒット。ボウイの昔からのファンはこの頃のサウンドには否定的みたいですが、ナイル・ロジャースを語るときにはさけて通れないアルバム。その他、「Chaina Girl」などもヒット。この曲も、いい感じです。
マドンナをスーパースターに導いた84年の2nd。「ライク・ア・バージン」「マテリアル・ガール」のメガヒットをうむ。ナイルのプロデューサーとしてのステイタスを決定づけた。
当初、マドンナはセンセーショナルな内容のこの曲に難色をしめしたといいます。そのため、ナイルも一時はレコーディングを断念しようかとも考えたみたいですが、どうしてもこの曲が頭から離れない。彼はマドンナを説得し、レコーディングをする。この曲はヴァージンというWORDが先行してしまうとこがありますが、実はPrueなLove SONG。塞ぎ込み迷っていた私をあなたが甦らせてくれたというテーマ。そして結果は見事に全米1位。85年のビルボード年間チャートでも2位というメガヒットになる。マドンナを一躍スーパースターに押しあげ、80'Sを代表する楽曲にもなった。
そしてこのサウンドのバックをつとめたのもシックの面々でした。ベースはバーナード、ドラムはトニー・トンプソン。マドンナのキャラが強烈なので、サウンドは後回しになりがちですが、、あらためてきけば、いかにシックがすばらしいミュージシャンかがわかるはず。マドンナも不平不満は一切言わず、ナイルに全信頼を置いてレコーディングに臨み、ナイルのProduceに身をゆだねる。
リマスター盤は、音がよりクリアで、「ライク・ア・バージン」「マテリアル・ガール」のExtendedも収録されています。後、別にRemix CDとして「Angel」のExtended、ジェリビーンRemixの「Dress You Up」のExtendedの仕上がりも最高。
余談ですが、シングル「ライク・ア・バージン」は84年12月にNo1に輝きます。そして年が明けて、85年最初の1月5日のチャートでも1位をKeepします。そして、さらに驚きは、2位もナイルが手がけたデュラン・デュランの「Wild Boys」、さらに3位がナイルも参加したスーパーギタリストがワンショット的に結成したハニー・ドリッパーズの「She Of Love」とベスト3すべてにナイル・ロジャースが絡むという現象がおきます。まさにこれは85年がナイル・ロジャースの年になる事を予感させた出来事でした。
85年に入り、ミック・ジャガーのソロデビュー作にナイルは3曲絡みます。バリバリロックのローリング・ストーンズのミック・ジャガーとエレガントダンスバンドのシックのナイル・ロジャースとの共演は興味深い。ミック・ジャガーとナイルの組み合わせは意外でしたが、ナイルはCHICのコンセプトが明確になるまでは、普通にロックをやってたそうですから、NILE的には全く違和感なかったのかもしれません。ミックも、前年はジャクソンズのアルバムに招かれマイケル・ジャクソンと「State Of Shock」を共演したり、ナイルを招いたりとやはりストーンズとはちがうアプローチをしている感じ。ナイルの作品はシングルヒットしていませんが、アルバムの完成度を高めています。
バーナード・エドワーズもベースで参加。トニー・トンプソンも1曲参加していますが、なぜかナイルProduce作品には絡んでいません。バーナードも、この後、ロバート・パーマーやロッド・スチュアートを手がける事でもわかるように、ナイル以上にロックよりのアプローチをする。彼らが元々、ロックで勝負していたというのもわかる。しかし、ディスコムーブメントになり洗練されたダンスSOUNDに方向転換したことが成功につながったというのも不思議なもの。まー本物はカテゴリーではくくれないということか。
ミック・ジャガーは、85年末には、デヴィッド・ボウイと「Dancing In The Street」で共演。この曲にもナイルは絡みます。おれ的にミックのボーカルスタイルは未だになじめないのは正直なとこ。
ジェフ・ベック、有名なギターリストという知識しかございません。日本で人気があり、日本で3大ギターリストといえば、エリック・クラプトン、ジミー・ペイジ(レッド・ツェッペリン)そして、このジェフ・ベックらしい。ローリングストーン誌が選ぶ最高のギターリスト100で14位でした。(ちなみに1位は、ジミ・ヘンドリックス)私は、ナイル・ロジャースがProduceしたこの作品しかジェフを聞いたことがないので彼を語れません。
ナイルは、前述のボウイ、マドンナのメガヒットで一躍Top Producerとなった。でジェフはナイルを起用したいうわけでもなく、ナイルとは、前年ハニー・ドリッパーズというセッションバンドを結成し、ジミー・ペイジとナイルの3人でアルバムを出しています。すごいメンツ。ナイルは、前述のローリングストーン誌の、Best100ギターリストの中に入っていません。なんで???前述のミックのアルバムでも共演しており、その流れでナイルが大ブレイクする前から、アルバムを制作する約束をしていたのかもしれません。
多少なりとも時代との距離感をつめようとしてナイルを起用したこのアルバムだそうですが、ジェフ自身は、あまりこのアルバムを気に入ってないよう。従来のファンも、旧友のロッド・スチュワートが参加した「People Get Ready」の評価は高いですが、全体的には低い評価。ナイルの80'S的なProduceスタイルが軽く思われたのでしょうか。しかし、ヤン・ハマーも参加し、ナイルがProduceしたインスト曲「Escape」は、85年度のグラミーで最優秀ロックインストを受賞しています。ナイルのファンとしては、NILEのROCK Produce作品としては、ミック・ジャガーよりも欠くことのできないアルバム。
