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うちらのひとりごと。

酒と映画をこよなく愛する、多趣味な男(ことら)ときまぐれ女(こじか)のブログです。

それでもボクはやってない

2007-01-28 00:04:16 | 映画
※当ブログは基本的にネタバレありで書いてるので注意してください。



ことらは毎日満員電車で通勤してます。
もう何年も前の話です。
その日は雨で、傘を身体の前に立てて持っていたんです。
とある駅でたくさんの人が乗ってきて、車内はすし詰めになりました。
前後左右身動きとれないほどの密着さで、気付けば目の前はこちらに背を向けたおばちゃんが立っていました。
しばらくして、そのおばちゃんがやたらこっちを気にするんですね。
よく見ると、傘の柄がおばちゃんのお尻に押しつけられてたんです。
その傘の柄は柔らかい感触の太いものだったんで…たぶん勘違いされてるなと。
何とかしようにも、なにしろすし詰めで身動きが取れません。
「勘弁してくれ~!」と思いながら、なんとかやり過ごしたのでした。

この時はおばちゃんが睨むだけで何もなかったんだけど、もし「痴漢!」と騒がれていたら…そんなことを考えながら観ました「それでもボクはやってない」。


今回は2回ぶりにMOVIX堺に観に行きました。
久しぶりなので「人の入りはどうなってるかな~?」と心配したのですが、フロアは人で溢れてました。
「何があったんだ?」と思ったら、今日は「幸せのちから」の封切り日。
案内観ると、残席数がかなり残り少なかったんで、みんなこれを観に来たんだなと。
うちらも近々観に行きます。

実はMOVIX八尾のイスは、合わなくてしんどかったんですよ。
若干背もたれが低くて、しかも頭の当たるところが膨らんでおり、頭の位置が決まらなくて困ってたんです。
MOVIX堺のイスは、背もたれが高くて、しかものっぺり。
おかげで頭の位置に苦労しません。
映画は長時間座ってなきゃいけないから、イスは重要よね~。

「それでもボクはやってない」の客層はなかなか興味深かったです。
通常のカップルはともかくとして、ちょっと御年配の御夫婦も多かったです。
でも一番面白かったのは、御年配でしかもまだ通勤されてる、ちょっとくたびれた(失礼!)お父様方が多かったんです。しかもお一人で観に来られてる。
「あなたも誤解された事あるんですか?」という感じ。

「痴漢で捕まったら、9割方犯人とされる」という話は知っていました。
ところがまぁ、9割どころか99.9%有罪となるとは…。

主人公の徹平は冤罪で捕まり、一貫して無実を主張するんだけど、刑事、検察、しまいにゃ裁判官までが、彼の主張に耳を貸しません。
それどころか、最初に接見した弁護士までが示談を勧める始末。

調書も名ばかりで、徹平(加瀬亮)は何も喋ってないのに、尋問する刑事がそれっぽくべらべら喋り、横に居る刑事がそれを元に調書を作成。
徹平はそれに署名させられ、拇印を押さされるのみ。
こうして作成された書類が、裁判においても重要な証拠となるんです。

「そんなアホな。」って思うけど、これはホントの現実みたい。

こじかはその昔ひき逃げにあったことがあり、被害者として調書を作成されたことがあるんだけど、その時の作り方もまさに、上記と同じ手法?で作られたそうです。
その間喋ったことと言えば「はぁ。はぁ。」だけだったとか。

案件が多すぎて、さっさと仕事を済ませたいというのは分からないでも無いけど、もうちょっと真面目に調べて欲しいよね。。
ホントの犯人ならば、それでもいいかもしれないけど…。
もし今回の映画みたいに冤罪だったとしたら…
毎日満員電車に乗ってる以上、自分が徹平と同じ状況に陥る可能性はかなり高いわけで。
そう考えると、「頼むから"犯人”と決めつけないでくれ!」と思いながら観てしまいました。

あと、裁判官の現実。
「無罪判決を出すというのは、国家権力に刃向かうこと」
無罪判決を出して告訴で覆され、何回かそれが続くと、その裁判官は左遷されるそうです。
そんなことがあるとね…やっぱ「無罪」は出しづらいでしょう。

はじめに担当してた裁判官は比較的被告の話を聞いてくれる人で、「あれ?もしかしたら無罪になる?」って感じだったのに、途中で裁判官が代わるんです。
これも珍しいことではないとか。ホントかよ。

その代わった裁判官演じるのが小日向文世。
しかも”公助”ではなく”柳亭小しん”だったので「あ。ダメだ。負けた。」と思いましたね~。

役所広司演じる荒川弁護士は、すごく頼もしい弁護士で、法廷では一番頼れる味方って感じでした。
設定によると荒川弁護士は元裁判官とか。
今の裁判制度に嫌気が差して弁護士になったのかな?
現実を憂えながらも、なんとか裁判を変えていこうと奮闘しているように思えました。

