オータムリーフの部屋

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超格差社会の元凶は派遣制度

2014-04-04 | 政治

消費税増税後の負担感を和らげるため、低所得者に1万円(年金受給者は1万5000円)を支給するのが、「臨時福祉給付金」。消費税アップとセットで何度も報道されてきたから、知っている人も多いはずだが、子供1人当たり1万円を支給する新制度「子育て世帯臨時特例給付金」はご存じか。

 昨年12月の閣議決定で、唐突に出てきたこの制度。政府が積極的に広報しないこともあり、知っている人は少ない。しかも、「自分から申請しなければもらえない」と使い勝手の悪さも指摘されている。子育て給付金は、今年1月1日までに生まれた15歳(中学3年)以下の子供が対象。今年限りの暫定措置で、「児童手当」と同様に所得制限はあるが、児童手当に上乗せしてもらうことができる。

 ネックは、申請が面倒なこと。昨年の年収を証明する書類などを揃え、自分で市区町村役場に行かないといけない。「おおむね6月から申請を開始しますが、そこから原則3カ月以内で申請は終了します。その期限を過ぎれば、仮にうっかり忘れたとしても支給されません」(厚労省・支給業務室)

13年度補正予算に組み込まれた予算は1473億円。余った分は国庫に返納される。さらに、しっくりこないのが、膨大な事務費用だ。給付金1271億円を配るのに、202億円もかける。
「厚労省は子育て給付金のため、各自治体で臨時職員を雇用したり、パソコンのレンタルや銀行の振込手数料もかかると説明しています。しかし、支給条件は児童手当とほぼ一緒。わざわざ申請してもらう必要はないでしょう。1万円も児童手当と一緒に振り込めば、銀行に支払う二重の手数料も省けます」(関係者)

 何かにつけて経費を増やすという常套手段の一つと考えると分かりやすい。パートの雇用や必要な?備品の購入など、経済に貢献していると言うつもりか?この子育て給付金だって余裕のある家庭だけが申請してもらうことになりそうだ。本当に困窮している子育て世帯はこの給付金のことを知る機会も面倒な手続きをしている暇もないだろう。


(3月27日)のNHKニュース「おはよう日本」で、最低賃金の半分以下となる時給400円の「中間的就労」を自治体行政が広げることにより自治体の生活保護予算を大幅に削減できている先進的な事例として、大阪・豊中市の取り組みを紹介し推奨していた。
まかり間違えば、生活保護から追い出す生存権破壊、最低賃金の下落、行政によるブラック企業支援、公設貧困ビジネス推進などにつながる危険な施策である。

 「中間的就労」というステップを踏むことによって、従来のシステムでは働くことができなかった人が働き続けられるようになるということが強調されていたが、「人付き合いが苦手、働いた経験なし」と言うだけで最低賃金の半分以下を公認するようなもので、さらなる低賃金スパイラルを行政が先導しているように思えた。

 生活保護給付の増大がすぐやり玉に挙がるが、そもそも日本の生活保護費の対GDP比は0.6%でOECD加盟諸国平均のわずか4分の1だ。日本の生活保護の最大の問題は、生活保護利用率が少なすぎることで、貧困家庭の80%以上が生活保護を受けていない受給漏れ状態にあることだ。日本の生活保護利用率はドイツのわずか6分の1なのである。

 また、生活保護の増加は、公的年金制度の不備などによって高齢利用者が増えていることに原因がある。そもそも「中間的就労」による生活保護費圧縮の対策はナンセンスでしかない。

 高齢者の受刑者が激増している事実が報道されていたが、それを見ていて胸が痛くなった。認知症気味の高齢者が食べるものに困って窃盗をする。刑期を終えてもまた生活に困るから再犯する。配偶者の介護に疲れて無理心中を企てたが、死にきれず殺人者になったものも多い。服役中に病気や認知症になって刑務所がまるで介護施設のようだ。貧困高齢者の最後の救済機関がなんと刑務所だなんて・・・・こんな冷酷無慈悲な社会に誰がしたんだろう。
 4割近くが非正規労働者となり、正規労働者になれたとしてもブラック企業のような劣悪な就労が増えている。いくらまじめに働いても貯金すらできない。年金の積み立て等できるわけもない。雇用形態の元凶を正さず、生活保護の削減が目的のあの手この手を実施しても、結局は低賃金で無権利状態の非正規労働者を大量生産するだけだ。普通に働けば普通に幸せに暮らしていける社会が前提にならない小手先の支援は欺瞞であり、対策をやっているというアリバイ工作でしかない。


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