71年にデビューしたその名のとおりの姉妹グループ、シスター・スレッジ。当初はR&Bでスマッシュヒットを生んでいましたが、彼女らが一躍スターダムにのしあがったのが、CHICと平行してProduce業も始めたナイル&バーナードが関わった『We Are Family』(79)。アルバムもヒットし、愛のグルーブに満ち溢れた「We Are Family」は、R&Bで1位、Hot-100でも2位のヒットになります。ナイルたちにとっても初めての外部プロデュースのヒットで、彼女らとのつながりは現在にも至っているようです。
そんな中、スーパーProducerとなったナイルが全編Produceしたシスター・スレッジの8枚目のオリジナルアルバムです。(現時点では最後)文句なしにバラエティーに富んだナイルのGrooveがつまっているし、シスター・スレッジとの相性も抜群。マドンナ風の曲もあるし、ちょっとCHICの香りも感じる曲もある。ただちょっと不満なのが、音がチープな感じなんです。特にドラム。『ライク・ア・バージン』のようにトニー・トンプソンのタイトなドラムがはいってれば全然ちがうと思うんですが。のってるナイルの85年作ですが、ヒットはせず。
ナイルの85年の仕事量は半端じゃない。前年から製作している作品もあると思いますが、自身名義のソロアルバムも出しちゃうのです。ただ、クレジットを見ると83年、84年の曲もあるので過去にストックしていた曲を、のってる今出しとくかっていう商魂がちょっと働いたなと思っちゃいました。ナイル名義のソロは、この前に83年の『Adventers In The Land Of The Good Groove』があります。87年には、私も好きなキーボードPlayer・フィリップ・セスと『OutLoud』(アウトラウド)を結成したりもしています。ナイルのVocalは実はかなりいけてる。普通にうまい。こんなに歌える人とは思いませんでした。
音的には、お決まりと言えば定番のナイルの音。そしてこの2ndソロ作も、音が軽い。シングルヒットは「Let's Go Out Tonight」(R&B-35位、Hot100-88位)。ナイル名義でチャートインしている曲はこの曲しかみない。明るいDance ナンバーなんですが、当時から親日家だったのか、日本語が曲間に入りまくり。オープニングから「今夜どっかいこうよ、どっかいこうぜ今夜、あぞぼうぜ今夜」って言葉から始まります。おれ初めて聞いたとき、日本語と認識していませんでした。途中、「なんですか~」←さんまちゃんじゃん。「すごくダンスしたい、すごく踊りたい、死ぬほど踊りたい、めちゃくちゃ踊りたい、タイ、シタイ、シタイ、タイ、タイ、タイ」って。USAではこの語感は新鮮だったのだろうか。今聞くと、かなり恥ずかしい。でもかなりうける。本編とは関係なとこでもりあがっちゃった。
トンプソン・ツインズ、日本でも人気のあった英国の3人組のエレクトリックPOPバンド。80'Sといえばカセットテープ、でMAXELL(マクセル)のカセットテープのCMに、ワムの後に起用されていたのもあるだろうな。UD‐2よく使ってました。このCMではアルバムからのヒット曲が使われていました。私も大好きな全米6位の「レイ・ユア・ハンズ」もナイルによってピースフルでダンサンブルな仕上がりとなります。アルバムも全編ナイルによって都会的なダンサンブルな1枚となっています。サウンドも、85年の前半作品とはちがう印象も受けます。機器を変えたのか、アプローチを変えたのかはわかりませんが、NileのProduceがさえるアルバムだと思います。個人的には「レイ・ユア・ハンズ」はかなりのFav曲。リマスター盤は、Extendedがいろいろと収録されていておすすめです。
英国のポップスター、シーナ・イーストン。81年度のグラミーで新人賞を獲得、その時彼女は22歳。そこからチャンスにも恵まれ、女性ポップ・アーティストのトップの地位を築きつつあった彼女が、新鋭マドンナのブレイクを意識しないわけはなかったでしょう。そして、彼女もナイルにプロデュースを依頼します。こちらは、ヨーロピアンテイストであきらかにシックよりのサウンド。マドンナのようなメガヒットにはなりませんでした。ちょっと楽曲がおちる感じ。しかし、1stの「Do It For Love」はエレガントなポップなサウンド。そして私が超気に入ってる「Can't Wait Till Tomorrow」、ロック色が強いですが、ナイルのギターがかなりかっこいい。ナイルのギターはカッティングだけではありません。ソロPlayも超かっこいい。そしてクールなシーナのボーカルにもFitしてます。あと、珍しくナイルが単独で書いたミディアムバラード、「Magic Of Love」もキャッチャーで大好き。ナイルのミディアムソングのおすすめ。今回紹介するリマスター盤は、「Do It For You」と「Can't Wait Till Tomorrow」のExtendedも収録されていておすすめです。
シーナはこの後も、シーンを代表する旬のプロデューサーを次々とむかえます。ナラダ・マイケル・ウォルデン、LA&BABYFACE(見事「Lover In Me」はビルボード2位)、そしてプリンスとも一時期恋人と噂されたように 、濃厚に絡みます。
アース・ウィンド&ファイアーのフィリップ・ベイリーとナイルのコラボ。これもエキサイトな組み合わせ。ナイルも全面プロデュースでギターもひきまくり。魅力あるグルービーな曲が満載。85年のナイル作品は、打ち込みサウンドがすごくチープな感じのアルバムもありましたが、86年作品は、どれも格段に録音のバランスがよくなっています。