それにしても、この作品で描かれる問題はホントに怖い。
裁判で争うよりも、示談ですませた方が楽かな?と、真面目に考えてしまいました。
だって、示談にしたら罰金五万円と半日の拘留で釈放ですよ。
否認し続けて裁判になったら、何日も拘留されて、保釈金200万。(徹平の場合)
裁判費用は有罪になったら全て被告持ち。
さらに弁護士費用やら、なんやらかんやら…。
拘留されてる間は仕事にも行けないし、精神的にも病んでくるよね…。
でも示談にすれば前科1犯…。
人ごとじゃないと思うから、ますます悩んでしまいます。。

これは恐怖映画ですよ。
しかも、
満員電車で通勤・通学する男性ならば、例外なく誰もが直面する可能性のある恐怖
です。

ドキュメンタリーでもありますね。
延々と裁判のシーンが続くので、はっきり言ってエンターテイメント性は皆無です。正直、長い。
「笑える映画を作ったつもりはないのに、客席から笑い声が上がって困惑した。」(うろ覚え)
みたいなコメントを周防監督がされてたので、もしかしたらコメディータッチなのかな?と思ったんだけど、はっきり言って笑えるシーンは、山本耕史演じる徹平の友人が”ピーポくん”の看板を傘でぶっ叩こうとして、警官に気付いて止めるトコくらいでした。
観て「面白かった~」って映画ではないけど「勉強になったな~」と思える作品です。陪審員制度の導入もあるし、今の裁判の現状を知るためにも必見の映画かと。


「男性専用車両」は勘弁願いたいけど、少なくとも女性の近くには居ないように注意するのがいいかな…。

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4 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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見ました! (はるつかい)
2007-01-28 14:02:19
うちらも見ました!
難波丸井のTOHOシネマに行ってきました。
「幸せのちから」のせいもあってチケット売り場は人で一杯!
チケット買うのに20分ぐらいかかってしまった。
しかも「それでも・・・」は残りチケット△の表示が!!
目の前で売り切れたらどうしようとハラハラしながら並んで
なんとかGetできました。TOHOはいつもチケット買うのに
時間がかかるのでもう行く気はなくなりましたよ。
で、肝心の映画ですが、2時間30分近い裁判映画ということで
「面白くなかったらつらいかも・・」という心配は無用でしたね。
非常に中身が濃くて色々と考えさせられる良い映画でした。
自分だったら最後、裁判官に「あなたは間違いをおかしました!!」って言いたくなります。(そんな上品な言葉使いになるとは思えませんが
あと、裁判官も所詮は人なんだという事ですね。
裁判官の心証で判決が変わるとのは恐ろしい。裁判官は分かってくれるなんて大きな間違いなんだと実感しました。
満員電車には万歳して乗りましょう!!
返信する
参りますよねぇ。 (ことら)
2007-01-28 20:26:02
いやホント、裁判ってのは被告が悪いのかそうでないのかを審理する場と思っていましたよ。
全然そうじゃないんですね。
双方の証拠を突き詰めて、より信憑性のある方に勝ちを宣告するという…。
しかも、それには裁判官の個人的な心証も大きく影響する…。
こんなだったら簡単に「訴えてやる!」なんて言っても意味無いですよねぇ。
そりゃ被害者の方も気の毒なんだけど、今回みたいな冤罪だと、疑われた方もたまったもんじゃないですよね。しかも99.9%有罪だし…。
とりあえず、満員電車で女性が近くに来たら逃げましょう!
そうできない場合どうするかって?
あきらめて半日拘留されて5万円払うですね…。
返信する
Unknown (masktopia)
2007-02-05 01:16:12
裁判の現実をほんとうによく描いてくれた
映画でしたね。疑わしきは罰せず、という原則が
警察や検察ではまったく無視されていて、とくに
取り調べの時の刑事の態度には身も凍るような
気持ちがしました。

裁判官の現実も初めて知る事実ばかりで、これにも
驚きました。無罪の判決を出す勇気を、すべての
裁判官に持ってもらいたいものです。わが身可愛さ
優先で正しことが行われないとしたら、いったい
何のための裁判かと思います。
返信する
まったくです。 (ことら)
2007-02-05 21:59:46
コメントありがとうございます。

裁判官もそうですが、やはりある程度の身分を得ると、それを簡単には手放せなくなるんでしょうね…。
昨今マスコミを賑わせてる某大臣しかり。
近くではうちの会社の課長とか・・・

ホントに保身に走る人ばかりでイヤになります。

なんて言いながら、もし自分がその立場になったら、やっぱ保身に走ってしまうのかなぁ~なんて考えたりもしますが。。ははは。

でも少なくとも、司法の方には自分に厳しく居て欲しいですし、そういう方に勤めていただきたいと心底思います。
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