うちらのひとりごと。

酒と映画をこよなく愛する、多趣味な男(ことら)ときまぐれ女(こじか)のブログです。

魔法にかけられて

2008-03-31 22:07:29 | 映画
※当ブログは基本的にネタバレありで書いてるので注意してください。



予告の時からうちら好みのバカらしさ全開だった「魔法にかけられて」です。
「これは観なきゃ!」と早ンヶ月。
かなり早いうちから予告流してたように思うんだけど、気のせい??
原題は「Enchanted」
直訳すると「魅了される」。
これはうまい邦題だなぁ。
意味の分からんカタカナ邦題にちょっと食傷気味なんで、なんか安心します。
内容もさすがディズニー。
大人から子供まで、安心して観れる作品です。
ストーリーは、ぶっちゃけ、シンデレラ実写版現代アレンジって感じですね。
色んなおとぎ話のオマージュ満載なので、そういう意味では大人の方が楽しめるかも?
赤ずきんちゃんの話が完全に入れ替わってるのは、かなり面白かったんですが。
主役のプリンセス・ジゼル(エイミー・アダムス)の世界では、赤ずきんがオオカミを襲って、それをリスが助けるらしいです。
で、ロバートの娘・モーガン(レイチェル・コーヴェイ)が「話が違う。」というと「それは赤ずきんがすり替えたの。」と。
他にも笑えるところが満載だったんだけど、何故か笑ってるのはうちらばかり。
他の方々は結構シーンとしてたのよねぇ。
夢見る夢子の妄想全開話だから、ついてこれない人は全くダメなのかなぁ…?
うちらは最初からバカ映画(褒めてます)として観に行ったから、期待通りでかなり面白かったんですが。

あまりに夢見てる感じで、現代では「ちょっとイッちゃってる?」的扱いを受けるジゼル。
偶然助けてもらったロバート(パトリック・デンプシー)を振り回すことになるんだけど、最初は煙たがってたロバートもジゼルの純粋さに触れるうちにどんどん優しい人になっていくんですよね。
さすがのジゼルも現代で暮らすうちに少しずつ影響は受けていくんだけど、そこはそれ。
夢ばかり見てた娘が、ちょっと現実的になるっていう、きわめていい方向の影響です。
今まで知らなかった怒りの感情を初めて覚えて、それに感激して、怒りながら喜ぶなんていうキテレツなことも。

反面、王子であるエドワード(ジェームズ・マースデン)は完全バカキャラ。
ロバートが現実的なキャラだから、その対比という意味でも非常に面白い存在です。
まぁ、ロバートは普通の現代人なんだけどねぇ。
おとぎの国であるアンダレーシア側の各人たちがみんなぶっ飛んでるから、とても固いキャラに見えてしまいます。

ナザニエルはアニメーション部分の時から「これは絶対ティモシー・スポールだろな。」と思いましたねぇ。
それくらいそっくり。
それにしても、ここまでファンタジー系の小悪党が似合う人もそうそう居ないよね。
「ハリポタ」や「スウィーニー・トッド」でも存在感発揮してたし。
まぁ、最後は味方になる?のが、これまでとは違うところだけども。

一番特筆すべきはリスのピップですね。
いやもう、かわいいのなんのって。
めちゃめちゃ表情豊かなんですよね~。
現代世界では話すことが出来ないからジェスチャーでなんとか意志を伝えようとするんだけど、その動きがすごくコミカルでかわいい~。
ある意味一番の見所かな??

