※前回の千葉の記事はこちら(21節・栃木戦、1-2)
※前回の熊本の記事はこちら(22節・愛媛戦、4-0)
<千葉スタメン> ※()内は前節のスタメン
- 高橋が累積警告により出場停止。
- 天皇杯3回戦(FC東京戦、2-1(延長))からの継続スタメンは松田・日高・林の3人。佐々木・田口・田中・高木・小森が途中出場。(但し3戦連続スタメンは無し)
- 山越がJ1・ヴェルディからレンタルで加入し、今節から登録されベンチ入り。
- 小川がJ1・磐田からレンタルで加入し、今節から登録され即スタメン出場。
- 熊谷アンドリューがJ3・金沢へ完全移籍となり、今節をもって登録抹消。
- 21節で試合前に負傷した鈴木大輔の詳細が発表され、6/25に手術実施して全治約6か月との事。
<熊本スタメン>
- 唐山がJ1・ガンバから育成型レンタルで加入し、今節から登録され即スタメン出場。
- 道脇が海外移籍準備のためチーム離脱。
飛び級でプロで場数を重ねている神代が絶賛ブレイク中という今季の熊本。
とはいっても9節(長崎戦、3-4)以降得点無しと、その高い壁も経験している最中ですが。
その先駆けとなった道脇が、先日海外移籍の錦の下チームを離脱。
飛びぬけた才能を持つ若武者の夢溢れる飛躍……といった所でしょうが、実績では年下の神代に後れを取っていた感のある道脇。
それは潜在能力が目に留まった故の事か、早く跳び立ちたいという焦りからなのかはやや不透明で、今後の道のりはいかに。
話を戻すと、その道脇の穴埋め的に、ガンバから唐山を加入させて即スタメン起用の運びとなった熊本。
これが3度目の育成型レンタルと、(ガンバに)戻っては壁にぶつかって……の無限ループに陥っている感がありますが、上記の熊本の独自路線のレールに乗る事で化学反応は起こるでしょうか。
中断前の一戦は、千葉のホーム・フクダ電子アリーナへ乗り込んでのアウェイ戦。
昇格争いの渦中かつ、負傷者・補強選手・天皇杯という要素で前節から大幅にメンバーを弄って来た千葉は何処と無く不安定な立ち上がり。
前半5分に佐々木が後方からドリブルで持ち運ぶも、センターサークル辺りで熊本ディフェンスに囲まれた末に奪われてしまい。
そして矢印を反転させる熊本、細かな繋ぎから唐山がドリブルに入り密集を脱出させるも、エリア手前でディフェンスに阻まれシュートには持ち込めず。
不発に終わったものの、これにより唐山に長所が発揮されるレールが引かれた感があり。
千葉はそうはさせじと、縦に速い攻撃、即ち田中のスピードを活用する手法を駆使してゴールを狙い。
7分にはその田中の右からのクロスを、ニアで林が合わせてのヘディングシュートで、対角線を巧く突いたもののゴール左へと外れ。
良い流れを築いたと思ったら、9分には小川のパスカットを拾った佐々木が遠目からシュートを狙う(枠外)など、この日もとにかく早く攻めるという一本調子ぶりが目立ちます。
そして守備でも、熊本のショートパス攻勢に翻弄される流れとなり。
加入した唐山は自身で持ち運ぶ際にも、対面の選手の喰い付きを呼び込んだのちパスを送るという具合に、熊本のパスワークにしっかりフィットしたようであり。
10分にはその流れでパスを送り、伊東のレイオフを受け直してミドルシュート(ゴール上へ外れ)と、自身のフィニッシュにも繋げ。
徐々に劣勢感が露わになる千葉。
16分に熊本が(地上でのパスを足下で)フリックするも繋がらなかった所を、すかさず品田が縦パス一本でひっくり返し、林がエリア内で受けてそのままシュート。(江﨑がブロック)
やはり対抗姿勢は縦に速い攻め、という事を象徴する好機を生み出します。
しかし飲水タイム(23分)が挟まれると、しっかりしたスタイルを持つ熊本へと針が振れ始め。
28分熊本の最終ラインからの繋ぎにハイプレスを掛ける千葉ですが、左サイドで下がって受けた小長谷が切り返しで、前に出てきた小川を剥がしてからの前進でビルドアップ成功。
