9日に投票が行われたクイーンズランド(QLD)州選挙では、与党労働
党が89議席中60議席を確保する見通し。ビーティー首相(53)は、同州労働
党政権として1941年のスミス首相以来となる4期目に突入することを確実に
した。医療や水道整備などの問題を抱えながらの地滑り的な勝利を受け、同
首相は「もう1度チャンスを与えてもらった」とコメント。改革への強い意
欲を示している。各メディアが伝えた。
選挙前に実施されたニューズポールの2政党間比較調査で、労働党が前回比
4ポイント増の58%だったのに対し、連立野党は同4ポイント減の42%に低下。
今回のビーティー政権の大勝が事前に予想されていた。
国営放送ABCによると、連立野党のうち国民党は16議席を維持。自由党
は1議席増やして8議席を確保する見通しだ。
労働党は、サンシャイン・コーストのカワナ選挙区でカミンズ中小企業・
情報技術(IT)相が落選したものの、補欠選挙によって失っていたレッドク
リフなど3選挙区の議席を奪い返す見込み。このうちチャッツワース選挙区
では、元民放ナインのリポーターであるボンボラス候補(労働党)が勝利し
た場合、同州自由党の将来のリーダーといわれているカルタビアーノ影の財
務相を落選に追い込むことになる。
9日午後8時半に勝利宣言を行ったビーティー首相は、「今夜は祝杯をあ
げるにしても、明日には仕事に戻らなければならない」とコメント。バンダ
バーグで無免許の医者が多くの死亡事故を引き起こした「ドクター・デス」
スキャンダルや、100年来の干ばつに見舞われている同州南東部の水道網整
備の遅れが指摘されるなど、多くの逆風が吹く中で労働党を再び支持した有
権者に謝意を示した。
同首相は「彼らを裏切ることはできない。既に警告を受けているようなも
ので、改革を推し進めていく責任を負っている」と発言。医療分野のアクシ
ョンプラン策定と水道網整備の推進を公約した。
連立野党のリーダーであるスプリングボーグ同州国民党党首は敗因につい
て、不満を持つ層を取り込むことができなかったと分析。「われわれはもっ
とQLD州民の心をつかむ必要があった」と述べた。
同党首はビーティー首相に対し、「素晴らしい結果を収めた」と祝福。た
だし「この結果は投げ出すことのできない大きな責任を伴うものだ」と続け、
今後の州政権運営をけん制している。
なお、同党首とQLD州自由党のフレッグ党首は、ともにトップから退く考
えがないことを明らかにしている。
■「労使改革への懸念」連邦野党党首
一方、連邦野党労働党のビーズリー党首は、QLD州選挙の結果について、
ハワード連立与党政権による労使改革に対する懸念が一因と主張している。
ビーズリー党首は民放テンの番組に出演し、難しい問題の責任を引き受け、
解決策を提示していこうとするビーティー首相の姿勢が一番の勝因とコメン
ト。その上で、「QLD州の有権者はハワード首相に対し、労使改革で譲歩し
ろというはっきりとしたメッセージを送った」と指摘した。
同党首は、QLD州の選挙戦では労使改革にも焦点を置いていたと説明。
「この問題に関心のある有権者は、政府の労使改革法を公平なものと考え
ていない」と話した。
(NNA) - 9月11日