めんどりおばあの庭

エッセイと花好きのおばあさんのたわ言

 茄子の棘 

2014-07-23 08:53:59 | 日記
                  
                       

 エッセー 「茄子の棘」
 
 右手の人差し指の中程に茄子の棘が刺さっている。
 見た目には分からないが、顔を洗ったり、雑巾を絞るときにその部分が
 押されて痛い。棘は指の肉の奥深くに移動しているようだ。
 10日ほど前、茄子を収穫する際に刺さったのだ。
 素手で茄子のへたを握った途端に痛みが走った。
 アッ、またやってしまったと、思ったが遅かりし。茄子の棘は要注意なのに。
 
 スーパーの店先に並んだ茄子には棘がない。
 採れたての新鮮な茄子のへたには蜂のお尻に付いているような鋭い棘がある。
 濃い紫色をした棘は皮膚の奥深く突き刺すと、先端を中に残す。
 刺さった棘は肉眼では見えにくい。視力が衰えた今、大きな棘さえ自分で
 抜くことは困難である。老夫婦だけの暮らし。抜いてくれる若い人もいない。
 必然的に棘は刺さり放し。オキシドールで消毒しておくだけ。
 だが、棘とておろそかにしてはならない。
 一度ひどい目に遭ったことがある。野菜の棘ではなかったが。
 手の指と爪の間に棘が刺さり、化膿したのだ。ひょう疽だ。
 外科で手術することになったが、麻酔が効かない。
 しかし、ドクターはそのまま切開手術を続行したのである。
 棘だけでも痛いのに、麻酔なしで切開とはひどい話だ。
 
 子供の頃、棘が刺さると針を火で焼いて消毒し、棘をほじくり出だしたものだ。
 後は、傷口に赤チンを塗ってお終い。随分と乱暴な治療だった。
 後年、赤チンには水銀が含まれているからと使用禁止になった。
 昔、生傷の絶えない子供は赤チンだらけだった。

 バラの花に限らず、果物、野菜に棘があるものが多い。
 柚の木の棘は、大袈裟なほど大きく刺されると血が出る。
 蔓有りインゲン、胡瓜の葉裏にも産毛のような無数の小さな棘が生えている。
 それが腕などに触れると痛がゆい。
 胡瓜のいぼいぼに生えている棘は愛嬌があり、さほど痛くない。
 いぼいぼの棘が取れると瑞々しい汁が滲み出る。棘は鮮度のバロメーターだ。

 何故、野菜たちに棘が必要なのか。
 子孫を残すため、外敵から身を守るためであろう。
 他にも理由があるのであろうが、私は茄子に棘はいらないと思う。
 私の身勝手な考えだが。
 実際、最近では、棘のない茄子の苗も売っている。

 
          
          茄子のへたの下の部分に棘かあります。お分かりですか?
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12 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
おはようございます (釣志です)
2014-07-23 09:18:55
身近の野菜、、、刺の話も深いですね。
刺は鮮度の証、、、こちらのナスの刺は無くならないような気がします。
キュウリは日にちで痛みの刺は消滅してます。
爪と身の間は泣きますね、、ね声が出てしまいます。
麻酔なしでおできを撥ねられた時、我慢はしていたものの診察室を数歩出たら目の前が真っ暗になった恥ずかしい思い出があります。
数日前からセミは見かけてましたが、出はじめのは不思議と鳴かないんですね。
それが今朝から一斉にクマゼミのシャワシャワが暑さに拍車をかけるように鳴き始めてます。
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おはようございます (waiwai)
2014-07-23 09:54:09
そうそう赤チン・・・小学校の保健室でよく塗ってもらいました。そしてすぐ治った気になりました。

