オータムリーフの部屋

残された人生で一番若い今日を生きる。

人づくり革命と教育ビジネス

2017-08-11 | 政治
「一億総活躍社会」「地方創生」「女性活躍」そして人づくり革命。安倍政権でイメ-ジ操作のみの政策が出てきて久しい。人づくり革命の中身は幼児教育の無償化、高等教育の負担軽減だが、森友、加計学園問題で明らかになったように教育への助成金垂れ流しに拍車がかかることは確実だ。
政策課題として(1)復興の加速化(2)人づくり革命の断行(3)一億総活躍社会の実現(4)世界の中心で輝く日本――の4項目が掲げられた。「経済最優先で政権運営にあたり、若者への投資を拡大する」と言う。
ネットでは言葉のセンスを揶揄するつぶやきが・・・
「いっそのこと『人間革命大臣』という名称にして、公明党議員に大臣を任せればいいんじゃないかなぁ」
「人造人間でもつくるのかな」「革命的な新しい生殖方法を開発」
共産党の小池晃書記局長が8月3日の記者会見で「革命という言葉を軽々しく使わないでほしい」と不快感を示した(笑)。
 
そもそも、政権が教育に介入するとロクなことはない。教育は多様な人間、自分の頭で考える自立した人間を育てることに注力すべきである。企業の役に立つ人材、生産性向上を念頭に置いた人づくりで画一的な人間を育てるための助成金は要らない。
教育がビジネスになって久しい。毎年、巨額な税金が補助金頼みの定員割れ大学に支給されている。平成28年度の交付学校は8777校、総額は3211億6333万7000円である。日本大学、早稲田大学、慶應義塾大学、東海大学、順天堂大学など、有名マンモス大学および医科系の大学が例年上位を占めている。
 私立大学には申請書を提出するだけで億単位の補助金が交付される。無償交付であり、その後に大学が学生の募集停止や廃校に陥ったとしても、返済する必要はないそうだ。また補助金は私学振興事業団を経由した国からのものばかりではなく、キャンパスが所在する地方自治体からも出る。国よりも地方自治体からの補助金の額が大きい大学も少なくない。予算審議で、学校法人への補助金はフリーパス状態になりやすい。どの会派も教育関連の予算を削減するとは主張しづらく、また学校法人の理事長や理事が地域の有力者という事情もあるらしい。学校運営を補完するどころか、補助金に依存している大学も少なくないという。
【補助金依存度が3割を超える学校法人】
・村上学園(東大阪)、大阪観光大学、郡山開成学園(郡山女子)、中越学園(長岡)、享栄学園(鈴鹿国際) など聞いたことのない学校が並ぶ。
依存率で3割を上回ったところが16法人もあるという。いずれも定員を埋めるのに四苦八苦している大学ばかりであるから、もはや補助金なしでは法人の運営は成り立たない。このほかにも依存率が25%を上回っているところが25法人を数える。ちなみに支給額でトップの日大の依存率は9%台と1割を切っており、早稲田、慶應も1割台にとどまっている。
少子化は進行しており、大学を取り巻く環境が中期的に改善する気配はないのに、大学新設などもってのほかである。必要なら、既存校の定員を増やせばいいだけだ。
 
話題の加計学園系列の千葉科学大学の事情はどうだろう。
千葉科学大学は大学を構成する薬学部・危機管理学部・看護学部すべてにおいて偏差値35~40に留まっており、薬剤師国家試験合格実績から見た薬剤師教育の状況も惨憺たるものとなっているという。
千葉科学大学の現在の学長を務めるのは第2次安倍内閣において内閣官房参与(2014年4月~2016年9月)に就いていた木曽功氏であり、加計学園問題の渦中の人物のひとりである。
 
さらには萩生田光一官房副長官、江島潔参議院議員(安倍首相の地元である下関の元市長)、井上義行参議院議員(第1次安倍内閣時の首相補佐官)らが落選期間中などに客員教授を努めていた。
千葉科学大学が開校したのは2004年。千葉科学大の誘致を行ったのは野平匡邦元銚子市長。この人物は銚子市で育った後に自治省を経て岡山県副知事を務め、2002年には加計学園系列の岡山理科大の客員教授に就任した。そしてこの年の7月に千葉科学大の地元誘致を訴えて銚子市長選を戦って初当選を果たし、2004年に千葉科学大学は開校した。
つまり、野平氏は加計学園の本拠地である岡山県の副知事から加計学園の運営する岡山理科大学で客員教授という地位に就き、同じ加計学園の千葉科学大学の誘致という大きなお土産を携えて銚子市長となった。しかし、誘致のために銚子市が加計学園に提供した補助金は92億円にも上っており、さらには市有地9.8ヘクタールを無償貸与することになった。しかし金額があまりに大過ぎるとして再交渉が行われた結果、加計学園が補助金14億6千万円を返還することで市と合意し、市側はさらに約8億円の辞退を要請した。加計学園が市民に貢献できる施設を建設することに協力することで折り合いがついたが、この約束は未だに果たされていない。加計学園側は2014年に看護学部を設置した際、津波の避難に対応できる高い建物を建設した。万一の時に地元の人もここに避難できるから、約束した『市民への還元』にあたると主張しているとか・・・。
また、野平市長(当時)は「半分は国から持ってくる」と約束したものの結局びた一文持ってくることはできず、全額が銚子市の財政負担となった。要するに、加計学園の客員教授が加計学園系列の千葉科学大学を銚子市の多額の補助金で建てさせ、土地も無償貸与させ、そのツケを銚子市、ひいては銚子市民が払わされているという構図である。
 大学誘致の経済効果は69億円、財政効果79億円と試算されたが、2014年に市が試算した経済効果は約21億円、財政効果は約14億円にとどまっている。そんな中で千葉科学大への補助金支払いのための借金の利子を含めた返済額は84億円。毎年約4億円を返してきたが、14年度末で約44億円もが借金として市の財政を圧迫している。
このため銚子市は斎場の使用料金を6千円から1万2千円と2倍に値上げし、ゴミ袋の値段も1.5倍にした。2008年には市立病院の経営危機が起き、市職員も市長など特別職の給与を減額するなどして支出削減を図っている。17年度には北海道夕張市に続く財政破たんに瀕するとされており、まさに「第2の夕張」と呼ばれる事態に陥っている。
 更に千葉科学大学の卒業生らの多くも銚子市に残ることはなく、人口増には繋がっていない。
 
こうした状況の中、2017年4月23日の市長選で野平氏は返り咲きを狙って「国家戦略特区で(加計学園の)水産・獣医学部の新設」を掲げていた。その途中で森友学園問題から家計学園問題にまで飛び火が予測される事態となり、この公約は取り下げ。結果的には現職だった越川信一氏が再選された。
 
今治に岡山理科大学獣医学部が新設されたとしても、定員160人が集まらなければ大学は経営難に陥り、経済効果も期待できない。そのツケは今治市民に重くのしかかる。
蔓延する大学の「補助金ビジネス」が、立地自治体とその市民の生活を圧迫し、崩壊させることになるというのに、市民たちは無知である。オレオレ詐欺が蔓延する高齢者社会・・・・巨額の詐欺が合法的に行われているようにしか見えない。

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