女王…ドラゴンにわざわざ変身したのに、飛べないのかよ…。


完全バカ映画かといえば、全然そんなことは無いんです。
ジゼルのあまりの純真さ・無垢さに心洗われます。
大げさに言うなら、現代社会が失いつつある、夢や優しさ、人を信じる気持ちなんかを再認識させてくれる作品かな。
離婚でもめてる夫婦の前で「別々に暮らすなんて、ものすごく悲しいことよ。」とボロボロ泣き出すジゼルには、なんかハッとさせられました。
…結果、ジゼルのおかげで、この夫婦はヨリを戻すんだけどね。
おとぎの国の住人だから、これくらい純真で当たり前かもしれないけども。

近年、現代社会を表したドロドロした作品が多いけど、今の世の中に必要なのはこういった夢ある作品かもしれません…。

あつた蓬莱軒~山本屋総本家

2008-03-23 20:57:27 | 大阪以外エリア界隈

舞台の翌日のお昼に、『あつた蓬莱軒』松阪屋店に行ってきました。
実はこじかは数年前に、お友達と神宮店に行ったことがあります。
めちゃくちゃ並んだけど、並ぶ価値あり!!なお味でした。
最高においしかった。感動モノでした。ホント。 
 
で、そのお味が忘れられず、3年ほど前かな~。
ことらさんと名古屋デートをした時に、この松阪屋店を訪れたのです。
ところが、大した下調べもせずに行ったもんだから、間違えて名駅の松阪屋に行ってしまい、慌てて栄の松阪屋へ行く羽目に。
皆さん、あつた蓬莱軒は栄の松阪屋ですからね。
そんな二人の思い出のお店でもあるのです。

11時開店なので、10時半位から並べば一回転目で入店できます。
松阪屋店は穴場なのです。

名物ひつまぶし。
わくわくわく。

この照りとおこげ具合がたまりませんね。
いただきます!!  

お茶漬けもいいけど、私はそのままの方が好き。
やっぱり美味しい。間違いないですね。
贅沢なんだけど、3回目となると、感動がだんだん薄れてくるんですよね。
初めて食べた時は、めちゃ衝撃を受けました。
そのくらい美味しかった。


さて名古屋と言えば、やはりトヨタでしょう。
トヨタ博物館』にも行ってきました。
貴重なクルマがたくさんあって、見応えあり。
ことらさん、童心に戻っていましたね。 


そして名古屋グルメの締めくくりはこれ。
山本屋総本家
の味噌煮込うどん♪

せっかくなので、本家に行ってきました。
駐車場はなさそうだったので、コインパーキングへ。

4時半位に入店。
ご飯時をはずしたので、かなり空いていました。
卵入りを注文~。

おいしそう~。
この固めの麺が特徴ですよね。
初めて食べた時は、違和感があったんだけど、今は固めがイイってわかる。
大人になったからかな?
ダシの味がしっかりしてて、お味噌なんだけど、あっさりというか。
思ったほど、こってりではないんです。

いや~。お腹いっぱい大満足。
舞台が目的か、グルメが目的かわからなくなってしまった名古屋ツアーでしたが。
すごく楽しかったので、行って良かったです。
ごちそうさまでした!!  

樞 くるる 名駅店

2008-03-16 14:01:47 | 大阪以外エリア界隈

樞 くるる 名駅店

さて、名古屋名物手羽先をいただこうってことで、色々検索してみました。
有名なのは、世界のやまちゃんと風来坊。
なんとなく、やまちゃんは居酒屋っぽい感じがしたのでパス。
風来坊は大阪にも支店があるので、パス。

さらに調べてみると、『樞くるる』さんにヒット。  
ほう~。ホテルからも近いし、よさげ。
人気店らしいので、芝居を観る前に予約しておきました。
金曜の晩だからね。

さて、お店に着いたら、サラリーマンやOLさんでいっぱいでした。
ノスタルジックな店内に期待が高まります!

付き出し。関西よりもやや味は濃いめですが、美味しいです。
ちなみにカップルシートに通していただきましたが、。
夫婦ではちょっと照れる空間でした。密着しすぎです~。

純系名古屋コーチン温泉玉子の和風サラダ。
そうめんかな。何気ないサラダですが、美味しいです。
ドレッシングも濃いめで美味。
ちなみにビールはプレミアムモルツ  

メイン?の純系名古屋コーチンの手羽先揚げです。 
まさに旨みを閉じこめた逸品ですね。
これがコーチンなんですね。
ちなみに、一緒に新しいおしぼりを持ってきてくれました。
ちょっとした心遣いが嬉しいですよね。

