TATOROの足跡

興味のあるもの,日々の感情など自分なりに綴っています。

おばやん

2011年04月02日 17時06分45秒 | ポエム
群馬に住んでいるおばやん。
もう95歳なんだって。
カレーと焼きそばが好きで
隣のドラックストアーに行くのが日課なんだって。
もう大人になってから
田舎に行くことがなくなった。
あれは10何年前だったかな。
埼玉の私の家にしばらくいて
駐車場の草むしりをしてくれた。

「おばやんが具合悪いんだって。」
大きな地震の2日後に聞かされた。
あんなに元気だったのにと思ったけど
もう何年も会っていなかった。
「おばやんが危篤だって。」
その1週間後に聞かされた。
元気な姿しか思い浮かばなかったから
きっと元気になると思っていた。
「おばやんが亡くなった。」
その次の日に聞かされた。
きっと大きな地震に驚いてしまったんだろう
そう思った。

お通夜に出るため群馬に行った。
おばやんの顔を見た。
あの笑顔しか知らなかったから
痩せこけてミイラみたいな顔にショックで
涙が出そうになった。
家族の前で泣くのは恥ずかしくてこらえていたら
母ちゃんが「あんたの肉をちょっとあげたいね」と
笑ってそう言った。

私たちより1日遅く帰ってきた母ちゃんが
「おばやんは優等生だよ」と言った。
95歳にもなって寝たきりにもならなかったから。
泊まりがけで世話をするはずだったのに、
忙しい母ちゃんのためにすぐ眠りについてくれたから。
「おばやんは優等生だよ」と言った。

おばやん、もっと早く会いに行かなくてごめんね。
すぐに埼玉に帰ってしまってごめんね。
でも、この日は久しぶりにみんな集まって笑顔だったよ。
あの時、草むしりしてくれた駐車場は、
うちのところだけ草が生えないできれいだよ。

ありがとうね、おばやん。





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