バンビの独り言

バンビことけーちんの、あくまでも「独り言」デス☆

「スマートグリッドってなーに?」テープ起こし2

2010-07-01 22:54:39 | 田中優&鎌仲ひとみ
動画は18分45秒くらいから。
http://www.ustream.tv/recorded/7981715

………つづき………

電気には「貯められない」という欠点がある。
日本の電気消費は夜ものすごく少なく、昼間はものすごく多い(上下の波が激しい)。
一番少なくなるのが朝4~5時にかけて、仕事が始まると急激に増えていく。
少し減るのはお昼休み。
その後、最大ピークが来てなだらかに下がって行く。
もしぺったんこになれば発電所は要らなくなる。
そのためにピークを下げて夜の需要を大きくする、というように考えた。

そのために作られたのが「揚水発電」。
上下に二つダムを作る。
夜は電気が余っているので、その電気を使って、下のダムから上のダムに水を持ち上げる。
電気の消費が多い昼間は、上のダムから下のダムに水を落として発電する。
これを「揚水発電」と言っているが、実際には「蓄電」。
この場合、上に上げるエネルギーが「10」で、下に落とす時に生まれる発電量「7」。
つまり、動かす度に3割消えている。
「捨てて」るけれど、「発して」はいないから「発電所」ではなく「捨電所」。

この結果、どうなったか?
「無駄にした電気がたくさんある」という構造になっている。
結論「揚水発電ダムは作らない方がいい」!

電力会社に「ダム転がし」の話を聞いた。
「ダム転がし!?」
大晦日はずっと起きてるのでお正月の夜(1/2の早朝)は早々に寝てしまう。
だから1/2の夜(朝方)は1年間で最も電気を消費しない日。
電気の消費は少ないのに電気は貯められないから、二酸化炭素をたくさん出して発電した電気なのに余ってしまう。
しかし「電気を捨てる」のはすごく難しいから、上のダムから下のダムに水を落として発電している最中に、下のダムから上のダムに水を持ち上げている。
そうすると「3割づつ電気が捨てられる=ダム転がし」。
そんなことするぐらいなら、発電しなければいい。

どうしてそんな事態になってしまうのか?

電気使用の上下の差がとても激しいから。
日本の中でピークが出た時の時間帯、日数を調べたところ14:00~15:00にピークが来る。
その時にも「みなさんのライフスタイルの問題です。節電して下さい」と言われる。
ですが、実は、ピークの出ている14:00~15:00は「家庭では最も電気を消費しない時間帯」。
この時間の91%は産業の消費
東京電力館内には「デンコちゃん」というキャラクターが出て来て「みなさん、電気を大切にね 」と言うけれど、デンコちゃんには作業所に言って欲しい。
しかも、ピークの出る日は極めて限られている。1年365日×24時間=8760時間で、ピークが出るのはたったの10時間。
0.1%しか出ないピークのために、発電所をいっぱい作って来た。
だったら一番合理的なのは、発電所をたくさん作ることよりも「ピークを下げさせる」こと。

私たちの電気料金は使うにつれて途中まで安くなるが、途中から単価がどんどん上がっていく。
家庭の平均消費で見てみると使うほどに上がっている。
消費の多い日は7月、8月、9月。
この月にたくさん電気を使うと単価が上がってしまうので経済的に厳しくなる。だから家庭は必死で省エネをする。
一方、事業者の電気料金は、基本料金は高いが電気の単価は一定なので、使えば使うほど安くなるようなシステムになっている。

例えば工場が「電気料金のせいでコストが高くなった、何とか安くしたい」と考えたならば何をするか?
使えば使うほど電気料金が安くなるんだから、もっといっぱい電気を使えばいい。
このせいで、日本の産業の電気消費は増え続けている。

解決策は簡単です。
使えば使うほど高くなる電気料金に変えればいい。
同じ電気料なら同じ料金なので、企業が損をするわけではない。
「電気消費を増やせば損をするが省エネしたら得をする」
これを入れたら企業は最低3割は省エネする。