1曲目のダンサンブルな「Welcome To The Club」で幕をあける。2曲目シングルにもなった「State Of The Heart」の粘っこいファンクはシステムの曲をナイルがプロデュース。クオリティーの高い楽曲がそろっていますが、シングルヒットはこの曲のR&Bで20位。6曲目「Special Effect」もシックの匂いがプンプンのかっこいい曲。そして大ヒットした「イージーラバー」を彷彿させる、「Back It Up」には、フィル・コリンズ、ジェフ・ベック、レイパーカーJrなどが参加のスーパーセッション曲。バラード系はちょっとおちるかもしれないけど、すごいゴージャスなアルバム。Nile作品の代表格。
グレイス・ジョーンズ、インパクトあります。食べられちゃいそうです。ジャマイカ出身のモデル、女優、そして歌手とマルチな活躍をされます。女優としては007シリーズの『美しき獲物たち』の悪役が印象に残る。歌手としても、個性的で斬新なアプローチでアルバムをだしています。そして、ナイルと出会うことになります。このアルバムも全編ナイルProduce。彼女の低音のVocalとキャラにあった「I'm Not Perfect」がR&B-9位、Hot100-69位。個人的に好きなのが、ナイルって意外とJazzyな感じのSOUNDないのですが、「Victor Should Have Been A Jazz Musician」でのギターPlayは新鮮。ナイルの作品は、アーティストがナイルのSOUNDに染まる感じがしますが、グレイスの場合は、彼女のキャラが勝ってる感じ。
ジャズ畑のアル・ジャロウとナイルの組み合わせはちょっと予想できなかったのでは。お互いにチャレンジだったと思う。結果的には、すばらしい仕上がりだと思います。ナイルは、曲は書かず、サウンド面に集中します。聴きやすくていい曲が多いし、ナイルとのグルーブの融合も絶妙で、全編ポップさもあって、ナイルのてがけたアルバムでもお気に入りの1枚。
そして、おれの大好きなキーボード奏者、フィリップ・セスも参加しており、曲を書いたり、ナイスなキーボードも弾いています。これが、お気に入り度を増大させた一因かも。けっこうフィリップ・セスのカラーも出てる気がする。この組み合わせは、87年の「アウトラウド」というワンショットバンドの結成につながる。そしてもちろんアル・ジャロウのボーカルもすばらしいです。
アルとはTVドラマ『MOONLIGHTING』(『こちらブルームーン探偵社』)のテーマソングの「Moonlighting」をエレガントにキャッチャーに仕上げています。今回のリマスター盤のボーナストラックとなっていますのでお薦めです。
デュランとシックも深いつながりをもつ。80年代彼らは、英米、そして日本でも絶大な人気だった。84年、彼らにとって、初の米国1位に輝いた「リフレックス」をリミックスし強力な曲に変貌させたのもナイル。「ワイルド・ボーイズ」も全米2位。バーナードによる、007の主題歌にもなった「A View To A Kill」も全米1位。そして実際に組んだ伝説のワンショットバンド、パワーステーションもすばらしい!
デュランは、当時はいわゆるビジュアル先行のバンドのイメージでしたが、確かな音楽性とミュージシャン魂をもったグループでもありました。ナイル・ロジャースが、ギターリストのアンディ―・テイラーやジョン・テイラーをNEXTレベルに導いたとこもあるんじゃないかな。
85年は、まさに彼らの音楽性の素晴らしさを、DURAN DURANというバンドの凄さを認識した1年でもありました。ジョンとアンディ―は、CHICのバーナードとトニー・トンプソン、そしてボーカルにロバート・パーマーを招いてThe Power Stationを結成。DURANではできなかったエネルギッシュなギターPlayをこのグループで爆発させます。さらに、Duranのサウンドの要ニック・ローズとボーカルのサイモン・ル・ボン、ロジャー・テイラーでArcadia(アーケイディア)を結成。これまたDURANとはちがうTasteのSOUNDを聞かせるのです。ニックのロマンティシズムが反映されている印象を受けます。Top10に入ったのは「エレクションデイ」のみでしたが、独自のアルバムのカラーをもった1枚です。さらに「Flame」も好き。この曲のRemixをNileが手がけています。
そして86年、別れて活動していたメンバーが母体のDURANにもどってアルバムを制作したのがこの『NOTORIOUS』です。今作には、オリジナル5人のメンバーのうち、ロジャーは音楽活動を離れ、アンディ―もパワステで火が付いたロック魂がおさえれずデュランの音楽性と決別(また帰還しますが)し、3人となります。アンディが脱退した後の今作に、ナイルを全面プロデュースにむかえます。ナイルはアンディの穴をうめるべく4番目のデュランとしてミュージシャンとしても活躍。そしてR&Bテイストあふれるポップソング、「ノトーリアス」も全米2位になるビックヒット。アルバムもダンサンブルで、エレガントで好きです。リマスター盤は、「ノトーリアス」のExtended等レアなRemixも収録されていておすすめ。
ダイアナとは、80年の『ダイアナ』で共演しています。しかし、当時ダイアナと彼女の所属するモータウンが、あまりにもシック色が強いということで、ナイルらに無断でリミックスをし直したことは、ナイルはかなりショックうけたようです。しかし、結果的には、「アップサイドダウン」は見事全米1位のビックヒット。このアルバムの実績でナイルとシックの評価がさらにました。
それから9年の月日が流れたこの頃、ダイアナはビックヒットに恵まれていませんでした。そして再びナイルと組んでつくりあげたのが89年のこのアルバム。9年前はDiscoムーブメントにのり、洗練された「Upside Down」、「I'm Coming out」という時代の最先端SOUNDを生み出しました。9年たったニューヨーク・ハーレムは、Hip HopのStreet SOUNDに染まっていました。その火付け役となったのがテディー・ライリーです。9年前は、ナイルが時代の最先端でシーンに影響を与えていましたが、今やテディーの生み出すHip HopなGrooveとスネアを意識せず音を作ることは無理。
