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カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

第五十三夜・思い出せない貴女

2017-08-16 19:35:20 | 百人一首と色名で百物語
たかあきで『むかしの友』と『紅梅色』を使って創作してください。

 香りは時として視覚の情報より遥かに鮮烈な記憶を呼び覚ますことがあると聞くが、その初春の甘やかな香りが僕にもたらしたのは正に炸裂と呼ぶべき衝動だった。

 土手一面に咲き誇る紅梅。
 眼前で歪んだ微笑を浮かべる貴女。

 小さかった僕は泣き喚いて必死に手足を動かし、それが当たった直後に貴女の顔が醜く歪んだ後の事は全く覚えていないが、多分それが正解なのだろう。
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