台の上に置いたアルバムには、開校・三周年記念式典、一周年・三周年記念
運動会等、当時のいろいろな学校の様子を写した写真がありました。その中には、
夢が見覚えのあるものもあります。それは、『開校記念誌』に載っている各学年
各クラスの写真でした。撮ったのは、そう、確か、新校舎に移って間もない
昭和四十一年の九月末頃のことだったと思います。夢は、「すみません。ちょっと
写真を撮らせて下さい。」と言って教室に来た人が、教室の後ろから何枚か写真を
撮っていったことを覚えています。当時は、『何、撮ってるんだろう。』ぐらいにしか
思わなかったのですが、今になってその訳がわかりました。夢はアルバムの写真を
見て、『ああ、あの時の、開校記念誌に載ってるやつだ。』と、なぜかうれしくなり
知らないうちに顔が微笑んでいました。資料室には、他にも懐かしいものが多く
ありました。当時使っていた教科書・校歌制定の時に児童ももらった校歌の楽譜・
各周年記念誌・当時の学校周囲地域の写真等です。夢が、懐かしさからそれらを
夢中になって見ていると、急に六小の大きな声がしました。
「何、ずっと見てんのよ。さっさと見ちゃってよ。わたしと話す時間がなくなるじゃない。」
六小はどうやら、夢がいつまでも自分をほったらかしにして、一人で昔を懐かしんで
いることに不満のようです。夢は、急に大きな声で話しかけてくる六小に、
『相変わらずだな。』と思いながら、
「はいはい、わかったわよ。今、行くから。」
と言って、六小の言葉を軽く受け流していました。