このアルバムは、ある意味、Hip HopとナイルのGrooveが絶妙に融合した作品だと思います。シングルのHip Hop-R&B的な「Working Over Time」はR&Bで3位とぼちぼちのヒットをしますが、Hot-100でチャートインしないのは、ダイアナとしては不本意でしょう。ナイルもNew Jack Swingを意識しているのがわかります。
2曲目の「Say We Can」はかなりかっこいい。4曲目「Bottom Line」も好き。5曲目の「This House」は前述のシーナ・イーストンの「マジック・オブ・ラブ」にも似ていますが、さらに美しく仕上がって、ダイアナの声ともフィットしててすばらしい。後半はハウス的なSOUNDが続く。当時のニューヨークサウンドがつまっていますが、時代の流れはテディ・ライリーという新たなグルーブの天才に流れつつありました。ナイルにとっても80'Sは黄金の80年代でしたが、90年代に入るとメガヒットをうみだすパワーは失われていくのです。
しかし、ナイルとCHICのサウンドは、90年代に入っても、サンプリングという形でR&B-Hip Hopシーンに多大な影響を与え続けます。ノトーリアスB.I.Gの全米No1のヒット曲「Mo Money Mo Problems」では、ダイアナの「I'm Coming Out」をサンプリング。ナイルのギター・カッティングをフィーチャーしこれが見事にあたりました。
ナイルの主要Produce作品でした。元があったとはいえかなり加筆しました。っていうかこんなに気合い入れてNile作品紹介してる奴いねーだろ。80'SのナイルのWORKSは神がかっています。以前にも述べましたが、85年はナイルの年といってもいい。ビルボードのProducer Of The Yearはナイルですが、グラミーにおいてはプロデューサー部門のノミネートもされず。唯一、ジェフ・ベックとの曲で最優秀ロックインストは受賞しますが、ほんとDance Musicが軽視されていたのを感じます。わかってる奴はわかってると思うけど、70年代後半から活躍するナイル・ロジャースの功績はとてつもないと思います。私はナイル・ロジャースをリスペクトし続けます。そしていつかこの思いをナイルに伝えたい。
★上記で紹介したNileとCHICのヒット曲をレーベルをこえて収録。新録もあり。
★96年JTプロデューサー公演の記念盤。これまたNILE&CHICのヒット作を今のGrooveで再現。
ナイル・ロジャースは、スーパーギターリストですが、さらにテクノロジーにもたける。最新の機器を導入して、自身のGrooveとミックスした。正確で、様々なスネアを生み出すドラムマシーンも重宝した。しかし、それがCHICの仲間、ドラムのトニー・トンプソンとの隔たりを生んだのも事実。(一時期、疎遠のようでしたがトニーの葬儀にもちろんナイルは参列しています。参列しないわけがない。)テディー・ライリーやロドニー・ジャーキンス、Jam&Lewisもミュージシャンで楽器も使えるけど、ギターリストではない。ナイルのProduce WORKがすごいのが、自身がすごいギターリストであり、テクノロジーも使いこなしてProduceしたところ。そしてナイルのギターにはリズムが宿る。
それでは作品の紹介です。日々、書き加えていったらけっこうな量になりました。最後まで見てね。
![]() | Chic |
クリエーター情報なし | |
Wea International |
92年に発表されたシックの8年ぶりのリユニオンアルバム。トニー・トンプソンは不参加というか、残念ながら参加できる関係になかった感じ。そして、私もリアルタイムに購入したシックのアルバムです。それまで、ナイル・ロジャースやバーナード・エドワーズがプロデュースした作品は聞いていましたが、伝説のグループと化ししつつあったシックは過去のグループのように思っていました。しかし、初めて聴いたシックの復帰作に見事にノックアウトされます。とにかく理屈ぬきにかっこいい!当時、はじめて車を購入した事もあって、ドライブにも最適なこのアルバムはカーステでききまくりました。(今でも愛聴盤ですが)さらに、このアルバムで、ナイルのサウンドをあらためて評価し、彼のプロデュース作品を購入していくことになります。
出だしから、シックのグルーブが全開。1曲目から4曲目までそれぞれちがったGrooveで、一気に聴けます。特に2曲目の「Your Love」はお気に入り。バーナードのまさにうねるようなベースに、ナイルのカッティングが入ってくる。4曲目の「Something You Can Feel」もRapとシック・サウンドが見事に融合、後半になるにつれ、ジワジワとギターのグルーブが増してくる手法も見事。9曲目の「My Love's For Real」も「Good Time」っぽいグルーブでいい。12曲目の「M.M.F.T.C.F」はインストでナイルのギターのかっこよさがよくわかる。
今となっては、この作品がCHICの最後のオリジナルアルバムとなりました。(正確には、トニーは欠けていますが)しかしこのアルバムには不変のGrooveがつまっています。
![]() | Let's Dance [ENHANCED CD] |
クリエーター情報なし | |
Virgin Records Us |
CHICのナイル・ロジャースからProducerのナイル・ロジャースへの転換点となったデヴィッド・ボウイとの83年の作品です。英国ロックのスーパースター、デビット・ボウイがEMIに移籍し、新たな自分のスタイルを模索し、ボウイの方からナイルに声をかけ彼をプロデューサーにむかえる。ナイルにとってもこのプロデュースの成功がターニングポイントとなり、超売れっ子Producerとなっていく。ナイルはこのプロジェクトを「モダン・ビック・バンド・ロック」と位置付ける。
