ウエスティに猫な日々

日々の料理と外食、趣味の熱帯魚と読んだ本の感想と我が家の犬と猫の話。
ほか、日々のちよっとした独り言。

「 罪と祈り 」  貫井 徳郎

2020-05-07 23:13:31 | 
       「 罪と祈り 」  貫井 徳郎
  
             

新聞の新刊案内で知って、昨年の10月2日にリクエストしていました。
やっと、届いてカードを見ると、私の後に予約20人待ち。 急いで読みました。

今日のバックミュージックは徳永英明さん。 透き通った歌声が懐かしい。「 僕のそばに 」「 風のエオリア 」 つい、口ずさんでしまう。 
~~~~~~
第1部から第7部まで、幼馴染の亮輔と賢剛と、それぞれ二人の父親で親友だった辰司と智士の若い頃が交互に描かれている。
元警察官だった濱中亮輔の父、辰司が、隅田川で溺死体で発見される。 警察官になっている友人の賢剛の担当区域に流されていたので賢剛が捜査に加わることになる。
事故死と思われたのが、殴られた痕があり殺人事件として捜査されることに。
賢剛の父は4歳の時に自殺し、今また親代わりの亮輔の父が殺された。 賢剛は2人の死の謎を追い、亮輔も正義感にあふれた父の死を独自に調べる。
~~~~~~ネタバレ
一つの事件から次々と謎が深まり、現在と過去がつながって先が読めない面白さで、一気に半分読みました。
辰司はなぜ、誰に殺されたのか? 智士はなぜ自殺したのか?

バブルの時の地上げ屋のあくどいやり方、昼夜構わず訪問して嫌がらせして、血だらけの豚の頭を放り込むに至っては、めちゃくちゃ腹が立ちました。
亡くなる人や、出ていく人が出ても、警察が何にもしてくれないのにはもっと苛立ちました。
何より、警察官だった辰司が人々を助けられなくて、一番悔しい思いをしていたはず。
ある夫婦は、1億という大金を手に入れ、夫は働かずパチンコ狂いで、愛人を作って、妻はうつになり育児放棄で子供を餓死させて自殺してしまう。最悪の展開。
ここから、一番悪いのは不動産会社なので社員の子供を誘拐して大金を奪う計画になっていくけれど、この展開は何かが違うよ ちょっと興ざめ。

浅草の何世代にもわたり濃密な人間関係が生きる場所を舞台にし、地縁を破壊した不動産会社に復讐したかった辰司と智士と仲間たち。
時代が悪かったのか、バブルのせいなのか?  でも、手段が間違っていたと思うし、決して共感できない。何かほかに方法があっただろうに。 
結果、不測の事態といえ、子供が死んで、両親に哀しみを与え、智士が自殺。 未解決になったとは言え、何も罪のない二人の子供にしわよせで、二人の妻にも苦労を強いる。
辰司も仲間も一人も幸せになっていない。 どうすればよかったかは言えないけれど、誘拐はどんなことがあっても許されないと思う。

結局、夫婦、親子でも、知っている、理解していると思っていても、心のうちまではわからないものです。 実感しています。
亮輔と賢剛、何も知らない二人の母親には明るい未来があってほしい。10年先に向かって。
 

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       ありがとうございます。
コメント (2)
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