純系名古屋コーチンつくねの竹筒焼き。
黄身と一緒に。
タレがまた濃いめ。
でも、身がしっかりしておいしかった。

300日コーチンもも肉の炙り。
貴重なお肉なんですよね。
ジューシーというよりは、歯ごたえのあるって感じです。
旨みは強いです。

純系名古屋コーチン胸肉のたたき。
せっかくなので、たたきも。
これもしっかりした食感でした。

300日コーチンせせりの炙り。
これも貴重。旨みが凝縮されてますね。
あ~、焼酎飲みたかった。ちょっと疲れてたので強めのお酒は×。

純系名古屋コーチンと牡蠣の釜飯。
これイイ。
めちゃ美味しかったです。
やはりお味は濃いめではありましたが、シメには最高でした。

観光客にも地元の人にも、使い勝手のよいお店ですね。
また名古屋に来ることがあれば、再訪したいです。
割引券ももらったしね。
帰りに使い捨てカイロまでくれました。
この日はすごく寒かったんです。
本当に気がきくお店ですね。
リピーター多いだろうな。   

名駅のビルたち。
ロサンゼルスにも、こんなビルなかったっけ。
ちょっと似てるなと思って撮影してみました。
なかなか綺麗に撮れてるでしょ。

ジャンパー

2008-03-15 17:14:15 | 映画
※当ブログは基本的にネタバレありで書いてるので注意してください。



アナキン・スカイウォーカーとメイス・ウィンドゥのスターウォーズコンビでお贈りする娯楽作品「ジャンパー」です。
「どこでもドア」を始めとする、瞬間移動には誰しも憧れたのでは??
悟空が瞬間移動したときは、人差し指と中指を額に当てるポーズが大流行したしねぇ。(うちの周りでは…ね

まぁ、そんな重厚な作品でもないし、お客さんはカップルばかりだろうと思ってたんです。
そしたらまぁ、意外や意外。
ほとんどのお客さんがお歳を召した人だったんですよ。
ひょっとするとスターウォーズファンなのかな…?
あるいはダグ・リーマン監督人気??
ジェイソン・ボーンシリーズって、そんなにお歳を召した方に人気あったっけ??
…ちなみにダグ・リーマン監督は、「ボーン・アイデンティティー」では監督を。
ボーン・スプレマシー」「ボーン・アルティメイタム」では製作総指揮を務めていたそうで。

上映時間が88分と、昨今の作品にしては随分と短いので、展開はとてもスピーディです。
スピーディ故、デヴィッド(ヘイデン・クリステンセン)とミリー(レイチェル・ビルソン)の旅行シーンは中だるみかなぁ?
唯一、作品のテンポが落ちるところなので。
アクションシーンは、さすがボーンシリーズの監督。
瞬間移動で飛びまくりのアクションを、とてもおもしろく観せてくれます。
ただ、東京でのベンツで大暴走は、かーなりCG臭かったんだけどねぇ。。
でも、こういったハリウッド作品に、身近な都市の風景が出てくるというのは、なんか嬉しいですね。
日本語も飛び交ってたし。

正直なところ、内容は無いです。
古代から続く、ジャンパーとパラディンの追いかけっこを描いたっていう、それだけ。
出てくる人物も悪人ばっかりだしねぇ。
デヴィッドは飛べることをいい事に銀行からお金拝借したり、ケンカ相手を遙か彼方に置き去ったり。
唯一の仲間?グリフィン(ジェイミー・ベル)は、目的の為には手段選ばないし。
ローランドは特に理由無く「ジャンパーは悪だ。」と決めつけて、狩りまくり。
ミリーはちょっと頭弱い??

