東北アルパインスキー日誌 ブログ

東北南部の山での山スキー、山歩き、山釣りなどと共に、田舎暮らしなどの話を交えながら綴っています。

今が嬉しい山の恵み

2007年05月07日 | 林業

この時期は山に感謝したい最も好きな時期だ。実家の裏山は樹齢45年ほどの杉林だが、今の時期はコシアブラ・タラノメ・コゴミが取れ、自家消費が出来ない量は親戚・知人などに配り歩くのが楽しみの一つ。特に最近人気の有るコシアブラ・タラノメはちょうど良いタイミングで、1時間半くらいでタラノメ2.5kg・コシアブラ3.0kgの収穫。おまけに畑に植え付けた山ウドもどんどん成長し、3.0kg位引っこ抜いた。

じつはこの恵み、最近の里山の状況と無関係ではない。最近の中山間地では過疎化が進み、下刈り・間伐がされず荒れ放題になり、森林の荒廃が問題となっている。伐期40年以上になる杉林だが、殆ど手入れされていないとどうなるか?杉の木はモヤシの様ないわゆる「線香林」となり、細く密生した林の中には光が指さなくて暗く、広葉樹の生えてこない殺伐とした世界になる。当然にカモシカまたはウサギ、リス等の小動物、あるいは小鳥なども生息できず、死んだ林といって良い様な世界となって行く。

しかしここで人間が下刈り・除間伐・間伐など適正な手入れを行うと状況はまったく変わる。杉の木の枝が触れ合う程度に管理されると、満遍なく光が地面に差し込み、風通しも良くなって広葉樹が生長を始める。杉の木も活力を取り戻して青空に向かって伸びて行き、自然とカモシカなども生息する豊かな森となる。
その副産物として恵みを受けるのが、コシアブラ・タラノメなどの人気の新芽だ。特に下刈り6年目の林は1.5~3mくらいに成長したコシアブラで溢れ、山菜取りファンにとってはたまらない。特に良く日が指す場所ではタラノメも良く取れる。6月頃になると昔は桑畑だった平地が広大なミズの畑となり、原木ナメコ・シイタケを栽培するのにも適地となる。

つまり、一度人の手に掛かった人工林は放置する事は出来ず、植林~下刈り~間伐~主伐~植林のサイクルを持続しなくてはならない。立派な杉の木を育てる事と同時に、それによって自然の恵みを享受できる。それを人間が放棄した時、自然界の力では容易に復元出来ない、生態系の混乱が人知れず進んでしまう。


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