トラジャ地方に行こうと思ったのは、インドネシアに行く本当に直前、ひょっとすると飛行機の中でだったかもしれない。
トラジャ地方はコーヒーの産地。
ずっと前、通販のブルックスコーヒーで「ブラジル」や「コロンビア」に交じって「トラジャ」コーヒーを売っていた。私はそれが気に入って何年か飲んでいたのだけど、トラジャがインドネシアの一地方の名前だとは全然知らなかった。インドネシアのガイドブックの中にその名前を見つけて驚き、即、行くことにしたのである。
トラジャ地方(タナ・トラジャ)はスラウェシ島にある。デンパサール(バリ島)で飛行機を乗り継ぐ。こういうローカルなチケットは日本で手配するとややこしそうだし手数料も結構取るだろう。デンパサール空港で航空会社から直接、翌日のマカッサル行きを買うほうが早い。定価だけど仕方ない。片道1万円以上した。
2008年6月のデンパサール空港はまだ新しくなる前。
空港の建物を出ると、ものすごい数の現地の若者たちが声をかけてくる。タクシーやオジェ(バイクタクシー)の客引きである。
ほとんどの観光客は国際線からタクシーに乗ったり観光客用のリムジンバスに乗るので、この客引き攻勢に遭うことはない。しかし、そうじゃない方へ出て行くと、振り切っても振り切っても次から次へと引き留められる。
長い長い通路を歩いてなんとか空港の敷地を出ると、やっとほこりっぽい道がある。
そのあたりに街まで行くバスの通る場所があるだろうと思う。
けれど、バスは、ない。
オジェかタクシーに乗るしかない。
すごすごと客引きのほうに戻って値段交渉をしなければならない。
私はこのとき一気にデンパサールが嫌いになった。
客引きのわずらわしさ。アクセスの悪さ。
以来なるべくデンパサールを避けようとしている。
2012年にふたたびデンパサール空港に行ったとき、別のところに来てしまったのかと思った。すっかり姿を変えて、クリーンで近代的なビルになっていたのだ。
現地の人は勝手に入ってこられないようになった。ゲートがあって車やバイクは敷地に入るのに料金を取られる。空港は「人の暮らしの気配」から完全に隔離された。だから今は客引きはないが、現地の人が乗る乗合バスがないのは変わらない。
オジェに慣れた今では、むしろオジェを探すのに困ってしまうぐらいだ。
2014年にはさらに新しくデラックスになったらしい。
写真/バリ島ジンバラン・夜の屋台(2008年)
屋台のミーバッソ(肉団子入り麺)と、食堂のナシゴレン(炒飯)
初日からとばしてる私……
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