オータムリーフの部屋

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プリン体ゼロ、糖質ゼロのお酒

2014-10-14 | 健康

メーカーは、消費者心理を巧みに操り、「健康に悪いものが入っていない」「健康に良いものが入っている」のどちらかを、ことさら強調して消費者にアピールする。

スーパーやコンビニの酒類コーナーでは「プリン体ゼロ」「糖質ゼロ」のアルコール飲料が百花繚乱だ……
プリン体を摂りすぎると高尿酸血症になり、痛風を引き起こす可能性がある。「ビールは痛風の危険度が高い」という指摘があるので、プリン体がゼロであることを、ことさら売り文句にしている。
しかし、酒に含まれるプリン体は一般食品に比べれば極めて少ない。多いと言われるビールで見てみると、サッポロ・ヱビスビールが約11mg、サントリー・プレミアムモルツが約9.5mg、キリン・一番搾りが約8.8mg、アサヒスーパードライが約5~6mg(いずれも100mlあたり)である。

 一方、食品に含まれるプリン体は、鶏モモ肉が122.9mg、牛モモ肉が110.8mg、豚ヒレ肉が119.7mg、カツオが211.4mg、マグロが157.4mg、マイワシが210.4g、スルメイカが186.8mg、豆腐が20.2mg~31.1mg、枝豆が47.9mgである(いずれも100gあたり)。

 酒のつまみで、モモの焼き鳥1本100g(プリン体・約123mg)を食べれば、キリン一番搾りの350ml缶ビール4本分(1400ml)のプリン体(約123mg)を摂取したことになる。カツオの刺身100gのプリン体は、アサヒスーパードライ350ml缶10本分(6mg×35=210mg)に匹敵する。

 プリン体を控えたければ、ビールよりつまみだ。焼き鳥を1本(100g)減らすだけで123mg、カツオの刺身をマグロに変えるだけで約60mgのプリン体を減らすことができる。
その他の肉類では、牛レバー219.8mg、豚レバー284.8mg、鶏レバー312.2mgと、レバーには非常に多く含まれている。牛肉では、肩ロース90.2mg、タン90.4mg、ハツ185.0mg、ミノ83.9mgと、精肉や内臓にも多く含まれている。プリン体を気にしていたら、肉も魚もすべて食べられなくなる。

 プリン体ゼロの発泡酒や新ジャンルの酒が雨後の竹の子のように出てきたのは、ビールメーカーが糖質ゼロの商品で味をしめたからだ。何のことかよくわかっていないのに、何でもかんでも「0(ゼロ)」や「ハーフ」に飛びつく消費者をターゲットにしている。そうした消費者が糖質を気にするのは、カロリーを抑えたいからだろう。しかし、酒にそもそも含まれる糖質はごくわずかでしかない。糖質が少なくても、全体のカロリーが高ければ意味がない。酒類のカロリーは、糖質が多いか少ないかよりも、アルコール分(度数)が高いか低いかによって決まる。
アルコールは、1g当たり7kcalに相当する。100mlはほぼ100gなので、アルコール分5%であれば、100mlあたり35kcal(700kcal×0.05)程度になる。キリン・ZERO(ゼロ)は、糖質がゼロでエネルギーも100mlあたり19キロカロリーと低い。一見、糖質もゼロでカロリーも低くて良い酒のように思えるが、アルコール分は3%である。
 糖質も、酒よりも一般食品にはるかに多く含まれている。ポテトチップスの炭水化物は54.7g、食物繊維の4.2gを引いても51.5gである。ホワイトチョコレートは、炭水化物50.9g、食物繊維0.6gを引いても50.3gになる(いずれも100gあたりの数値・五訂食品成分表より)。

 酒の糖質は、普通の清酒やビール、発泡酒で、100gあたり3~4gで、ポテトチップスの10分の1以下である。糖質が含まれていない酒を飲んだからといって、酒のつまみを余分に食べれば何の意味もない。「糖質が少ない酒を飲んでいるから安心だ」といって、つまみをたくさん食べれば、かえって逆効果である。

 焼酎やウイスキー、ブランデーは糖質ゼロの酒だ。プリン体は、100mlあたり焼酎は0.03mg、ウイスキーは0.12mg、ブランデーは0.38mg、日本酒は1.21mg、ワインは0.39mgである。糖質ゼロの酒を飲みたいのであれば、焼酎やウイスキー、ブランデーを水割りやオンザロックで飲めば、糖質を摂取しなくて済む。焼酎やウイスキーは、プリン体も0に近い。しかし、焼酎やウイスキー、ブランデーは、糖質は0だがアルコール度数が高いのでカロリーは高い。糖質が含まれている日本酒も、アルコール度数が高いのでカロリーは高い(プリン体の数値は、2007年五訂食品成分表・女子栄養大学出版より)。


