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DAZN観戦 2024年J1リーグ第14節 サガン鳥栖vs川崎フロンターレ

2024-05-17 18:17:04 | サッカー視聴記(J1)

<両軍スタメン>

「Jリーグの日」という事で、無理矢理気味に水曜に開催されたJ1リーグ。
思えば創世記の頃は、ジーコ氏はじめ様々な海外の有名助っ人が跳梁していたピッチ上。
しかし彼らは既にキャリアの晩年で、彼らに踏襲されるぐらいの当時の日本サッカーの低水準ぶりが露呈されるとともに、そこから這い上がるためのバネをせっせと作り上げるべく反発心を溜める時期だったでしょうか。
そんな「年金リーグ」と陰口を叩かれていたのが嘘のように、現代ではまず十分に走れる能力が第一である状況のJリーグ。

その流れに乗れていないのが、数年前は王者の立ち位置だった川崎。
しかし決して「走るサッカー」から距離を置いているという訳では無く、考えられる一因は世代交代の失敗。
かつての主力選手が軒並み高齢化し、かつ三苫はじめ本来次世代を担うべき人材は海外移籍。
そんな課題をカバーすべく必死に補強を重ねているものの、それをチームの実とする作業が巧くいっていないのか。
成績は次第に落ち込み、今季はとうとうボトムハーフで四苦八苦する状態に陥ってしまいました。

前節(札幌戦、3-0)はスコア的には快勝だったものの、既に最晩年で満足に走れないバフェティンビ・ゴミスをセンターフォワードに起用し殴り合うという、前述の創世記が思い起こされるようなスタイルで札幌を沈め。
そこから中3日、さらにこの後も中3日と、体力面に不安を抱えるチームにとっては人一倍キツくなる日程。
そして相手は走行距離リーグトップという対極的な存在の鳥栖(川崎は19位との事)という、逆風を浴びるようなカードとなりました。

その立ち上がり、川崎は鳥栖のプレッシングにも尻込みする事無く、ボール保持から何度も相手陣内へ切り込み。
マルシーニョの裏抜けを加えながら先制点を目指すその立ち回りに、体力面の懸念は感じさせず。

しかし鳥栖も、最終ラインでのボール保持で隙を窺うチーム。
前半8分、右サイドで前進の姿勢から、敵陣中間辺りで原田が中央へ縦パスを打ち込み。
そのパスは横方向で「縦パス」というのは語弊があるものの、しっかりと収めた菊地がミドルシュート、大南にブロックされるも跳ね返りを繋いでコーナーキックに持ち込みます。
するとこの左CKを素早くリスタートし、ショートコーナーを受けた手塚が左ポケット角からシュート(GK上福元セーブ)と意表を突き。
川崎の抱えるチーム事情を突くような、急な変化で仕留めようとします。

それでも川崎は、12分にGK上福元のロングフィードで一気に左ポケットを突き、そこにマルシーニョが走り込むという疑似カウンター。
マルシーニョが入れたグラウンダーのクロスはクリアされるも、その後ボールを確保し全員敵陣に入り込んでのポゼッションに持ち込んだ末に右CKをゲット。
ここから、キッカー瀬古のクロスをニアサイドで高井がドンピシャで合わせ、強烈なヘディングシュートでGK朴の上を破るゴール。
省エネも果たされる(と思われる)、ほぼ理想的な展開で先制点に辿り着きました。

リードした川崎、その後は家長のボールキープ力を存分に使う立ち回り。
家長も既に最晩年という年齢で、その姿はゴミス同様に前述のJリーグ創成期の事が思い出されるようなものでしたが、ペースを保ちたい現状では十分な武器であり。

そんなスローペース、しかし老獪な相手を崩さなければならなくなった鳥栖。
そのビルドアップの形は、原田が前に出る右肩上がりの陣形で、かつ残った3人の最終ラインが幅を広く取るというもの。
17分にはGK朴のロングフィードを、その原田が落とす初手から繋ぐ攻撃。
そして原田のクロスが大外で横山に収まりそのままシュート(ブロックを掠めて左サイドネット外)と、相手側へ突き出した槍を存分に活かさんとします。

そうした状況のなか、20分にあわやアクシデントという危機が。
川崎がパスワークで攻めるも鳥栖陣内深めこぼれ球となり、繋がんとしたマルシーニョが手塚と激突してしまうと、川崎側の反則で途切れ。
しかしダメージが深いのはマルシーニョの方で、腹部辺りを痛めたのか中々起き上がれない事態となります。
その時間は3分程と長くなったものの、何とか起き上がりピッチ外→復帰に。

