昨日の続きです。
そのリーダーだった男の子のことは もう一つ かっこよかったな~って思う思い出があります。
冬の終わりで 太陽がつららにあたってきらきら輝いてとてもきれいな日でした。
もうすぐ春がやってくると予感させるような穏やかな日でした。
いつものように1グループが集まって日向ぼっこのようなことやってるとき
その年長の男の子が、「よし、春を探しに行こう』と言ったのです。
(よし、といったかどうかは分かりませんが・・・。)
で、みんなも「行こう、行こう」ということになり
7,8人のグループが、特別の用意もなく、その男の子について行ったのです。
確か一番下の子は、おそらく3歳くらいの子もいたと思うのです。
意気揚々と一個団体、その男の子について、出かけました。
最初のうちは、田んぼの畦が日の光に照らされて、雪の溶けてる所から緑の草が生えていたりすると
見つけた子が、大声で、「春見つけた~」って叫ぶとみんなが寄ってきて
「本当だ」ってたくさんの目がその緑を見つめ、
緑色が照れて赤くなってしまうくらいに、覗き込むのです。
そうこうしてるうちに、年少の子が疲れてきて、半ベソをかきます。
するとその年長の男の子は、当然のようにその子をおぶって先に進みます。
昔ですから、今のように防寒靴なんてありません。
みんな長靴です。
小さい子は、短い長靴の中に雪が入ったりして、ぐしょぐしょになってしまうのです。
でもみんな満足でした。
その年長の男の子についてきたこと だ~れも後悔なんてしなかった。
春の息吹を感じ、雪解け水の冷たさを味わい、山の頂に見えた、粘土質の断崖に
春の近いことを感じ、疲れも感じずに、出かけたときと同じに
意気揚々と帰ってきたのです。
どのくらいの時間だったのか、何も食べるもの(飴とか)も持たずに、
今の親なら、その男の子を無謀と責めたかも知れませんが、
そんなこと、なんとも思わずに、容認してくれる寛容さが昔の親にはありました。
それがいいとは思いません。
でも子ども心に仲間と一緒に『春を見つけた』という達成感というか、征服感が残りました。
今でもふっと雪解けの春を待ちわびる気持ちと一緒にあの時の
あの顔も思い出さないかっこよかった男の子を思いだします。
実はその男の子には、中学生になったとき、呼び止められたことがあるのです…。
「○○さん」って。
お祭りの日でした。
田舎にも香具師のお店が出るんです。
その子はその香具師の一つで、店番をやってました。
怖かったのと、悲しさと、恥ずかしさで、逃げ帰ってきてしまいました。
確か私より3歳くらい上だったと思います。
昔はみんな、貧しかったから、中学以上の学校に進むことは かなわなかったのかも知れません。
せっかくの責任感の強さと、リーダーシップを、
発揮できなかった環境だったのかもと 今は思います。