オータムリーフの部屋

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「残業代ゼロ」のマヤカシ

2014-06-09 | 政治

 アベノミクスの成長戦略に盛り込まれる可能性が高い「ホワイトカラー・エグゼンプション」。「時間」ではなく「成果」に対して、賃金が払われることになる。ノルマを果たすために延々と働くことになり、過労死が急増するのは間違いない。
 ところが、公務員には適用しないことが分かった。6日国会で民主党の山井和則議員が「残業代ゼロは公務員も対象なのか」と質問したら、「原則として公務員は対象ではない」と内閣官房が明言した。

 安倍政権はホワイトカラー・エグゼンプションを、「残業しても残業代が出ないので労働時間が減る」「生産性が上がる」「成果さえ上げればいいので自由な働き方が可能になる」などと、いいことずくめのように喧伝(けんでん)している。それほど素晴らしい「労働制度」だと言い張るなら、まず「公務員」に適用すればいい。なのに、身内の公務員は適用外、残業代を払うというのだから、フザケるにも程がある。

「安倍政権が指摘するように、日本人の“生産性”が低いのは事実です。“生産性”だけを比較するとOECD加盟国のなかで19位。長時間働いている。でも、日本人の残業時間が長いのは、残業代があるからではありません。むしろ、欧米に比べて残業代は安い。日本は残業の割増賃金が25%なのに対し、アメリカは50%、ヨーロッパには75%の国もある。つまり、欧米では長時間働かせると残業代が多額になるので、とにかく時間内に仕事が終わるように企業が工夫せざるを得ない。それが高い“生産性”に結びついているのです。もし、“生産性”を上げたいなら、日本も残業代を75%にすればいい。残業代をゼロにしようなんて、どうかしています」(経済ジャーナリスト・荻原博子氏)
 まずは、公務員と国会議員こそ“成果主義”にすべきだ。(日刊ゲンダイ)
 
 労働時間にかかわらず賃金が一定になる働き方をめぐり、政府の産業競争力会議が、修正案を出す。当初案は対象に一般社員も加えていたが、「幹部候補」などに限定し、年収の条件を外すと言う。
 産業競争力会議に、4月に当初案を提案した民間議員の長谷川閑史(やすちか)・経済同友会代表幹事らが修正案を出す。いまは従業員を一日8時間を超えて働かせたり、深夜や休日に出勤させたりすると、企業には賃金に上乗せしてお金を支払う義務がある。当初案は、時間ではなく仕事の成果で賃金が決まる働き方を提案し、年収1千万円以上の社員のほか、一般社員も対象にするとしていた。
 修正案は、中核・専門的な職種の「幹部候補」などを対象とする。年収の条件を外し、高年収者でなくても導入できるようにした。
 
 
幹部にするとは約束できないが、君も今日から幹部候補生だ!
うちは全員が幹部候補の夢あふれる素晴らしい会社だ!
 
 グローバリゼーションは、職場環境と労働者の立場を大きく変えた。バブル崩壊後の「失われた20年」で、セーフティネットが崩壊した。人件費がコスト削減の最大要因とみなされ、非正規労働者が増加し、雇用保険や福利厚生の恩恵に浴する対象者が減った。職場は過酷な競争の場となり、心を病む人たちが増大した。経団連や経済同友会はグローバルな競争に打ち勝つために、働くものの権利を奪い、企業の社会的責任など顧慮する余裕もなく、政府に対してひたすら労働条件の規制競争を要求する圧力団体になり下がっている。
 成果主義制度は本人が選べるようにすると言う一文もあるが、「選ばない」ということは、キャリアアップを断念することに等しい。会社の不興を買ってまで従来の残業制度を選ぶわけにはいかないだろう。
 
 連合は、今のところ絶対反対の意思を表明している。いつまで反対できるか見ものだが、職場がここまで殺伐としてきた要因の一つは、労働組合の衰退だ。経営者のお友達懇談会なら、ない方がましだ。

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