Three frogs which smile.

酒飲みは奴豆腐にさも似たり
初め四角であとは ぐずぐず

寝顔と朝とうで枕

2005-05-30 | 落語
あたしが腕枕が苦手なのは、寝にくいから。
だって隣に貴方がいるんだよ。
おやすみの声もその寝息もぬくもりも鼓動でさえも近くに感じるから。
無防備な寝顔が傍にあるだけで、眠りたくなくなるから。
朝、貴方の腕に残った痺れる痛みと後をひくあたしの胸の痛み。
さてどちらが痛いのでしょう。
枕に残った残り香を思い出してるこの痛み。


眠りにつく前に聞く声は甘くて低い声が好き。
何もいらない気持ちになる。
かくして現実はそう甘くもなく、最近のあたしの眠る前の夜伽の声は素っ頓狂な高い声だったり、
しわがれて今にもくしゃっとなってしまいそうな声。

「古今亭 志ん生」

昨晩は「三枚起請」を聴きましたが、この落語。最近知っている人が増えました。
虎と龍のドラマのおかげです。ほんとにうれしいことでございます。
「三千世界の鴉を殺し、主と朝寝がしてみたい」嘘か誠か高杉晋作が馴染みの花魁に歌った唄らしい・・・ま、どうでしょうかね。
このドラマ。2時間モノのときは「三枚起請」。これは吉原の花魁喜瀬川が嘘の起請文を書いた了見を男と女の駆け引きの中でうまく転がしていく噺。
そして連ドラになり調べてみたところ
1話目から「芝浜」、「饅頭怖い」、「茶の湯」、「権助提灯」、「厩火事」、「明烏」、「猫の皿」。で次は「出来心」ですか?
最後は「紺屋高尾」か「文七元結」か。定番どころを持ってきていて面白い。

ドラマには予告や紹介やあらすじがあると思います。落語には『枕』がつき物です。
たとえば「芝浜」で言えば昔の商売の仕方、魚屋さんの噺なので昔の魚屋さんがどういう風に商売をしていたか、どこら辺に河岸があったか。など、
「茶の湯」は習い事や道楽の話、「猫の皿」は古道具屋の目利きの話でしょうか。「出来心」だったら、新人のときにやった失敗話なんて定番なのかな。
(「出来心」か「花色木綿」かって言ったら「花色木綿」で落として欲しい・・・)
枕を聞くと、「ん?今日はこの噺か?」なんて枕から噺を探ったりするのが寄席の楽しみだったりもします。

小三治師匠の枕は長いといいますが、枕なのか?と思わせておいて後々考えるとあぁ・・・つながっているかもしれないような気がする。
と言ったもやもや感が好きだったりします。

それに枕がないと今の時代との考え方の埋め合わせが出来ません。
富くじは今で言う宝くじとか、お金の価値の違い、物売りの声なんかも今では聴かないものもあるでしょう。
枕はその噺に入る前の大切な色づけだったりするわけです。
廃れてしまった商売や道具、「へっつい」なんて言ったってなんだか判らないと思いますしね。(へっつい:取り外せる土で塗り固めたかまど。竃)
なんとなく判るけれどももうなくなってきている物もありますね。
煙草盆、煙草入れ、そして煙管(キセル)。

電車を乗るときにちょっとずるっこしてお金をごまかす「キセル乗車」。
なんで「キセル」って言うのかを知らない方もいるのかと。
煙管は『雁首(がんくび)』、『羅宇(らお・らう)』、『吸い口』の3つのパーツに分かれていて、雁首、吸い口は金属製、羅宇は大抵竹製で素通しになっている事から、
乗車区間の両端だけ「金(運賃)」を払うってんで「キセル」と言うらしいっす。
ヤニで詰まった羅宇を通したり、雁首が外れそうになっているのを〆なおしたりする『羅宇屋』さんも今はもう知らない人ばかりなのでしょう。あたいだって見たこたぁありません。
ものの言い方もまた然り。そうやって枕は振られて噺に入っていくのです。