(小長谷戸入れ替わりで前に出ていた)豊田のポストプレイを挟み、受けた石川がカットインで中央まで流れてミドルシュート。(ブロック)
その後もひとしきりコーナーキックからゴールを脅かしたのち、32分に今度は右サイドで唐山が降りてパスワークに加わっての組み立て。
そこから大本のスルーパスに抜け出した伊東が右奥を突き、マイナスのクロスをニアで受けた唐山がポストプレイ、大本がカットインからエリア内中央でシュート(品田がブロック)と、地上からの変幻自在な繋ぎで翻弄していきます。
その熊本の立ち回りを強化させる存在となっている唐山。
右サイドでロングボールのターゲットにもなる(36分、大西のロングパスをフリックして好機)など、何でも出来る役としての風格も漂い。
その後も股抜きパスで千葉のプレッシャーを剥がす(38分)、中央に絞ってチャンスエリアでパスを受けて突撃する(40分)という具合に、その一挙一動に目が離せなくなるシーンは枚挙にいとまが無く。
これまでの苦難が滲み出るような移籍歴を経て、ようやく居場所を見つけた感があり、今後かつての平川(現磐田)のようなブレイクといくかどうか。
そんな新戦力の力もありペースを掴んだ熊本ですが、それを決定付ける先制点は奪えずに前半が終わり。
スコアレスでの折り返しとなり、順調な攻めを続けながらも得点出来ない流れに不安も過りかねないという展開に。
しかし始まった後半、それを払拭させるように前半同様のパスワークで攻める熊本。
3バックが幅を広く取る事による繋ぎで千葉のプレッシングも無効化させ、第一プレッシャーを剥がせば後は引き付けてスペースを作って運ぶ、の繰り返し。
後半2分、その作業でチャンスエリアに運んだ所、小長谷がエリア内へ突撃せんとする所を品田に倒されて反則。
これでエリアからすぐ手前での直接フリーキックと、先制点を挙げるにはこの上ない好機に持ち込みましたが、小長谷の直接シュートは壁を直撃してしまい実らず。
良い所が無い……という程ではない千葉ですが、遠目からのフィニッシュが目立ち今一つに映った前半。
折角プレスを嵌めてカットしても、その後の繋ぎに精度を欠いてショートカウンターの場面を活かせないなど、どうしても熊本のパスワークと対比させられる絵図を描いてしまい。
そして9分、左サイドで豊田の果敢なアタックによるボール奪取から、縦に速く運ぶパスワークでサイドを移しながら芋づる的にディフェンスを剥がしていく熊本。
最後は唐山のドリブルからのスルーパスを経て、大本がグラウンダーでクロスを入れる(クリアされる)という具合に、千葉の十八番であるハイプレスのお株を奪うような好機。
これで勝負ありと言わんばかりに続く10分、右→中央→左へとサイドを移すパスワークを経て、小長谷のアーリークロスがエリア内へ。
そして裏に抜け出す動きを経てバックヘッド気味に合わせたのは石川で、前に出てきたGK藤田和の逆を突いてゴールネットを揺らし、とうとう均衡を破ります。
無事に先制を果たした後も、その姿勢を変えずに攻め込む熊本。
14分、再び唐山がドリブルで田口を引き付けたのちにスルーパス、右奥を突いたのちにパス交換を経て伊東のクロス(ブロックを掠めてファーに入るも撃てず)という具合に持ち味は衰える事無く。
一方とうとうリードされてしまった千葉。
このまま手をこまねいているはずも無く、14分に一挙3枚替えを敢行する小林慶行監督。
品田・高木・田中→横山・ドゥドゥ・岡庭へと交代(いずれも同ポジション)し、駒を代える事で流れを手繰り寄せに掛かります。
熊本が再三見せている「敵を引き付けてスペースを作る」という意識は、千葉サイドも小森が降りてボールを受ける事で果たされてはおり。
小森に対し江﨑が激しく喰い付く事で、隙は十分にある筈ですがそれを突く好機は中々生まれず。
17分、その流れから戻しを経て左サイドで前進、佐々木縦パス→林ポストプレイで中央で受け直した小森が右へスルーパス。
しかし岡庭へのボールは長くなって繋がらずと、精度の壁にぶつかる格好に。
その後は、ドゥドゥ・日高が中心となっての左サイドでの細かなパスワークに舵を切り。