これによりそれまでの流れが途切れる危惧が生まれ。
それを打破したのは鳥栖の方で、26分に右スローインからの繋ぎで奥を取り、菊地の最初のグラウンダーでのクロスはクリアされるも自ら拾って(原田とのパス交換から)再度クロス。
今度はファーサイドへの浮き球で、ゴール間近という位置で横山の足下に収まり、そのままシュートを叩き込んだ横山。
川崎サイドは大外から入り込んだ横山を(ファンウェルメスケルケンが)見ていなかったのが仇となった格好で、タイスコアとなります。

これで川崎はプランが狂ったでしょうか。
28分、敵陣でパスカットした瀬古が菊地に反則を受けると、素早いリスタートを選択。
縦パスを受けた遠野が中央からエリア内へ切り込みシュートにいくも、長沼のブロックに防がれます。
セットプレーでの変化ながら、ペース配分を脇に置く格好となったその姿に危機感を醸し出し。

鳥栖は序盤のハイプレスから、次第にマルセロが相手アンカーの位置に留まるという姿勢に落ち着く前線の守備。
しかし31分、川崎が最終ラインで繋ぎGKへ戻した所に、プレッシャーを掛けたのはボランチの手塚。
陣形を崩してでも……というその姿勢は裏目となり、蹴られた上福元のロングフィードが一気に裏を突くと、バウンドするボールをセンターバックがお見合いしてしまい山田が抜け出す事態に。
これを胸で落とした山田、スイッチ気味にマルシーニョがダイレクトでシュートを放つ決定機となるも、GK朴がビッグセーブ。
そしてすかさずミスしたDFに檄を飛ばす朴の姿が印象的となったシーンですが、それが冷めやらぬうちにパスをカットされて攻撃継続となるなど、無理なハイプレスが後方にも動揺を生むという危機となりました。

プレスも控えめとなるなか、お互いこうした疑似カウンター気味の姿勢で、隙を生じさせれば万々歳という状態に陥っていた感があり。
そして今度は川崎サイドにその隙が生まれ、37分原田のロングパスでマルセロを走らせ、高井が何とかクリアするも右スローインとなり。
すると鳥栖はこれを素早く始め、裏で受けたマルセロが右奥を取ってグラウンダーでクロス。
ニアに走り込んだ菊地がスルーすると、またもファーに横山がフリーで走り込む状況となり、ダイレクトでのシュートで再度ネットを揺らします。
今度は切り替えの部分で難を見せてしまった川崎により、鳥栖が逆転に至りました。

リードを許した川崎、それが切欠となり弱さを露呈してしまい。
自陣でパスミスが目立つようになり、球際でも劣勢となる厳しい状況に。
39分に鳥栖の攻撃、右ワイドからまたも原田の「横の縦パス」を中央のマルセロが受け、エリア内へラストパスを送る絶好機に。
しかし菊地はこれを収められず。

命拾いした格好の川崎でしたが、依然として反撃体制を整えられず。
決壊は時間の問題という流れで、迎えた44分エアバトルの連続を経てボールを確保した鳥栖、富樫の裏へのミドルパスで裏を取ったマルセロ。
収めてそのままエリア内へ進入し、GKと一対一に近い状態となりループシュートで上福元の上を抜いてゴールゲット。
前半のうちに挙げた追加点で、優勢ぶりを固める鳥栖。

しかしマルシーニョのあわやというシーンが影響し、長くなったアディショナルタイム。
川崎はゴールキックでのロングフィード、セカンドボールを拾ってから長らく敵陣右サイドでポゼッションを展開。
奥でスルーパスを受けた山田、手塚と横山の2人にアタックを受けるも、倒れながらのキープを経て起き上がってカットイン。
そして低いクロスを入れ、ニアで家長が掠めるように合わせると、その奥の木村に当たる格好でゴールに吸い込まれます。
ややもするとオウンゴール、という絵図ながら、家長のゴールとなり1点差に迫った川崎。
そしてそのまま、3-2と一重に点の取り合いといったスコアで終えた前半。

終盤でのゴールで、反撃ムードが高まったに見えた川崎。
しかし最終ラインがそれを台無しにしてしまい、早々の後半1分にビルドアップに入らんとする所、トラップミスで富樫に奪われる事態に。
そしてそのままエリア内を突いた富樫、ディフェンスに遭うも右CKとチャンスを継続させ。
キッカー手塚はニアサイド・密集からやや離れた位置にクロスを送ると、木村がヘディングシュート。
距離がありキャッチを選択したGK上福元でしたがこぼしてしまい、すかさず富樫がこれを詰め。
持ち前の超反応でこの至近距離のシュートを止めた上福元でしたが、尚も混戦となるボールに、確保せんとする山田の後方から原田が突いて追撃。
3度目となるシュートは防げず、鳥栖の4点目が生まれる事となりました。

