蝸牛の歩み

「お話」を作ってみたくなりました。理由はそれだけです。やってみたら結構面白く、「やりたいこと」の一つになっています。

外見

2015-09-17 20:03:42 | 日記
 散髪屋に行った。ちょっと嫌な予感はしていたのだが、そのまま椅子に座った。
 「耳にかかるかかからないかってとこで」と注文し、オヤジさんの鋏にまかせる。順調に進み、杞憂だったかなと思っていたら、やはりそれはやってきた。
 顔を剃ってもらっている時にぐらっと来たのだ。いや、もちろん、家が倒壊するとかそんなレベルじゃない。しかし、オヤジさんの手元が狂うのには十分な揺れだった。
 片方、眉毛がなくなってしまった。

 どうします?と訊ねられた。毒食わば皿までである。もう片方も剃ってもらった。
 でも何か足りない。こういう時は徹底的にやってしまうという傾向が良いにつけ、悪いにつけ私にはある。頭を剃りあげてもらった。

 次の日、職場に行った。車を降りて、職員室まで向かう。向こうから来るものは例外なく眼をそらしたり、眼を伏せた。

 職員室に入った。明らかに空気が凍りついている。教頭は電話機を取って、どこかへ電話している。

 椅子に座って、「おはようございます」と言った途端、大爆笑が起きた。こんなに受けるとは思わなかった。

 一時間目の授業に行った。悲鳴が上がり、全員、教室の片隅に固まった。

 教卓に手をついて「始めます」と言うと、全員あっけにとられたような顔をして、爆笑となった。最初の15分間は「なぜこうなったか」の説明を求められ、次の15分間は、「これからどうするのか」の説明を求められて、結局、三行しか進めなかった。

 教頭と校長からは、やんわりとだがはっきりと、せめて眉だけは描いてきてほしいと言われ、女性の総務部長から手ほどきを受けた。

 面白い一日だった。のびるまで待つか・・・。