敵陣でのポゼッションは高まるも、どうしても熊本のような引き付けての崩しの意識に劣り、ひたすら繋ぐも結局フィニッシュに持ち込めないという状況が続きます。
千葉が完全にペースを握れないまま、後半の飲水タイムへ。(23分)
ブレイク明けに熊本が2枚替え、期待の神代を投入します。(伊東と交代、同時に小長谷→松岡へと交代)
センターフォワードに入った神代により、石川がトップ下へシフト。
その後も同点を目指さんと攻め続ける千葉、熊本はクリアで凌ぐも、26分にそれを収めんとした石川がハンドを取られてしまい。
千葉の右サイドからのFKで継続と、専守を強いられる雰囲気も漂います。
しかしその後28分、同じくクリアボールを今度は神代が収め、ドリブルからのスルーパスで逆に好機に持ち込み。
フィニッシュには繋がらずも、それを打ち破る事に成功すると、その直後でした。
敵陣で豊田がパスカットに成功すると、その刹那小森に引っ掛かって倒れ反則。
これで左サイド遠目からのFKになると、先程の先制点の場面を彷彿とさせる(キッカー上村周の)クロスがファーサイドへ上がり。
そして神代が綺麗に合わせ、ゴールネットを揺らすという具合に結果も同様のものになります。
久々のゴールで5得点目を挙げた神代により、着実に内容をスコアに反映させていく熊本。
これで大分苦しくなってしまった千葉。(キックオフの前に林→呉屋へと交代)
当然諦めずに攻め上がり、後方ではCBが2人ともサイドバックも兼ねる選手なため、佐々木がサイドに開いてボールを持ってから展開という攻撃が目立つようになり。
それに合わせて日高が最前線まで上がり、熊本を自陣に封じ込める時間を多く作りますが、やはり2点ビハインドとなった後では厳しく。
熊本は32分に大本が足を攣らせてしまい、それに合わせて2枚替え。(大本・石川→黒木・東山)
黒木が最終ライン(当初は左CBに見えたが、のちに大西と入れ替わって本来の右に)に入り岩下が右WBに回り、東山が右ウイングに入って唐山がトップ下とそれぞれポジションチェンジが絡み。
後方から佐々木の縦パスでどうにかするしかないという千葉の地上の攻撃。
それを呉屋のポストワークで繋げ、好機に持ち込み何とかこじ開けんと試みます。
37分には空中戦から、敵陣での呉屋のポストプレイを経て横山が左サイドを持ち上がる姿勢から、中央への横パスを送って中からの崩し。
受けた小森は裏へ小さい浮き球を送り、呉屋がエリア内へ走り込む事で崩さんとするもクリアされ、拾った横山がミドルシュートを放つも枠を捉えられず。
一方守備意識を高めた事で、押し込まれ続ける熊本。
さらに39分に唐山を退けた(大崎と交代、神代がトップ下に回る)事で、完全にカウンター狙いへと落ち着いたでしょうか。
その熊本の姿勢により、敵陣でポゼッションを高める流れに入った千葉ですが依然としてフィニッシュの面では物足りなく。
横山が左に張り出す事で、ドゥドゥがターゲットとしてエリア内で待ち構えフィニッシャーを増やしにいったものの焼け石に水であり。
44分その横山が左からクロスを上げ、大外の岡庭に合わせにいったもののこぼれ、それをさらに小川がダイレクトで逆からクロス。
またもファーに上がったボールを呉屋が合わせにいき、こぼれた所をエリア内で横山が拾うという千載一遇の好機が。
しかしシュートしに足を振ったものの、ミート出来ずに終わってしまいモノに出来ません。
結局この絵図を千葉は打開できず。
痺れを切らしたかドゥドゥが左ポケット奥に切り込む場面も作りましたが、やはり熊本ディフェンスをこじ開けるには至らず。
0-2のまま試合終了を告げる笛が鳴り、ホームでの大観衆(12,135人)のなか不本意な試合となってしまいました。
一方唐山・神代らにより今後の期待を膨らませる内容となった熊本。
中断期間でこれをさらに深め、浮上の切欠とする事が出来るか。
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