キーワードは「Dance」。ボウイとナイルは、ボウイサイドが招集したミュージシャンたちとレコーディングをすすめていきますが、自分たちの要求する音を彼らがうまくだせない。そこでナイルは、当時解散し、疎遠になっていたCHICの旧友をスタジオに呼ぶ。まずベースのバーナードに声をかける。久々にあった2人でしたが、バーナードはナイルが求めている音がすぐにわかったといいます。そして、その後、ドラムのトニー・トンプソンもかけつけ、そのダイナミックなドラムを録音する。こうして「レッツ・ダンス」は文句のつけようのない仕上がりになります。ボウイも70年代後半、シーンを席巻したCHICの実力を目の当たりにすることとなるのです。
そして「Let's Dance」は見事ビルボード1位を獲得。アルバムも、83年度のグラミーのアルバム部門にもノミネートされます。ボウイにとってもキャリア最大のヒット作となります。ボウイも、出来上がるまでは複雑だったが、仕上がりはシンプル、明るく情熱的でのれるサウンドとナイルの方向性に納得しているようです。今聴いても新しい。90年代に入り、ナイルとシックSOUNDをこの上なくリスペクトするP.Diddyも、「Been Around The World」でサンプリングし大ヒット。ボウイの昔からのファンはこの頃のサウンドには否定的みたいですが、ナイル・ロジャースを語るときにはさけて通れないアルバム。その他、「Chaina Girl」などもヒット。この曲も、いい感じです。
![]() | ライク・ア・ヴァージン |
クリエーター情報なし | |
ワーナーミュージック・ジャパン |
マドンナをスーパースターに導いた84年の2nd。「ライク・ア・バージン」「マテリアル・ガール」のメガヒットをうむ。ナイルのプロデューサーとしてのステイタスを決定づけた。
当初、マドンナはセンセーショナルな内容のこの曲に難色をしめしたといいます。そのため、ナイルも一時はレコーディングを断念しようかとも考えたみたいですが、どうしてもこの曲が頭から離れない。彼はマドンナを説得し、レコーディングをする。この曲はヴァージンというWORDが先行してしまうとこがありますが、実はPrueなLove SONG。塞ぎ込み迷っていた私をあなたが甦らせてくれたというテーマ。そして結果は見事に全米1位。85年のビルボード年間チャートでも2位というメガヒットになる。マドンナを一躍スーパースターに押しあげ、80'Sを代表する楽曲にもなった。
そしてこのサウンドのバックをつとめたのもシックの面々でした。ベースはバーナード、ドラムはトニー・トンプソン。マドンナのキャラが強烈なので、サウンドは後回しになりがちですが、、あらためてきけば、いかにシックがすばらしいミュージシャンかがわかるはず。マドンナも不平不満は一切言わず、ナイルに全信頼を置いてレコーディングに臨み、ナイルのProduceに身をゆだねる。
リマスター盤は、音がよりクリアで、「ライク・ア・バージン」「マテリアル・ガール」のExtendedも収録されています。後、別にRemix CDとして「Angel」のExtended、ジェリビーンRemixの「Dress You Up」のExtendedの仕上がりも最高。
余談ですが、シングル「ライク・ア・バージン」は84年12月にNo1に輝きます。そして年が明けて、85年最初の1月5日のチャートでも1位をKeepします。そして、さらに驚きは、2位もナイルが手がけたデュラン・デュランの「Wild Boys」、さらに3位がナイルも参加したスーパーギタリストがワンショット的に結成したハニー・ドリッパーズの「She Of Love」とベスト3すべてにナイル・ロジャースが絡むという現象がおきます。まさにこれは85年がナイル・ロジャースの年になる事を予感させた出来事でした。
![]() | シーズ・ザ・ボス |
ミック・ジャガー,C.Alomar,キース・リチャーズ | |
ワーナーミュージック・ジャパン |
85年に入り、ミック・ジャガーのソロデビュー作にナイルは3曲絡みます。バリバリロックのローリング・ストーンズのミック・ジャガーとエレガントダンスバンドのシックのナイル・ロジャースとの共演は興味深い。ミック・ジャガーとナイルの組み合わせは意外でしたが、ナイルはCHICのコンセプトが明確になるまでは、普通にロックをやってたそうですから、NILE的には全く違和感なかったのかもしれません。ミックも、前年はジャクソンズのアルバムに招かれマイケル・ジャクソンと「State Of Shock」を共演したり、ナイルを招いたりとやはりストーンズとはちがうアプローチをしている感じ。ナイルの作品はシングルヒットしていませんが、アルバムの完成度を高めています。
バーナード・エドワーズもベースで参加。トニー・トンプソンも1曲参加していますが、なぜかナイルProduce作品には絡んでいません。バーナードも、この後、ロバート・パーマーやロッド・スチュアートを手がける事でもわかるように、ナイル以上にロックよりのアプローチをする。彼らが元々、ロックで勝負していたというのもわかる。しかし、ディスコムーブメントになり洗練されたダンスSOUNDに方向転換したことが成功につながったというのも不思議なもの。まー本物はカテゴリーではくくれないということか。
ミック・ジャガーは、85年末には、デヴィッド・ボウイと「Dancing In The Street」で共演。この曲にもナイルは絡みます。おれ的にミックのボーカルスタイルは未だになじめないのは正直なとこ。
![]() | フラッシュ(紙ジャケット仕様) |
ジェフ・ベック | |
Sony Music Direct |
