風の向こうに  

前半・子供時代を思い出して、ファンタジィー童話を書いています。
後半・日本が危ないと知り、やれることがあればと・・・。

風の向こうに(第三部)六小編 其の参拾四

2010-05-25 15:15:56 | 大人の童話

やがて夕方になり、夢はそろそろ帰ろうと思い、六小に話しかけました。

「六小さん、もう夕方だから、わたし、そろそろ帰るね。」

六小は、え、もうそんな時間、とあわてて夢に言いました。

「あ、うん。ほんとだ、もうこんな時間。夢ちゃん、今日はありがとね。また来てよ。

待ってるから。」

六小のいつもの「また来てね。」の言葉に、夢はにこっと笑って答えました。

「うん、また来るよ。そうだな、今度は、タイサン木の花が咲く六月頃かな。来ると

したら。」

六小は、ああ、そうか、と頷きました。

「うん、そうね、その頃ね。楽しみに待ってるわ。」

「じゃあ六小さん、またね。」

「うん、夢ちゃんまたね。」

六小は、六小が出せる精一杯の光を、歩き出した夢の後ろ姿に射して見送りました。