手痛い後方のミスとなった川崎。
それを引き摺るように、その後は攻撃機会を生み出せない時間が長く続きます。
9分に自陣で家長がボール奪取、こぼれ球を繋いで再度受けた家長がドリブルで持ち運び、ようやく攻撃に入りますが鳥栖の戻りによりポゼッションに入り。
しかしそれは一重に遅攻に持ち込まれるという感じで、今度は2点目とは逆の左サイド深めでの細かい繋ぎ。
そして橘田が後方からポケットへスルーパス、走り込んだ瀬古のグラウンダーのクロスが入ると、ニアで空振りしたマルシーニョを経てフリーで合わせたのはファンウェルメスケルケン。
人数を掛けて最後は逆のサイドバックが仕留める、という流れを築くも、シュートは枠を捉えられません。

その後、CKからのサインプレーで佐々木がボレーシュートを放つ(11分、ゴール右へと外れる)など、一定の反撃の流れは得るものの結果を出せない川崎。
ベンチが状況打開のため動く段階となり、13分にファンウェルメスケルケン・マルシーニョ→ジェジエウ・脇坂へと2枚替え。
それぞれCB・インサイドハーフに入る事により、大南が右SB・遠野が左ウイングに回りました。

その後前線では、左サイドながらフリーで動き回る遠野を軸とし、ボールサイドに人数を掛ける細かなパスワークに活路を見出す川崎。
しかし後方は、実績あるジェジエウが入ったものの依然として不安定で、故障を繰り返していた彼が未だトップコンディションで無い事を改めて痛感させる展開となり。
18分にそのジェジエウが前へ送らんとした所を菊地がブロックし攻守交替(シュートまではいけず)となるなど、ビルドアップ能力の減衰に苛まれる事となります。
一方の鳥栖は15分に動いており、横山→山﨑へと交代
これで山﨑がCB中央に入る事で、3-4-2-1へシフトする守備重視の采配を敢行した川井健太監督。

川崎が敵陣でボールを支配するも、鳥栖ディフェンスの前に細かな繋ぎを繰り返した末の実りは芳しくなく。
24分に両ベンチがともに動き、鳥栖は菊地・富樫→日野・河田に2枚替えと、両シャドーをそっくり交換。(菊地は脳震盪による交代との事でカード消費無し)
一方川崎は家長・瀬古→エリソン・山内へ交代、この2枚替えで山田・エリソンを2トップとした4-4-2へシフト。
サイドハーフは右に遠野・左に山内、ドイスボランチが橘田・脇坂という布陣変更に望みを託します。

それでもその直後(25分)、またも最終ラインに突っかけられ、(鳥栖から見て)右ハーフレーン深めでボールを奪われた末にマルセロがシュート(脇坂がブロックしCKに)と後方の危機は続き。
さらに26分にも日野のパスカットから鳥栖の好機(日野が脇坂に倒されて左奥からのフリーキックに)となり、セットプレーも絡んで時間も使われる事となり、川崎の反撃体制は途切れ。
流石にこれだけミスする流れが続けば……というのは自明の理ですが、結局次の得点までそれが継続する事となります。

それは30分で、左サイド自陣深めに追い込まれる格好となった川崎、何とか脱出せんと繋ぐもまたも右ハーフレーン深めの位置で河原が前に出てボール奪取した鳥栖。
エリア内へこぼれた所をすかさず河田が反応し、ゴールネットが揺れて鳥栖が更なる追加点。
全体押し込まれた末のプレス回避失敗という絵図に、川崎の命運は尽きた、というような5点目が齎されました。

尚もジェジエウが深めで日野にボール奪取される(33分)など、衰運を堰き止められない川崎。
34分に最後の交代を使い、大南→瀬川。

その後も、逆サイドまで張り出す遠野がパスを出し入れしてチャンスメイクせんとしますが、状況は厳しく。
必死にパスを繋ぐ川崎を尻目に、鳥栖は38分に残っていたカードを全て使い。
キムテヒョン・手塚・マルセロ→上夷・藤田にヴィニシウス・アラウージョへ3枚替え、脳震盪の交代と併せて全6人のベンチメンバー(GK除く)を使いきる結果になりました。

スコアを動かせないまま、時間はATへ。
3点差故に、焦り・緊張感とともに諦め・安堵感が交錯する時間帯であり。

その所為か鳥栖サイドにもミスが生まれ始め、そこからこぼれ球を直接佐々木がスルーパス、前線のマリソンに渡り川崎の好機。
しかし鳥栖のトランジションを受けた結果、ミドルシュートを余儀なくされてこれをGK朴がキャッチ。
結局これがAT唯一のフィニッシュとなった川崎。

一度大きく傾いた状態を戻すのは難しい、といった流れで、そのまま試合終了の時を迎え。
5-2で勝利した鳥栖、これが川井監督となってから初の連勝と、意外といった結果が生まれた試合となりました。

一方、見るからに心配な状態となってきた川崎。
最終ラインの不安定ぶりを、背番号一桁の選手が醸し出すようではムードも上がらないのも当然といった試合内容。
汚泥から這い上がり、再び上位を確保する日は来るでしょうか。

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