ジェフ・ベック、有名なギターリストという知識しかございません。日本で人気があり、日本で3大ギターリストといえば、エリック・クラプトン、ジミー・ペイジ(レッド・ツェッペリン)そして、このジェフ・ベックらしい。ローリングストーン誌が選ぶ最高のギターリスト100で14位でした。(ちなみに1位は、ジミ・ヘンドリックス)私は、ナイル・ロジャースがProduceしたこの作品しかジェフを聞いたことがないので彼を語れません。
ナイルは、前述のボウイ、マドンナのメガヒットで一躍Top Producerとなった。でジェフはナイルを起用したいうわけでもなく、ナイルとは、前年ハニー・ドリッパーズというセッションバンドを結成し、ジミー・ペイジとナイルの3人でアルバムを出しています。すごいメンツ。ナイルは、前述のローリングストーン誌の、Best100ギターリストの中に入っていません。なんで???前述のミックのアルバムでも共演しており、その流れでナイルが大ブレイクする前から、アルバムを制作する約束をしていたのかもしれません。
多少なりとも時代との距離感をつめようとしてナイルを起用したこのアルバムだそうですが、ジェフ自身は、あまりこのアルバムを気に入ってないよう。従来のファンも、旧友のロッド・スチュワートが参加した「People Get Ready」の評価は高いですが、全体的には低い評価。ナイルの80'S的なProduceスタイルが軽く思われたのでしょうか。しかし、ヤン・ハマーも参加し、ナイルがProduceしたインスト曲「Escape」は、85年度のグラミーで最優秀ロックインストを受賞しています。ナイルのファンとしては、NILEのROCK Produce作品としては、ミック・ジャガーよりも欠くことのできないアルバム。
![]() | When the Boys Meet the Girls |
クリエーター情報なし | |
Wounded Bird |
71年にデビューしたその名のとおりの姉妹グループ、シスター・スレッジ。当初はR&Bでスマッシュヒットを生んでいましたが、彼女らが一躍スターダムにのしあがったのが、CHICと平行してProduce業も始めたナイル&バーナードが関わった『We Are Family』(79)。アルバムもヒットし、愛のグルーブに満ち溢れた「We Are Family」は、R&Bで1位、Hot-100でも2位のヒットになります。ナイルたちにとっても初めての外部プロデュースのヒットで、彼女らとのつながりは現在にも至っているようです。
そんな中、スーパーProducerとなったナイルが全編Produceしたシスター・スレッジの8枚目のオリジナルアルバムです。(現時点では最後)文句なしにバラエティーに富んだナイルのGrooveがつまっているし、シスター・スレッジとの相性も抜群。マドンナ風の曲もあるし、ちょっとCHICの香りも感じる曲もある。ただちょっと不満なのが、音がチープな感じなんです。特にドラム。『ライク・ア・バージン』のようにトニー・トンプソンのタイトなドラムがはいってれば全然ちがうと思うんですが。のってるナイルの85年作ですが、ヒットはせず。
![]() | B-ムーヴィー・マティネー |
クリエーター情報なし | |
ダブリューイーエー・ジャパン |
ナイルの85年の仕事量は半端じゃない。前年から製作している作品もあると思いますが、自身名義のソロアルバムも出しちゃうのです。ただ、クレジットを見ると83年、84年の曲もあるので過去にストックしていた曲を、のってる今出しとくかっていう商魂がちょっと働いたなと思っちゃいました。ナイル名義のソロは、この前に83年の『Adventers In The Land Of The Good Groove』があります。87年には、私も好きなキーボードPlayer・フィリップ・セスと『OutLoud』(アウトラウド)を結成したりもしています。ナイルのVocalは実はかなりいけてる。普通にうまい。こんなに歌える人とは思いませんでした。
音的には、お決まりと言えば定番のナイルの音。そしてこの2ndソロ作も、音が軽い。シングルヒットは「Let's Go Out Tonight」(R&B-35位、Hot100-88位)。ナイル名義でチャートインしている曲はこの曲しかみない。明るいDance ナンバーなんですが、当時から親日家だったのか、日本語が曲間に入りまくり。オープニングから「今夜どっかいこうよ、どっかいこうぜ今夜、あぞぼうぜ今夜」って言葉から始まります。おれ初めて聞いたとき、日本語と認識していませんでした。途中、「なんですか~」←さんまちゃんじゃん。「すごくダンスしたい、すごく踊りたい、死ぬほど踊りたい、めちゃくちゃ踊りたい、タイ、シタイ、シタイ、タイ、タイ、タイ」って。USAではこの語感は新鮮だったのだろうか。今聞くと、かなり恥ずかしい。でもかなりうける。本編とは関係なとこでもりあがっちゃった。
![]() | Here's to Future Days |
クリエーター情報なし | |
Edsel Records UK |
トンプソン・ツインズ、日本でも人気のあった英国の3人組のエレクトリックPOPバンド。80'Sといえばカセットテープ、でMAXELL(マクセル)のカセットテープのCMに、ワムの後に起用されていたのもあるだろうな。UD‐2よく使ってました。このCMではアルバムからのヒット曲が使われていました。私も大好きな全米6位の「レイ・ユア・ハンズ」もナイルによってピースフルでダンサンブルな仕上がりとなります。アルバムも全編ナイルによって都会的なダンサンブルな1枚となっています。サウンドも、85年の前半作品とはちがう印象も受けます。機器を変えたのか、アプローチを変えたのかはわかりませんが、NileのProduceがさえるアルバムだと思います。個人的には「レイ・ユア・ハンズ」はかなりのFav曲。リマスター盤は、Extendedがいろいろと収録されていておすすめです。