有名な小話をひとつ。

昔、あるお姫様が月夜を見上げていると遠くのほうから雁が飛んできました。
姫「腰元や、ほれ、がんが飛んでおるぞ」
腰「姫、がんは下衆庶民の使う言葉。『かり』とお使いください」
姫「なるほど、わかった」
腰元、煙草の灰を落とそうと煙草盆へ煙管を近づけ、手でぽーんとはたくと緩んでいたんだろう、雁首が落ちた。

姫「腰元。かりくびが落ちた」

・・・・オアトガヨロシイヨウデ

最新の画像もっと見る

22 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
その姫は・・・ (フジコ)
2005-05-30 14:41:23
あくあ姫ってことですか?(笑



・・・オアトガヨロシイヨウデ。
返信する
ナルホド・・・ (紗雪)
2005-05-30 15:28:29
こういう話、好きです(ニヤリ)



ってか、ウマイねぇ。

あくあちゃんの話も。

文章の流れもさ。

ソンケーしますわ。



ダーツ、おちかれさま☆

今度はさゆも仲間に入れてね

返信する
Unknown (mk)
2005-05-30 16:37:08
むぅぅ!

勉強になりました!

んふふ!!

ドラマは実は見てないんですけどね、あくあさんがいろいろ教えてくださるので、とりあえず寄席の読み方間違えません!…て、低レベル過ぎかしら…汗。
返信する
キセルといえば… (ワン太郎)
2005-05-30 17:07:54
さすがにもう引退なさっているかと思いますが、確か平成の時代までキセルを普通に使っていた都電の運転手さんがいました。



折り返しのほんのちょいの間、一服するのにぴったしだったとか。



落語、いろんなはなし、聞きたいですね~。

新宿末広亭、6月下席、ちょっと魅力的じゃありませんか?
返信する
オイラはへっつい盗人! (LOVIN)
2005-05-30 19:14:02
今度は猫の皿らしいっすね。



風邪でビデオにとってからまだ見てないんですよ~(泣)



昔、昇太が枕から話しに入るのが下手ってからかわれてて、それ以来、昇太が話しに入るタイミングをみんな注目するようになっちゃて。



昇太自身も「今日は上手く入れたでしょ」とかネタにしてたなぁ。
返信する
ほぇ~・・・ (さこちょ)
2005-05-30 19:32:27
落語って面白いですねぇ。

私はあんまり詳しくないけれど・・・。

昔、国語の時間で「めぐろのさんまとおしろのさんま」(だったかな・・・汗)をテープで聞いたことがあります。

これも落語・・・だったかと。あれ。



キセルは初めて語源知りました!

そうなんだ~。



ブログ公開しました~。

実はまた移動したんです

名前から飛べますので、宜しければ・・・
返信する
虎・龍 (ぴんきー)
2005-05-31 00:37:22
タイガー&ドラゴン毎週

見てますよ~~(ビデオですけど)

現代アレンジされていて

なんか分かりやすくてイイかも~~。



「情緒というのは・・・」って

言っただけで

「茶の湯」だって分かってしまう

客ってすごいな~~って思う・・・。

相当好きなんだな~~。
返信する
元茶道部 (あび)
2005-05-31 01:51:24
茶会に行くと今でも待合いの腰掛けの脇に煙草盆が据えて

ありますね。高校生の時から、一度置いてある煙管に火を

付けて煙草を喫んで格好を付けてみたいと思っていたの

ですが、実現しませんでした。茶会の煙草盆は昔の名残り

のお飾りだったのかもしれません。
返信する
あはは (あげは)
2005-05-31 12:25:13
笑った!

あくあさんうまいですね~!

ふむふむ、と読んでて勉強にもなりましたよ。

「キセル」やったことはあっても、意味知らなかったし。

落語聞いてみたいなぁ。

ドラマは家にいれば見ますが、あんまりいないんですよね。

確か週末ですよね、やってるの。

岡田くん目当てだけど見ると話も面白いからのめりこんで見ちゃいます。
返信する
うひゃひゃ (フジコさんへ:あくあ)
2005-05-31 13:08:12
おいらだったらそのまんま言っちゃうかも♪

落ちてたら・・・拾うね(ニヤリ)

あー、誰のかわかんないのはいやだな・・・
返信する