オータムリーフの部屋

残された人生で一番若い今日を生きる。

小池劇場

2017-10-01 | 政治

安倍晋三首相の解散会見を先取りし、メディアジャックさながらの小池新党の唐突な発表があった。

独断専行型で自分以外は誰も信用できない小池百合子の、「細野・若狭新党」作りを「リセットする」と言われて、若狭勝が「新党の話は事前に聞かされていましたか?」との記者の質問に「携帯が壊れていましたので・・・」とかなり苦しい言い訳が惨めであった。

驚いたことに前原主導の民進党議員は「満場一致」で合流を支持した。毎日新聞によれば、前原代表は枝野幸男代表代行に対し、「小池氏は長妻(昭選対委員長)さんや枝野さんのところに(対立候補を)立てるようなことはしない」と語って説得したという。だが、相手は手練手管の名手小池百合子である。眉一つ動かさず、そんな約束は反故にする。リベラル議員は無所属での出馬となり、人的・金銭的支援が得られず、ほとんどが討ち死にする。厚化粧でしたたかな都知事に若輩の前原代表はまるで赤子のような存在だった。
単に民進党がなくなってしまうというだけなら、まだいい。いずれは解党の運命にあったと思うからだ。しかし、事態はもっと深刻だ。
現在の目算では、自民の獲得議席は200議席以下に激減。一方、希望の党も200議席に迫る勢いだという。8割が改憲勢力になる。どちらも過半数はとれないとなると、連立を組むかもしれない。自民=希望の大連立は起こりうる。そもそも改憲や安全保障をはじめ安倍と小池は、政策も思想も大差ない。最終的には、自民党と小池新党は北朝鮮危機を口実にして連立を組み、9条や緊急事態条項を軸にした憲法改正を押し進めていく。そして、勝ち馬に乗りたいと考える国会議員たちが集結し、独裁状態になる。

民進党内部の話し合いですらなんの異議申し立てもせずに満場一致し、カネも組織ももっている民進党が人気だけの小池百合子にひれ伏している様は想像だにしなかった。良識ある政治家たちにいま、求められるのは、「第二自民党」たる小池新党に参加することではなく、リベラル勢力として結集することだ。そもそも民進党は、安倍政権下での憲法改正に反対し、安保法制の白紙撤回、特定秘密保護法や共謀罪の廃止といった政策を掲げてきた。しかし、小池代表は“憲法改正に対するスタンスとリアルな安全保障政策”が入党の条件だとしている。うがった見方をすれば、前原代表と小池代表の間では、とっくに、リベラル派議員を排除することで話がついていたのかもしれない。
「小池代表が民進党と合流しようとしたのは、単に民進党の約100億円の政党交付金、地方組織や支援団体、間に合わない候補者選びをカバーするためでしかない。民進党の各候補者に公認に当たって分配した政党交付金を出させ、リベラル派の議員を排除することが最初から合流の条件だった。もちろん、壊滅危機に瀕していた前原代表はその条件をわかっていたはずです。もともと前原代表は改憲や安保法制推進派であり、抵抗はない。ただ、そこのところをはっきりさせてしまうと、話が壊れるので、あえて曖昧にして“公認をとれるよう努力する”などという表現でごまかしてるんです」(全国紙野党担当記者)

小池は、占領下で生まれた憲法が武力行使を制約し「日本をがんじがらめにしている」と主張していた。「現行憲法を廃止し新しいものを作る。て・に・を・はを変えるというような議論では間に合わない」と語っていた。最近では情報公開や環境権などに言及し、自民改憲草案のうち「財政の健全性確保の明記」といった無難なところから「まずやってみたら」と訴えていた。
安全保障では月刊誌で03年に「軍事上、外交上、核武装の選択肢は十分ありうる」と述べ、10年には中国が領有権を主張し始めた沖縄県の尖閣諸島で「実効支配を明確にすべく構築物を作ることが先決だ」と語っている。希望の党の綱領には、自民党との違いを強調しようと「寛容な改革保守」が掲げられたが、看板だけで実態は見えない。

