やがて夕方になり、夢はそろそろ帰ろうと思い、六小に話しかけました。
「六小さん、もう夕方だから、わたし、そろそろ帰るね。」
六小は、え、もうそんな時間、とあわてて夢に言いました。
「あ、うん。ほんとだ、もうこんな時間。夢ちゃん、今日はありがとね。また来てよ。
待ってるから。」
六小のいつもの「また来てね。」の言葉に、夢はにこっと笑って答えました。
「うん、また来るよ。そうだな、今度は、タイサン木の花が咲く六月頃かな。来ると
したら。」
六小は、ああ、そうか、と頷きました。
「うん、そうね、その頃ね。楽しみに待ってるわ。」
「じゃあ六小さん、またね。」
「うん、夢ちゃんまたね。」
六小は、六小が出せる精一杯の光を、歩き出した夢の後ろ姿に射して見送りました。