夢は、しばらく校門の脇に佇んで、六小を眺めていました。すると、四小との
初めての出会いの時のように、突然、校舎がキラキラ光りだし、校舎全体が
大きな輝きに包まれていきます。夢が”え、”と思っていると、まもなく声が
響いてきました。
「キャー、夢ちゃんね。始めまして。これからよろしくね。」
声の主は六小でした。四小とは全く違う何とも騒々しい声に、夢は
めんくらいながらも、
「始めまして六小さん。わたしの方こそよろしくね。」
と言って、六小にむかって笑いかけました。六小は夢の言葉を聞いて、うれしくて
たまらないというように、更に大きな光を放ちました。そして、また、
「キャーキャー、返事してもらっちゃった。キャー。」
と、騒ぐのでした。夢は、六小のあまりの喜びように、ただ唖然としていましたが、
しばらくして、はっと我にかえると言いました。
「あ、あのね、六小さん。わかったから、もう少し静かにお話しようよ。」
「何でぇー。わたし、夢ちゃんと会えてとってもうれしいのに。夢ちゃんは、わたしと
会えてうれしくないの?」
「ううん、わたしもとってもうれしいよ。」
「じゃあ、いいじゃなぁーい。」
夢は、はぁーっと小さく溜息をついて呟きました。
「六小さん、四小さんと全然違うなあ。四小さんは、静かに優しくお話していたのに。」
「何か言ったあー。」
「ううん、何も。あ、もう行かなきゃ。六小さん、今日はもうすぐ式が始まるから、また
この次にお話しよう。」
「うん、いいよ、わかった。もっとお話したかったけど、またね。」
六小はそう言うと、キャーキャー言いながら消えていきました。夢は六小が
いなくなると、四小のいる方に向かって、語りかけるように言いました。
「四小さん、六小さんって四小さんと全然違うよ。なんかすごい。一人でキャーキャー
言って帰って行った。ハァ、これからどうなるんだろう。」
一瞬、夢の上を、一陣の風がサーッと吹きぬけていきました。夢には、それが
何となく、四小が「ウフフ」と笑っている声のように感じられたのでした。