幽霊その13・愛玩人形の哀願(座布団没収)

たかあきは誕生日に、公園で、恨みがましい人形の幽霊に出会い、三丁目の田中さんを見ませんでしたかと嗚咽されました。


　誕生日なので自分のプレゼント用に欲しかったフィギュアを買おうと近道の公園を横切ったら、何か薄汚れた愛玩人形が家に帰りたいので手伝ってくださいと哀願してきた。まあそれ位ならと思って服に書いてあった名前の女の子がいる家のポストに放り込んでおいたが、無事に女の子と再会できただろうか。

骨董品に関する物語・ヴィクトリア朝の悪魔のブローチ

本来は悪魔に明確な姿は無い、人間が恐れる姿をそのまま写し取るのだと奴は言った。獣の持つ野蛮、灼けるような欲望、覆い隠された害意、飾り立てた虚偽、それら全てを搔き集めて造り出された天と太陽の理に背いた禍々しい筈の姿は、何故か私の目には酷く魅力的なものに思えた。