20周年を迎えたJリーグに、2ステージ制を復活させる構想が持ち上がっている。今月14日に都内のJFAハウスで行われたJ1実行委員会で、来季からシーズンを第1、第2の両ステージに分けて、それぞれの優勝チームが対戦するチャンピオンシップで年間王者を決める日程案が示された。
Jリーグの価値をいかにして高めるかを議論してきたJリーグ戦略会議(議長・大東和美チェアマン)内で、復活すれば10年ぶりとなる2ステージ制を推す声が出始めたのは今年の冬。会議内での話し合いとJ1クラブの現場サイドへのヒアリングを重ねた上で、正式な提案となった。
背景には2008年の1万9202人を境に再び下降線をたどり始め、今年の第11節終了時で1万6308人にまで減ったJ1の平均観客数がある。2ステージ制のもとで優勝争いが盛り上がる回数を増やすことで、コアなファンの周辺にいる一般のファン、選挙でたとえれば無党派層の足をスタジアムに運ばせ、テレビ放映権料などを含めた収益のアップにつなげるのが狙いだ。
Jリーグ戦略会議のメンバーでもある、湘南ベルマーレの眞壁潔社長は2ステージ制の復活がもたらす効果をこう説明する。
「勝負のポイントの回数が増えることで(メディアへの)露出が増え、魅力のあるコンテンツとなり、選手たちの価値も上がる。興行面で言えば大事なのは露出。今はそれが足りないわけですから。現場で言えば、第1ステージで失敗しても第2ステージで一から巻き直せるメリットもある」
世界的に見れば、2ステージ制が採用されたリーグ戦は稀有と言わざるを得ない。Jリーグがスタートした1993年は10チームだったこともあり、1ステージ制では1チームあたり年間18試合しか開催することができなかった。試合を数多く開催し、老若男女への認知度を急ピッチで高め、Jリーグのコンテンツの魅力を高める目的で2回戦総当たり、合計36試合の2ステージ制が導入された経緯がある。
水曜日、土曜日と熱戦が全国各地で行われ、テレビや新聞のメディアでも連日のようにトップニュースで取り上げられる。初代チェアマンを務めた日本サッカー協会の川淵三郎名誉会長も「広告費に換算すると何億、何十億のPR効果があった」と一大ブームに沸いた当時を振り返る。
もともと、チーム数の増加とともに2回戦総当たりによる2ステージ制は過密日程を招き、17チームとなった1997年からはホーム&アウェーというリーグ戦の原理原則を貫くことを断念。1回戦総当たりの2ステージ制には「邪道だ」との声も数多く寄せられた。