![]() | Do You |
クリエーター情報なし | |
One Way Records |
英国のポップスター、シーナ・イーストン。81年度のグラミーで新人賞を獲得、その時彼女は22歳。そこからチャンスにも恵まれ、女性ポップ・アーティストのトップの地位を築きつつあった彼女が、新鋭マドンナのブレイクを意識しないわけはなかったでしょう。そして、彼女もナイルにプロデュースを依頼します。こちらは、ヨーロピアンテイストであきらかにシックよりのサウンド。マドンナのようなメガヒットにはなりませんでした。ちょっと楽曲がおちる感じ。しかし、1stの「Do It For Love」はエレガントなポップなサウンド。そして私が超気に入ってる「Can't Wait Till Tomorrow」、ロック色が強いですが、ナイルのギターがかなりかっこいい。ナイルのギターはカッティングだけではありません。ソロPlayも超かっこいい。そしてクールなシーナのボーカルにもFitしてます。あと、珍しくナイルが単独で書いたミディアムバラード、「Magic Of Love」もキャッチャーで大好き。ナイルのミディアムソングのおすすめ。今回紹介するリマスター盤は、「Do It For You」と「Can't Wait Till Tomorrow」のExtendedも収録されていておすすめです。
シーナはこの後も、シーンを代表する旬のプロデューサーを次々とむかえます。ナラダ・マイケル・ウォルデン、LA&BABYFACE(見事「Lover In Me」はビルボード2位)、そしてプリンスとも一時期恋人と噂されたように 、濃厚に絡みます。
![]() | Inside Out |
クリエーター情報なし | |
Columbia |
アース・ウィンド&ファイアーのフィリップ・ベイリーとナイルのコラボ。これもエキサイトな組み合わせ。ナイルも全面プロデュースでギターもひきまくり。魅力あるグルービーな曲が満載。85年のナイル作品は、打ち込みサウンドがすごくチープな感じのアルバムもありましたが、86年作品は、どれも格段に録音のバランスがよくなっています。
1曲目のダンサンブルな「Welcome To The Club」で幕をあける。2曲目シングルにもなった「State Of The Heart」の粘っこいファンクはシステムの曲をナイルがプロデュース。クオリティーの高い楽曲がそろっていますが、シングルヒットはこの曲のR&Bで20位。6曲目「Special Effect」もシックの匂いがプンプンのかっこいい曲。そして大ヒットした「イージーラバー」を彷彿させる、「Back It Up」には、フィル・コリンズ、ジェフ・ベック、レイパーカーJrなどが参加のスーパーセッション曲。バラード系はちょっとおちるかもしれないけど、すごいゴージャスなアルバム。Nile作品の代表格。
![]() | Inside Story |
クリエーター情報なし | |
EMI Gold |
グレイス・ジョーンズ、インパクトあります。食べられちゃいそうです。ジャマイカ出身のモデル、女優、そして歌手とマルチな活躍をされます。女優としては007シリーズの『美しき獲物たち』の悪役が印象に残る。歌手としても、個性的で斬新なアプローチでアルバムをだしています。そして、ナイルと出会うことになります。このアルバムも全編ナイルProduce。彼女の低音のVocalとキャラにあった「I'm Not Perfect」がR&B-9位、Hot100-69位。個人的に好きなのが、ナイルって意外とJazzyな感じのSOUNDないのですが、「Victor Should Have Been A Jazz Musician」でのギターPlayは新鮮。ナイルの作品は、アーティストがナイルのSOUNDに染まる感じがしますが、グレイスの場合は、彼女のキャラが勝ってる感じ。
![]() | L Is for Lover |
クリエーター情報なし | |
Friday Music |
ジャズ畑のアル・ジャロウとナイルの組み合わせはちょっと予想できなかったのでは。お互いにチャレンジだったと思う。結果的には、すばらしい仕上がりだと思います。ナイルは、曲は書かず、サウンド面に集中します。聴きやすくていい曲が多いし、ナイルとのグルーブの融合も絶妙で、全編ポップさもあって、ナイルのてがけたアルバムでもお気に入りの1枚。
そして、おれの大好きなキーボード奏者、フィリップ・セスも参加しており、曲を書いたり、ナイスなキーボードも弾いています。これが、お気に入り度を増大させた一因かも。けっこうフィリップ・セスのカラーも出てる気がする。この組み合わせは、87年の「アウトラウド」というワンショットバンドの結成につながる。そしてもちろんアル・ジャロウのボーカルもすばらしいです。
アルとはTVドラマ『MOONLIGHTING』(『こちらブルームーン探偵社』)のテーマソングの「Moonlighting」をエレガントにキャッチャーに仕上げています。今回のリマスター盤のボーナストラックとなっていますのでお薦めです。
![]() | NOTORIOUS (2CD & DVD SPECIAL EDITION) |
クリエーター情報なし | |
EMI |
デュランとシックも深いつながりをもつ。80年代彼らは、英米、そして日本でも絶大な人気だった。84年、彼らにとって、初の米国1位に輝いた「リフレックス」をリミックスし強力な曲に変貌させたのもナイル。「ワイルド・ボーイズ」も全米2位。バーナードによる、007の主題歌にもなった「A View To A Kill」も全米1位。そして実際に組んだ伝説のワンショットバンド、パワーステーションもすばらしい!