人も植物も同じなんだな・・・と思いながら読みました

みな棘はある・・・付き合い方に工夫すれば刺されずに済む

勉強になりました
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おはようございます (asakawayuki)
2014-07-23 11:07:18
釣志さま
麻酔なしの治療はひどい話ですね。
良くあるようですよ。連れあいが前立腺生検のとき、麻酔が効かず本当に痛かったらしいです。
さて、茄子の棘に戻りますが、やはり、茄子にとって棘は必要不可欠なのでしょうね。
採るとき、手袋をして気をつけることにします。
こちらはまだ、蝉の声は聴きませんね。
そのうちに賑やかになることでしょう。
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こんにちは (asakawayuki)
2014-07-23 11:13:20
waiwaiさん

赤チンは子供の味方でしたね。
塗って貰うと安心したものです。

棘の話、読みが深いですね。

ほんと、棘のある人、棘のある言葉が多いですものね。

私も、意識せずに棘のある言葉を吐いたりしているかもしれません。とくに連れあいにね。
気をつけます。


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とげ。。。 (ほっこり)
2014-07-23 12:43:03
野菜の棘の事から
棘のある人の話まで・・・私たちも知らず知らずのうちに人を言葉で傷つけていることもあるかもしれませんね!
心して気をつけないと
麻酔の話ですが・・長男をドイツで(ハンブルグ)出産した時のこと
産後の局部を縫うのに麻酔はなしでしたよ~~
チクチクするよ!と外科のお医者さんが言いながらでしたが・・
陣痛で苦しんだ後で出産したという安心感もあって
チクリ・チクリと感じるだけでそれ程の痛みは感じませんでした(笑)
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深いお話しに (asakawayuki)
2014-07-23 13:04:46
ほっこりさん
茄子の棘から深いお話しに発展。
やはり、茄子の棘は大事なのでしょうね。
息子さんはドイツでお生まれですか。
お友達もハンブルグにご主人のお仕事で駐在中に、ドイツの病院で手術をされました。しっかりした方で、元気になって帰国されましたよ。麻酔のことは聞いてません。

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茄子 (お母ちゃん)
2014-07-23 13:52:10

asakawa様
茄子の棘は痛い、運悪く皮膚にくいこんで刺さるとチカチカ

asakawa様、がさつなお母ちゃんでさえへたの所を注意しハサミでパチンと採ります

お上品なasakawa様これからはハサミを使いましょう

棘のある言葉は同居人には吐きますが

まだ理性が作動するのか他の人には吐きません

穏やかに過ごす事のモットーが一番とまるくなったのか

守りの体制なのかね 





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Unknown (ユリ)
2014-07-23 14:45:33
こんにちは 暑くなりましたね
なすの棘はにがてで、お店から買ってきたものですがバッサリときりおとします
化膿でもすると大変ですからマキロンで消毒が一番です。
アカチンはなつかしいですねよくつけました。
話はちがいますが、シツカロールもいけないそうですね。
小さいころはたくましかったのに。今は現代にうもれて
もうだいぶ前に、瀬戸内晴美の本をよみました。
テレビのトークショーで自分のルーツを語られてましたが
かなり自分とゆうものもってらっしゃる。
家庭向きではないとの話もあったような
人は本当にそれぞれですね。



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こんにちは (asakawayuki)
2014-07-23 16:15:51
お母ちゃん
ハサミを使ってて、刺しました。
植木の剪定中に自分の指を剪定し掛かって、救急で病院へ走った私です。
そそっかしいというか愚かというか、どうしょうもない性格です。
自分で自分の身を守る。鉄則ですね。

ドクのある言葉も夫婦同士ではご愛敬ですね。
今日も、連れあいに刺されましたよ。
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こんにちは (asakawayuki)
2014-07-23 16:23:52
ユリさん暑いですね。
日中、ちょっと花がら摘みをしていたら、ぼうっとしてきたので慌てて家へ。

そういえば、シッカロールも駄目でしたかしら。
私、親方の散髪の際、首筋にぱっぱっと振ってました。
ずっーと、母ちゃん床屋さんやらされてます。
いまさらですから、また、使うかも。
読書家のユリさん。
色々読んでいらっしゃいますね。
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