「でも、同じ量のつまみを食べるなら、やっぱりビールよりプリン体ゼロの発泡酒の方がいいじゃないか。糖質が含まれているものよりゼロの方がいいじゃないか」と思われるかもしれない。しかし、ここにも落とし穴がある。

 糖質やプリン体は、アルコール飲料も含め、食品の旨み成分である。ビールは、ビール本来の味を保つために原材料の使用基準を厳密に定めている。添加物の甘味料は使えない。糖質を減らせば味が変わる。その味を添加物で補うことができないので、糖質をカットした商品がなかなか出てこないのだ。
そこで、糖質を下げるために、本来酒には使用しない添加物などが使われていることがある。発泡酒やその他の発泡性酒類(スピリッツ等)は、ビールと違って、すべての添加物が使用できる。典型的なのが、スピリッツやリキュールである。

 糖質とプリン体、世界初2つのゼロが売り文句の発泡酒、サッポロ・極ゼロは、発泡酒の原材料である麦芽、ホップ、大麦の他に、苦味料、カラメル色素、スピリッツ、水溶性食物繊維、エンドウたんぱく抽出物、香料、酸味料、安定剤(アルギン酸エステル)、甘味料(アセスルファムK)が使われている。

 一方、同じサッポロの発泡酒で北海道生搾りは、100gあたり糖質が3.2g、プリン体が約3.4mg含まれているが、原材料は、麦芽とホップ、大麦、糖類だけである。つまり、2つ(糖質とプリン体)をゼロにしようとすれば、代わりに酒には似合わない添加物や原材料が目白押しになるのである。

たとえカロリーがゼロであっても、人工甘味料は肥満や糖尿病の原因になる恐れがある。

 カラメル色素は、コーラなどに使われる着色料だが、発がん性物質が含まれている可能性が高い添加物だ。苦味料以降はすべて添加物だが、酒に9種類もの添加物が使われている。一部の発泡酒に使われている加工デンプンも、発がん性物質が含まれている可能性がある添加物である。化学調味料の調味料(アミノ酸)や加工デンプンは、いずれも加工食品によく使われる添加物である。原材料だけ見ていると、酒類というより加工食品のようである。

 糖質を減らすもう一つの方法が「酵母エキス」を使うことだ。酵母エキスは、酵母といっても酒を醸造(発酵)するときに使うわけではない。酒になった後に、味付けとして使うものである。添加物ではなく食品に分類されるが、調味料である。

 調味料を使わなければならないのは、やはり「糖質を減らすと味が落ちる」という証拠であろう。酒本来の味でない添加物や調味料で補わないと売り物にならないということだ。メーカーは「おいしい糖質オフ」、「本当にうまい糖質ゼロ」と味の良さを強調するが、それが添加物や調味料の味だとすると、いかにも情けない。(消費者問題研究所代表・垣田達哉)
 
 
そもそも酒は、酔いたいから飲むものだ。まずくて、酔えなくて体に悪いものを飲まされているとしたら情けない話だ・・・・・
そして本来のビールの旨み、それを味わうはずが調味料で味付けされた液体を健康のためと信じて飲んでいるとしたら・・・・・
新しい商品が出たときは疑ってかかるべきだろう。
 
安倍政権の規制改革の一つとして健康食品の機能性表示の解禁が実施された。
トクホは費用がかかりすぎ、中小企業の参入障壁となっているからだというおためごかしがまかり通る。
完全に自由化しているアメリカでは、認知症の予防に効果があるとされるイチョウ葉は、国の研究機関が効果なしという結果を出しても効能表示を継続できる。
日本では業界団体に認証させ、証拠レベルの高低に合わせた多段階表示が検討される方向だが、業界任せでは企業寄りの甘い判定になることは容易に想像できる。
欧州がより厳格な効能表示方式に統一するなか、日本は逆に、米国型へと舵を切った。消費者に高度なリテラシーや自己責任を求めるのは無理な話なのだが・・・・
 
安倍首相の弁
 『健康食品の機能性表示を、解禁いたします。国民が自らの健康を自ら守る。そのためには、適確な情報が提供されなければならない。当然のことです。
 現在は、国から「トクホ」の認定を受けなければ、「強い骨をつくる」といった効果を商品に記載できません。お金も、時間も、かかります。とりわけ中小企業・小規模事業者には、チャンスが事実上閉ざされていると言ってもよいでしょう。
 アメリカでは、国の認定を受けていないことをしっかりと明記すれば、商品に機能性表示を行うことができます。国へは事後に届出をするだけでよいのです』
 

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