ただ、ラスト間際のローランドの「してやられた。」という( ̄ー ̄)ニヤリ顔はなかなかいい表情でした。
一番印象に残ったなぁ~。

ジャンパーって何者?パラディンって何者?という事は考えちゃいけません。
そういう人達が居るってことみたいです。
映画観る前は「ツケを払わずにすむと思うな。」ってセリフがあったから、なんらかの理由でデヴィッドがジャンプ出来るようになった。
で、その理由の部分に関わる人がローランドで、「うちの能力勝手に使って飛びまくりやがって。」ってことで、デヴィッドを追いかけてくる…みたいな話だと思ったんだけどねぇ。
考えすぎでした。
とはいえ、何も考えずに観れる作品なので、デート向きではあるかな??
人気が出たら3部作になるらしいし、現在の人の入りだと、十分に有り得る話だろうねぇ。
次作でもっと盛り上がる要因があれば、観に行くかもな…。

名古屋城~シャチボン

2008-03-10 21:56:59 | 大阪以外エリア界隈

『木更津キャッツアイ ロケ地巡り!!』 
↑06年5月の記事をどうぞ。

今回名古屋訪問ということで、キャッツのロケ地巡りを兼ねて名古屋城も行ってきました。
ちなみに名古屋城はいきなり有料なんです。
大阪城は天守閣のみ有料でしたよね。
でも、名古屋城って意外におもしろかったんですよ。
展示物とか色々あって、景色もいいし。
平日だったし、人もまばらで。楽しかった。
観光客してきました。

にゃー!!!しゃちほこっ。
ことらさん一人じゃ円陣組めないね。

黐木(もちのき)
名古屋駅地下にある黐木さん。
シャチボンが有名。↓

こじかもテレビで見たことがありました。
正面から。

横から。
可愛い。
シューです。
食べるのがもったいない。

明らかに地元の人達も皆、シャチボンを注文していましたよ。
コーヒーもすごく美味しくて、居心地の良い純喫茶でした。

さて次回はいよいよ名古屋コーチンです。 

矢場とん 本店

2008-03-08 14:53:32 | 大阪以外エリア界隈

矢場とん本店へ行ってきました。

先日「身毒丸 復活」を観るために、名古屋へ。

観劇+名古屋グルメツアー!!
名古屋といえば、まずはみそかつですよね。
矢場とんさんが有名らしいので、本店へ行ってみました。  

お店の裏の駐車場は満車だったので、近くの有料地下駐車場へ。
店内へ入ってから10分ほど待って、ようやく着席。
さすが、人気店ですね。観光客も多いようです。

↑まずは鉄板とんかつ。
VVV6で見て美味しそうだったから
見た目より、あっさりしています。
肉厚。
キャベツがしんなりして甘い~。

そして、ひれとんかつ。
これは、THE味噌って感じ。
お味噌の味が濃くて、不思議な感じでした。
トンカツソースに慣れてるからなぁ。 

そして、串かつ(1本)
これが、一番好きかも。
食べ慣れた味なんです。
美味しいです。

実は席についてすぐに、ことらさんに悲劇が訪れたのですが。。。
詳細は割愛させていただきます。

さてさて、名古屋グルメツアーはまだまだ続きま~す。  

L change the WorLd

2008-03-03 21:24:46 | 映画
※当ブログは基本的にネタバレありで書いてるので注意してください。



「デスノート」「デスノート the Last name」と続いた、映画版デスノートのスピンオフ作品「L change the WorLd」です。
Lの最後の23日間を描いた作品ということでかなり期…待・・・はしてませんでした。はい。
やっぱねぇ、このシリーズの真髄はライトとLの頭脳戦だと思うんですよ。
双璧の片方が崩れた今、果たしてどこまで面白い作品が出来るだろう?と結構疑問でした。
原作もねぇ、Lがお亡くなりになってからはグダグダだし…。

とはいえ、松山ケンイチ演じるLはかなりハマリ役だし、それは観たい。
それに、ここまで映画も見続けてきたんだから、やっぱ見届けねばならんでしょうと思い、劇場まで行ってきました。

