夢じゃなかった。

そのメールを読んだ時に、胸騒ぎはしてた。
職員全員参加が条件だったから。

その日が来た。
『もしかしたら、身投げして帰ってこないかも。あははー。』
そう言って、わたしは家を出た。まだ、笑ってた。
社内の温度が変わったのは、昼過ぎ。
予定にない、偉い人が複数人やってきて、会議室に入った。
その瞬間から、社内は凍りつき、恐ろしく静かになった。
『まさか…ねぇ。』
『一人じゃないよ。どうして？』
ひそひそと数人の声がする。
もう、その時から、わたしは喋れなくなっていた。
目には涙がたまり、仕事が思うように進まなかった。

時が来た。
20数名が集まり、社長が立ち上がった。
笑顔はなかった。

『皆さんに、重要なお話があります。』


嗚呼、こんなふうに。
嗚呼、こんな温度なんだ。

静まり返った空間に、
淡々と喋る社長の声と、わたしのすすり泣く声だけが響いていた。

わたしは、この会社で、何度泣いただろう。

大きな会社は、良いことばかりではない。
大きな会社は、地方に厳しく、冷たい。
『職員は、転勤すれば、100％保障する。』
九州には、同じ会社は存在しないんだよ。
でも、解雇ではないんだって。うまいこと言うね。
転勤できないものは、自己都合退職ってわけなのかな。
あと数か月で、パートさんを含め…約200名が、一気に職を無くす。

嘘みたい。
今こうやって、書いてても、嘘みたい。

でも、昨日寝るまで泣いた目は、
今朝起きた瞬間から涙を湛え、
一日中、腫れが引くことはなかった。

車で、嵐を聴くのをやめた。
今まで気づかなかった。
こんなに、
こんなにたくさんの、応援歌を、嵐は歌ってたんだね。
聴いてちゃ、運転できないです。

よぼよぼと買い物に出かけて、表紙の2冊に出逢った。
泣きそうな気持ちになって、抱きしめてレジに行きました。



質素倹約に努めなければと思いながらも、
スマーフまで見つけてしまったので、ちゃっかり買ってしまった。

ずっと、頭がぼんやりする。

わたしは、2003年の8月から、
毎日『行きたくない』と言いながら出社してた。
でも、毎日『働かせてもらってありがたい』と思い、
毎日『どうか、会社がなくなりませんように』と祈ってた。
そんな人、他にいないと思う。
何でもない普通の日だって、その祈りは変わることがなく、
その一方で、時に泣きながら、嫌で堪らない会社に行った。

だからなのかな。
こんなに心が痛いのに。
こんなに、ツラくてたまらないのに。
心のどこかで、ほんの少しだけ…ホッとしてるの。
不思議な感覚なんだけど、
『もう、毎日、無駄な心配をしなくていいんだ。』って。
それくらいわたしは、毎日、会社が消えることに怯えていたから。



終わりを意識した時から、思ってたんだけど、
『若いから大丈夫』って言葉を、あと何回聞かなきゃならないんだろう。
言ってくれる人がいることは、ありがたいと思うし、
その想いの中身には、感謝してる。

どうしてわたしは今、『若いから』と言われるような歳なんだろう。
結婚してれば聞かなくて済むのに。
今、60歳なら、聞かなくて済むのに。
年齢が若いから、何でもできるということが、
わたしにとって当たり前ではないことを、もう嫌なほど経験している。


お母さんに、『…ちょっと休みたいな。』って言ったら、
『いいんじゃない？』って言ってくれた。
休む…って、働いてなきゃ使えない言葉なのかもしれないけど。
『どこでも行って来れば？前に北海道に行きたいとか言ってたやん。』って。

夏休みも、年末休みも、存在しない会社だから。
3日以上続けて休んだことが、ほんの数回しかないんだー。
その時が来てみないと、それが“悲しみの向こう側”なのか、
“悲しみのど真ん中”なのか、わからないけれど。
そして、その休みってのが、場合によっては長く続く可能性もあるけど。
わたしに、何もなくなってしまったとき、
何も考えずに、過ごす日々が欲しい。




隆太くん、一生くん、元気くん、誠司くん。
アルバムの発表、朝の時点では嬉しかったんだよ。
誕生日に買いに行けるって思って、嬉しかったんだよ。
4人が思ったように、わたしは喜べてないかもしれない。ごめんね。

嵐。
1位おめでとう。
置いてかないでね。待っててね。
なんか、色々ありすぎて、足が縺れちゃって、
なかなか追いつけないなぁ。



2007年11月16日。
昨日、翔ちゃんが食わず嫌いに。
料理が出てきた瞬間「これだ！」って叫んでしまった。
一番謎なのは、わたくしが最後にでていたこと。


web拍手ありがとうございます。
お返事を溜め込んでてごめんなさい。


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