永田町では、小池代表の「リベラル排除」宣言の前から、民進党議員を選別するために希望の党が作成したという「排除リスト」が出回っている。
《野田佳彦/菅直人/手塚仁雄/辻元清美/赤松広隆/近藤昭一/長妻昭/枝野幸男/岡田克也/阿部知子/安住淳/海江田万里/櫛渕万里》
民進党の代表経験者とリベラル色の強い議員であり、現職ではない海江田氏や櫛渕氏の名前も入っている。意外なのは、希望の党への合流に向け「前から憲法改正に賛成」とアピールしていた安住氏が入っていることだが、小池が安住のことを嫌っているためではないかと言われている。

リスト自体は本物かどうか裏を取れておらず、「実際は出回っているリストよりもう少し多い30人ほどが排除されると言われています」(全国紙政治部記者)

朝日新聞によると、〈排除するかどうかの実態は、小池氏の一存による選別となりそうだ。党関係者によると、28日に民進側から候補予定者のリストをもらった小池氏は都内のホテルにこもり、「それは左だからダメ」などと日本地図を片手にスタッフに指示を飛ばしたという〉ちなみに、小池代表とともにその作業にたずさわっているのは、元産経新聞の記者なのだという。希望の党関係者がこう証言する。
「小池さんの右腕となって選別を仕切っているのは、Oという産経の元記者らしいですね。大臣時代からのお気に入りの番記者で、小池都知事の政務担当特別秘書Mさんの夫です。ちなみに、O記者はまだ産経を辞めていなくて、休職中という説もある。いずれにしても、このO記者がかなり強硬に“リベラル排除”を主導して、マスコミにもバンバン情報を流している。」


これでは、民進・希望合流騒動は、最初から民進党解体、野党共闘潰しが目的だったのかと思わざるを得ない。

もはや「希望の党」に誰が公認されるかどうか、などと語っている場合ではない。民進党のまま、リベラル政党として野党共闘を立て直すのが一番だろう。
良識ある民進議員候補者たちは、いますぐ前原氏を解任し、参院議員とともに民進党を継続し、「安保法廃案」「立憲主義の回復」という原点に立ち返ってもらいたい。希望の党から出馬したいという輩は、政党交付金などビタ一文渡さずに叩き出してもらいたい。一方、社民党と候補者一本化で合意している共産党の志位和夫委員長は「勇気を持って、共闘の立場に立つ政党・議員・候補者とは連携をしっかりしていきたい」と断言し、希望の党に合流しない候補者との共闘を打ち出している。

独裁者を倒すのに独裁者を使うということになれば、もっと毒の強い独裁者をつくることになる。憲法違反の安保法制を容認する政党に、関東大震災での朝鮮人虐殺の歴史をなかったことにしようという歴史修正主義者の代表の下に、彼らは集まっていこうとしている。小池百合子が日本会議につながる右翼思想の持ち主であり、核武装論者であり、都知事としての議会答弁でも、日の丸・君が代強制容認論者であることを露わにしている。
都は2020年東京五輪・パラリンピック大会の機運を高めるため、大会と同じ7月24日から9月6日までの1カ月半の期間、ラジオ体操を行うよう職員や企業に呼び掛けた。「日本人のDNAに刻み込まれている。都民、国民が一つになれる」(小池知事)そうだ。そこで午後2時55分からラジオ体操の音楽が流れると、職員たちが机の脇で一斉に体を動かし始めることになったという。
服装でいうと、昨年7月の都知事選の「百合子グリーン戦略」。グリーン=エコのイメージをアピールするため、本人のみならず運動員も緑色のポロシャツで統一し、支援者には緑のものを一点身に着けるよう呼び掛けた。小池氏当選に大きく貢献したが、「全体主義者がよくやるパターン」と橋下徹・前大阪市長にテレビ番組で批判された。
具体的政策として消費税率引き上げの凍結、原発ゼロなどと言っているが、信用ならない。原発が大好きでたまらない連合が小池新党を支援するのだから本気とは思えない。自民党と差別化するための看板としか思えない。


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