結論から先に言うと、まぁ、ほぼ思ったとおりというか…。
なんかねぇ、前2作のクオリティの高さはどこへ行ったんだ?って感じなんです。
全体的にアラが多いし、キャストもミスキャストが目立つというか…。
観に行く前から一番疑問だったのは、最期に感動的な別れをした夜神総一郎が、何故この作品に出てないのさ??でした。
後でパンフレット読んで知ったんだけど、あの後捜査本部は解散、捜査官は連日事件後の取り調べを受けていて、ほぼ軟禁状態…という設定らしいです。
それからいくと、この作品中はずっと取り調べ受けてて、Lの最期の時にようやく解放された…と思えなくは無いけど、それならそれで、ちょっとくらい説明あっていいんじゃないかと。
あと、前2作と繋がるシーンがいくつかあるんだけど、基本的に前作のキャストは今回は新シーンが無い(例外あり)んで、全てのつながりが唐突なんです。
おかげで流れにすごく違和感がある。
新しいキャストに関しては…L、ワタリ、教授2人、子供2人、高嶋政伸はすごく良かったんです。
特に高嶋政伸は、普段のいい人キャラを封印して、ねちっこーい、とてもイヤな悪役を好演してました。
逆に工藤夕貴…。
どうしたんですか??
正直、もっとうまいと思ってましたよ。
ハリウッドデビューもしてることだし。
なんかねぇ、新人俳優が初出演がんばりました!みたいな話し方に聞こえたんです。
存在感はすごくあっただけに、とても惜しい。
英語のセリフの方が良かったかも知れないねぇ。
他の悪役陣もねぇ。
高尾山先生(笑)は良かったんですよ~。出番ほとんど無いけど…。
ナンチャン…FBIに見えないよ…

この作品の致命的なトコは、Lが頭脳戦をしていない所かと。
やっぱLと言えば頭脳使ってナンボでしょう。
そこにライトという好敵手が居たから、あれだけストーリーが白熱して盛り上がった。
この作品の中でLが一番Lしてたのは、キラ事件集結直後に、世界中の事件を一気に片付けていくシーンでした。
パソコンの前にL座りして、的確に指示出して人を使って解決していく。
やっぱLが身体張っちゃダメでしょう。
状況的に仕方ないところだったけども。
でも、ママチャリ乗ってるLはちょっと愉快だったけどね。

今回扱ってる事件は殺人ウィルス。
そのウィルス抗薬の開発に成功した教授が自ら命を絶つシーンがあるんだけど、ここは…さすがホラー監督。やりたいことやっちゃいましたねぇ。
ちょっとしつこくて「おいっ。」でした。
子供も観てるってのに…。

なんともネガティブな記事になりましたが…。
「L」というキャラが好きな人は観るべきでしょう。
松山ケンイチ、今まで以上にLを熱演してます。ここは好感持てる。
でも、「デスノート」という作品が好きな人は観ない方がいいかも…。
ツッコミどころ満載なもんで。。

アメリカン・ギャングスター

2008-03-02 22:21:10 | 映画
※当ブログは基本的にネタバレありで書いてるので注意してください。



予告を観た時は「オール・ザ・キングスメン」「ラストキング・オブ・スコットランド」的雰囲気を感じた「アメリカン・ギャングスター」です。
なんでそう思ったかって、デンゼル・ワシントン演じるフランク・ルーカスが政治家に見えたからなんです。
ちょっと悪事に手を染めて力付けて、それから政治の表舞台に上がったと、そう思ったんですね。
そして、その悪事を執拗に追う刑事がラッセル・クロウ演じるリッチー・ロバーツかと思ってました。

実際はそうじゃなく、フランク・ルーカスは生粋の暗黒街のカリスマ。
そしてリッチー・ロバーツは、その時代には不相応な、頑固な正義感を持った刑事でした。

この作品は1970年頃の実話を元にした作品であり、フランク・ルーカス、リッチー・ロバーツ共に、実在の人物だそうです。
デンゼル・ワシントン、ラッセル・クロウ共に、御本人から話を聞いて役作りをしたとか。