名古屋近辺のとある会社に「どうやったら省エネできるか?」と相談された。
いろいろと案を出し「どうだった?」と聞くと「全部ダメだった」と。
もともと「使えば使うほど安くなる電気料金」になっているせいで、「省エネしたってしょうがない」「お金かけたって得するわけじゃないからもったいない」と言われて、提案が却下となってしまった。
企業はまだまだ省エネできる。たった3年で元が取れる機械があるから入れればいいのに、経費がかかるし、使えば使うほど安くなるしくみのせいで企業は入れない。

東京電力は、2002年に原子力発電所の事故を隠したことで、2003年の夏に全ての原子力発電所を止めざるをえなかった(補修をするため)。
東京電力が全部の原発を止めたので「このままでは電気が足りなくなるかもしれない」ということでHP上に「電気予報」を発表した。
そのデータがこのグラフ。
赤い線はその日の最高気温。
黒い点がついているのは、その日の最大消費。
だいたい一致している。
気温が上がっているのに逆にピークは下がっている。
「合わないのかな?」と思うけれど、土日、お盆を隠してみると、明らかな定理が読み取れる。
世界最大の電力会社、日本全体の電気の3分の1を消費している「東京電力」のピークがいつ出るか?
◯夏場
◯平日
◯午後2~3時
◯気温が31度を越えた時
にだけ。

どうしたらいい?
◯夏場
◯平日
◯午後2~3時
◯気温が31度を越えた時
この時だけ、産業の電気料金を高くすればいい。
これで解決できる。

「解決できることを、今やってない」ことが最大の問題。

日本の場合、昼間の消費はとても大きいのに、夜にはものすごく大きくなる。
波の上下がとても激しい。
平均値を出してみると、日本の発電所は58%しか動いていない(42%お休みしている)。
ところがドイツや北欧などは72%動いている。
何が違うのか?
答えは「上下の波の差」。
発電所は必ずピークに合わせて発電所を作っているから、上下の波がなだらかならば多くの発電所を作らなくて済む。

もし、日本がドイツや北欧並みに努力したらどうなるか?
発電所の25%はただちに止めることができる。
しかも原発施設は22.3%の設備量だから、一基もなくても困らない。

よく「原子力は必要悪」という説を聞くけれど、これには一つ前提がある。
「今の消費が減らせないなら必要悪」
でももし消費を減らすことができるなら「必要」ではなく「悪」になる。
「悪」ならやめればいい。

ではどうやったら減らせるんだろう?
簡単です。
フランスは、夏場、平日、日中の電気料金が11倍高くなる=なるべく電気を使わない。
カリフォルニアやイギリスではそれぞれの時間帯の電気料金を、株式市場で取引する。
何時の電気料金を買う、とか売るとかやる。
みんなが同じ時間に買おうとしたから、一時は200倍値上がりしたことがある。
高い電気料金なんて買いたくないから、当然ピークは下がる。

アメリカでは「電気料金を安くしたい」と電力会社に言いに行くと、家の中にある1本の送電線を2本に分けてくれる。
そのうちの1本にエアコンを、もう1本にはそれ以外の全ての電化製品を繋げる。
電気消費がどんどん増えて来て「このままじゃ足りなくなる、停電しちゃう」という時になると電力会社が人の家のエアコンを勝手に消してしまう。
「暑くならないの?」と思うけど、合理主義の国アメリカでは5分しか止めないから暑くならない。
12世帯契約していれば、5分×12世帯で1時間消したのを同じことになる。
(優さんの友人が、鹿児島の営業中の喫茶店で30分に5分消したのに、お客さんも従業員も誰一人気づかなかった)
窓もドアも閉まっていればエアコンが5分止められても気づかない。

結果、電力会社は次の発電所(1基3000億円くらいする)を建てずに済むから3000億円余った。
このお金でみんなの電気料金を安くしよう!ということで、契約してくれた人の電気料金を下げてくれた。
アメリカでは1000万世帯が契約澄み。

やれる方法はある!

つづく。

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