奇跡。

あの頃、わたしが大人だったら。

近い福岡なら迷わず全公演参加して、
頑張って他の会場にも行ったかもしれない。

あの頃、わたしが大人だったら。

冬のコンサートだって、頑張って行ったかもしれない。
近くに来なくても、逢いに行ったかもしれない。


ツアー中に一度しか観られなくて、映像化もされてないコンサートは、
残念ながら、わたしの記憶には殆ど残っていません。

初めて観たコンサートはホールでした。
あの近さが、すごい事なんだとは知らずに観ていました。
会場がアリーナになった時、クレーンで近くに二宮くんが来ました。
確か、新学期になって学校で
『あのね！こんなに近くに来たんだよ！？ここからね、このくらいの所で観たの！』
って、そんな事を話したような気がします。

お母さんは『嵐のMCは面白くなくて、全然聞けたものじゃない』って言ってました。
わたしは、そういうことすらよくわからなかった。
あの頃、嵐が必死でMCしてた事も、全然わからなかった。

きっと、わたし達の風では足らなくて、越えられない山もあったんだろうと思う。


わたしは、ただただ嵐が好きで、二宮くんが好きで。

テレビ欄で出演を知ることも多かったし、
ラジオなんて出演した事すらわからないときもあった。
今みたいに、色々便利ではなくて。そういう手段も知らなかった。

でも、すごく大好きで。

あの頃が、実は幸せだったのかもしれないなぁ。


今は、色んなものが見えるから。
圧倒的に大人が強くて。
ずる賢い。
お金を持ってたら、殆どのものが手に入って。
出来ない時の手段だってきっと知ってる。

あの頃、何も解らないわたしは、何も計算してなくて、
もしかしたらたくさんのものを取りこぼしたかもしれないけど、

でも。
純粋に毎日ときめいてた。


あれを、忘れちゃいけないなぁ。

『同じ時代を生きているって、なんという奇跡だろう』って。

そんな事を、考えてた頃を、忘れちゃいけないなぁ。



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