川内村

何事も無かったかの様に混雑する国道４号線を郡山に向かいました。

ビックパレットに入る為に左折すると、一気に雰囲気が変わりました。

建設中の色気の無い仮設住宅村、自衛隊による仮設風呂、

川内村と富岡町の役場になっているプレハブ小屋。

窓が無く空を見る事も出来ない施設内は、ダンボールと布切れカーテンで仕切られて、

プライバシーはなんとか保たれそうですが、見上げれば落下防止のネットが張ってあり、

今にも崩れ落ちてきそうな天井と、土足のままズケズケ歩いている俺の足元は、

冷たいコンクリート打ちっぱなしの土間でした。

その上にシートやマットを敷いてみなさんは生活していました。

津波被害の現場は、テレビで見るのと自分の目で見るのでは大違いでしたが、

避難所の現場も、やはりテレビで見るそれとは大違いでした。

いろいろ撮影しようとカメラを持って行きましたが、カメラを取り出す事も出来ませんでした。

改めて、俺のやっている事は偽善だと思ってしまいました。

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１０時前に駐車場で待ち合わせた芋おやじに「村長いるのか？」と、聞かれました。

「昨日は東京に行ってるけど、今日は居るって言われたよ、なんで？」

「今朝、テレビの生放送に出てたぞ」

「え？そうなの」

その頃は既に会社へ出かけていたので、俺は見る事が出来ませんでした。

８時前の番組に出演して直ぐに、東京から新幹線で戻って来たそうです。

到着する村長を待っている間、副村長に対応して頂きました。

それから、ＧＡＬＬＯＰ－Ｘの担当の方ともお話してきました。

そうしている間に村長が戻られ、次の予定もあるのにお話をさせて頂きました。

（たった１枚撮影した写真）

俺が渡せと言われましたが、オヤジにお願いしました。

ギリギリまで悩んだので、現場で、しかもボールペンで「ＧＡＬＬＯＰ－Ｘに集まる仲間達より」

と、書かせて頂きました。

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ギャロップが中止になる前にエントリーした方が、エントリー費の返還を希望せずに、

川内村の為に使ってくれと、オヤジに申し出てくれた方が数名居たそうです。

その分の４０，０００円と、俺がみなさんからお預かりした中から、ひとまず３６０，０００円。

合計４００，０００円を届けました。

総務の方に「お礼状を出すので、お名前とご連絡先を教えて下さい」と言われましたが、

大勢の方の善意なので結構です。と、みなさんの同意を得ずにお断りしてしまいました。

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この後、また直ぐに村長は出かけて行きました。

そんな村長も、今は家族と離れて生活しています。

「原発問題が無かったら、今頃とっくに復興している」「早く村に帰りたい」

役場のみなさんもそうおっしゃってました。

福島市や郡山市の方が線量高いのにね・・・

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４００，０００円を約３，０００人で均等に分けたら、缶コーヒーたった１本分なのですが、

「村民のみなさんの為に、有意義に使わせて頂きます。またＧＡＬＬＯＰ－Ｘやりましょうね」

と、川内村　遠藤　雄幸　村長は笑顔で言ってくれました。

身近な仲間や、他にも多くの犠牲者が似たような生活をしているのかと思うと、

若干胸のモヤモヤが増えた様な気がしますが、一緒に行ってくれてありがとう、芋オヤジ。

そして、１人じゃ何も出来ないクセに、みなさんを脅すかのごとく、

偽善の為に動いてしまった俺なのに、ご協力頂いた方々へ心から感謝致します。

ほんとうにありがとうございます。

お会いした時に、笑顔で居る事ぐらいしか出来ない俺ですし、

道のりはまだまだ遠いけど、これからも細くても永くお付き合い下さい。