オータムリーフの部屋

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シェールガス革命で原発不要

2013-01-10 | 原発

原子力発電所の発電コストは高く、一度、福島第一原子力発電所のような事故を起こしてしまえば、その損害賠償によるコストを加えると、コスト的には他の発電方法とは比較にならない。また、将来は再生可能エネルギーへ移行するのだろうが、まだコストが高い。そのために「つなぎ」となる発電としてLNG(液化天然ガス)による火力発電が注目を浴びている。
米国では既にシェールガス革命が始まっている。このシェールガス革命とは、主に米国において従来は技術面およびコスト面で採掘が困難であった部分に埋蔵する天然ガスが、技術進歩によるコストの低下で採掘が採算に合うようになり、米国産天然ガスの増加によって世界の天然ガス供給に余剰が生じつつある状況である。
 これによって影響を受けたのは、従来米国向けにLNGを輸出していた諸国、特に中東のカタールである。カタールは、米国向けの輸出量が減少していることを受けて、欧州諸国にシフトした。すると今度は、それまで欧州諸国向けに長期契約に基づいて大量の天然ガスをパイプライン経由で輸出しているロシア国営のガス独占企業ガスプロムが、いわば玉突き式に輸出量を減少させることになった。ガスプロムとの長期契約はガス価格を原油価格にリンクさせるものであるが、カタールの欧州シフトによって欧州市場でのLNG・天然ガスのスポット価格が下落する一方で、原油価格は高水準のままで推移し、両者の間で乖離が生じた。このため、ドイツなどの需要側は原油価格へのリンクを外すようガスプロムに対して求めている。そして、ガスプロムからの輸入量を長期契約で定められる義務的最低限契約に抑えるケースが増加した。このように、米国におけるシェールガスの増産が、一見すると無関係なロシアからの天然ガス輸出量の減少にまでつながっている。

 以上のように、天然ガスは、シェールガス革命によって、「だぶつき」を見せている状態だ。今回、ロシアがいちはやく日本向けLNGの追加供給を申し出た背景には、このような欧州向け輸出の不振という要因がある。天然ガスは価格面で、投機的な動きに左右されやすい原油価格とのリンクが外れるケースが多くなってきている。
 
 有力なエネルギー資源である天然ガスは、枯渇のリスクもほとんどなく、当面、発電の燃料や燃料電池の原料として有望である。ベンチャーから大手の石油会社に掘削が移った米国ではテキサスで最初の油田が湧き出た以来の熱狂ぶりである。世界の石油化学企業がアメリカのテキサスに工場を造り始めている。このエネルギー革命でアメリカの景気は急速に改善しそうな気配だ。最近の安倍ノミクスによるとどまるところを知らないドル高もこのエネルギー革命の夜明けを察知してのことかもしれない。

コスト高の汚い原発エネルギーにしがみついていないで、円高基調にあることを生かして、積極的に外国でのガス田の権益を確保する戦略的資源外交が強く求められる。

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