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優緋のブログ

HN変えましたので、ブログ名も変えました。

「女川原発」地域とともに

2011-04-22 18:04:37 | 読書
原発を誘致すると、いかに地域が潤うか。ほぼ全編、経済効果ばかりが、書いてある。
正直、がっかりした。

確かに、女川町は原発を誘致しなければ、町として立ち行くのが厳しかったかもしれない。
原発を誘致して町は豊かになり、発展したかもしれない。

しかし、そんなにいいことばかりだったのだろうか。
何も、負の側面はなかったというのだろうか。

渡部氏は、推進派は常に良識的で、反対派は過激派などの若者に洗脳されてデマに惑わされていたかのように書いている。
東北電力の社員は、正直で真面目で、誠実に反対派を説得したがゆえに建設にこぎつけることができた。
今では、電力と地域住民の信頼関係は築けている、という。

本には、チェルノブイリ事故での死者は31人、それ以外に原発事故では一人の人身事故はない、と言い切っている。
だから、原発は「安全の優等生」だというのだ。

スリーマイルは、設備の欠陥と運転員のミス。しかも、漏れた放射性物質はまったく問題のない量、という。まったく、たいした事故ではない、と言いたげだ。

チェルノブイリは、そもそもプルトニウムを取り出すのが目的で、設計に欠陥があり、低出力運転をしてはいけないのに実行するなど、運転規則の違反を重ねたためにおきた事故で、日本では起こりえないし、数千人が死んだとか、子どもの甲状腺がんが増えたなどということもない…。

…そうですか。
ここまで読んで、先を読むのがいやになってしまった。

交通事故や、飛行機事故、炭鉱の事故と原発事故を比べることに意味があるでしょうか。

目に見えない放射能汚染と健康被害の因果関係を完全に否定することができるのでしょうか。
はっきりと、それと分かる人身事故は起きていのないかもしれません。

では、被爆労働の実態は?
核のごみの問題は?
地震や津波、自然災害に対する対策は?
それらのことは、何も書かれていません。

奇しくも、渡部氏は福島県相馬市のご出身です。


「女川原発」地域とともに
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東洋経済新報社