デュランは、当時はいわゆるビジュアル先行のバンドのイメージでしたが、確かな音楽性とミュージシャン魂をもったグループでもありました。ナイル・ロジャースが、ギターリストのアンディ―・テイラーやジョン・テイラーをNEXTレベルに導いたとこもあるんじゃないかな。
85年は、まさに彼らの音楽性の素晴らしさを、DURAN DURANというバンドの凄さを認識した1年でもありました。ジョンとアンディ―は、CHICのバーナードとトニー・トンプソン、そしてボーカルにロバート・パーマーを招いてThe Power Stationを結成。DURANではできなかったエネルギッシュなギターPlayをこのグループで爆発させます。さらに、Duranのサウンドの要ニック・ローズとボーカルのサイモン・ル・ボン、ロジャー・テイラーでArcadia(アーケイディア)を結成。これまたDURANとはちがうTasteのSOUNDを聞かせるのです。ニックのロマンティシズムが反映されている印象を受けます。Top10に入ったのは「エレクションデイ」のみでしたが、独自のアルバムのカラーをもった1枚です。さらに「Flame」も好き。この曲のRemixをNileが手がけています。
そして86年、別れて活動していたメンバーが母体のDURANにもどってアルバムを制作したのがこの『NOTORIOUS』です。今作には、オリジナル5人のメンバーのうち、ロジャーは音楽活動を離れ、アンディ―もパワステで火が付いたロック魂がおさえれずデュランの音楽性と決別(また帰還しますが)し、3人となります。アンディが脱退した後の今作に、ナイルを全面プロデュースにむかえます。ナイルはアンディの穴をうめるべく4番目のデュランとしてミュージシャンとしても活躍。そしてR&Bテイストあふれるポップソング、「ノトーリアス」も全米2位になるビックヒット。アルバムもダンサンブルで、エレガントで好きです。リマスター盤は、「ノトーリアス」のExtended等レアなRemixも収録されていておすすめ。
![]() | ワーキング・オーヴァータイム |
クリエーター情報なし | |
EMIミュージック・ジャパン |
ダイアナとは、80年の『ダイアナ』で共演しています。しかし、当時ダイアナと彼女の所属するモータウンが、あまりにもシック色が強いということで、ナイルらに無断でリミックスをし直したことは、ナイルはかなりショックうけたようです。しかし、結果的には、「アップサイドダウン」は見事全米1位のビックヒット。このアルバムの実績でナイルとシックの評価がさらにました。
それから9年の月日が流れたこの頃、ダイアナはビックヒットに恵まれていませんでした。そして再びナイルと組んでつくりあげたのが89年のこのアルバム。9年前はDiscoムーブメントにのり、洗練された「Upside Down」、「I'm Coming out」という時代の最先端SOUNDを生み出しました。9年たったニューヨーク・ハーレムは、Hip HopのStreet SOUNDに染まっていました。その火付け役となったのがテディー・ライリーです。9年前は、ナイルが時代の最先端でシーンに影響を与えていましたが、今やテディーの生み出すHip HopなGrooveとスネアを意識せず音を作ることは無理。
このアルバムは、ある意味、Hip HopとナイルのGrooveが絶妙に融合した作品だと思います。シングルのHip Hop-R&B的な「Working Over Time」はR&Bで3位とぼちぼちのヒットをしますが、Hot-100でチャートインしないのは、ダイアナとしては不本意でしょう。ナイルもNew Jack Swingを意識しているのがわかります。
2曲目の「Say We Can」はかなりかっこいい。4曲目「Bottom Line」も好き。5曲目の「This House」は前述のシーナ・イーストンの「マジック・オブ・ラブ」にも似ていますが、さらに美しく仕上がって、ダイアナの声ともフィットしててすばらしい。後半はハウス的なSOUNDが続く。当時のニューヨークサウンドがつまっていますが、時代の流れはテディ・ライリーという新たなグルーブの天才に流れつつありました。ナイルにとっても80'Sは黄金の80年代でしたが、90年代に入るとメガヒットをうみだすパワーは失われていくのです。
しかし、ナイルとCHICのサウンドは、90年代に入っても、サンプリングという形でR&B-Hip Hopシーンに多大な影響を与え続けます。ノトーリアスB.I.Gの全米No1のヒット曲「Mo Money Mo Problems」では、ダイアナの「I'm Coming Out」をサンプリング。ナイルのギター・カッティングをフィーチャーしこれが見事にあたりました。
ナイルの主要Produce作品でした。元があったとはいえかなり加筆しました。っていうかこんなに気合い入れてNile作品紹介してる奴いねーだろ。80'SのナイルのWORKSは神がかっています。以前にも述べましたが、85年はナイルの年といってもいい。ビルボードのProducer Of The Yearはナイルですが、グラミーにおいてはプロデューサー部門のノミネートもされず。唯一、ジェフ・ベックとの曲で最優秀ロックインストは受賞しますが、ほんとDance Musicが軽視されていたのを感じます。わかってる奴はわかってると思うけど、70年代後半から活躍するナイル・ロジャースの功績はとてつもないと思います。私はナイル・ロジャースをリスペクトし続けます。そしていつかこの思いをナイルに伝えたい。
★上記で紹介したNileとCHICのヒット曲をレーベルをこえて収録。新録もあり。
![]() | エヴリバディ・ダンス! |
ナイル・ロジャース,シック | |
ワーナーミュージック・ジャパン |
★96年JTプロデューサー公演の記念盤。これまたNILE&CHICのヒット作を今のGrooveで再現。
![]() | シック・フリーク |
ナイル・ロジャース | |
ビデオアーツ・ミュージック |
80'S系の名盤、デジタルリマスターされた再発盤がけっこう出ていますが、Extended等のボーナストラックもついていてお得ですよ。私は、この前アーケイディアの3枚組再発盤を買っちゃいました。
Arcadiaの『So Red The Roses』のスペシャル・エディション知りませんでした。
2枚目のExtended系のリスト最高ですね。「The Flame」もあるし。あと、けっこうPVもいいんですよね。
こういう情報うれしいです。ありがとうございます。