おもしろいのは、この2人の目的が似てること。
フランクは、それまでのカリスマであったバンピーが亡くなったことで、無秩序となった暗黒街に秩序をもたらしたい。
リッチーは、汚職まみれの警察を浄化したい。
この頃の警察はそこらのギャングよりたちが悪かったようで、横領なんて当たり前。ちょっと悪党の弱みを握るとそれをネタにゆする。
ギャングもそれを分かってるから、簡単に警官の買収に走る。
ところがリッチーは賄賂はいっさい受け取らないという、この時代には珍しい警察官。
それどころか、相棒と共に見つけた、犯罪者が持つ100万ドルすら、横領せずに署に届ける始末。
信じられないことに、このおかげで彼は干されてしまうんですよ。
どんな警察やねん…。
そんな警察に嫌気が差したリッチーは、司法試験を受けて弁護士を目指します。
ところがそんな実直さが認められ、彼は新しく設立される麻薬捜査班の責任者に抜擢されます。
その頃市場に出回ってた麻薬というのが、純度100%、値段は半分という「ブルーマジック」。
そして、その販売元がフランク。
ところが、たいへん慎重なフランクは全く尻尾を出しません。
販売ルートが全く掴めないまま、捜査は難航するのでした。

暗黒街の大ボスとなり、あらゆる力を付けたフランクなんだけど、その姿勢には結構共感するモノがありました。
簡単に言えば「よりよい品を、より安く。そして自分は質素に。」
扱う品が麻薬ってのがアレだけど、会社に置き換えれば、とても優秀な経営者だったんじゃないかな??
いい品を安く手に入れるため、麻薬の製造元へ直接赴き、マフィアを通さずに買い付ける為に中間マージンが発生せず、安く市場に出せる。
その為にマフィアはフランクに屈せざるを得なくなります。
そしてそれは敵意を生む。
劇中の台詞が印象深い。
「成功して敵を作るか。失敗して友を作るか。」
…究極の選択だねぇ…。

この市場倫理?は、実は冒頭にバンピーが語っています。
その頃のアメリカ市場は日本商品が席巻し始めた頃。
店にはアジア商品が並び、個人商店は潰れ、街にはスーパーが溢れかえる。
「個人へのサービスはどうなる!」と、バンピーは憤ります。
この言葉を聞き、何とかしたいと思って行動したはずのフランクが、気付けば諸悪の根元となる。
街には安いドラッグが溢れ、それまでの販売者・マフィアが潰され、そしてジャンキーで溢れかえり、中毒で命を落とす者が後を絶たない。
なんというか、人の悲哀だねぇ…。

そして皮肉なことに、それまで質素に目立たなく目立たなくしてた彼が、一夜だけ、嫁さんから贈られた5万ドルものコートを着て外出したおかげで、リッチーに目を付けられるのよね…。
これが崩壊の始まり。

こんなフランクを、デンゼル・ワシントンは見事に演じてたと思うんですよ。
実直なワルだから、彼に非常に合っていたと。
そしてリッチーのやさぐれた、エロい警官ぶり(笑)は、ラッセル・クロウが好演。
非常に渋い配役だったなぁと。

個人的に良かったなぁと思うのは、フランクが逮捕されて物語が終わるのかと思っていたのに、そうじゃなかったこと。
ご多分に漏れず、フランクはリッチーを買収して事なきを得ようとするんだけど、リッチーは絶対に賄賂を受け取りません。
困ったフランク。
「何が望みだ?」
「(警察を)浄化したい。」
そこから2人の協力のもと、賄賂や横領で美味しい目をしてた汚職警官たちの一斉検挙が始まります。
なんかこのエピソードは大変痛快。
それまでに汚職の嫌な部分をさんざ見せられているので、まさに溜飲を下げたって感じです。
この一連のシーンのおかげか、リドリー・スコット作品にしては娯楽性が強いと言われていて、物足りないって意見をよく耳にするんだけど、うちらとしてはかなりお気に入りの作品となりました。

すごく質が高い、「ハリウッドもたまにはやるじゃないか。」的作品だと思います。



…ちなみに、原題は「AMERICAN GANGSTER」です。「一匹狼」ってな意味らしいです。
「アメリカのギャングの星」じゃないですからね。