不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

La Lucertola

2008-07-22 07:02:04 | アート・文化

訳あって、ここのところ
「トカゲ」について少し調べていたりします。

トカゲは古代ローマ時代には
「死」と「再生・復活」のシンボルとされていました。

宗教象徴学的には二つの正反対の意味合いを持っていて、
描かれる環境やテーマによって意味合いが異なります。

トカゲは年を重ねるにつれて視力が落ち
ほぼ完全に視力を失ってしまうケースもあるようで
それが原因で東向きの壁にあるひびなどの隙間に
姿を現すことが多くなります。
太陽の光の下だと
わずかな視力を取り戻すことができるため
常に太陽を求めて移動するのだそうです。

この姿が中世の時代のキリスト教司祭たちによって
キリストの教えやキリストそのものを
渇望する信者の姿に重ねられ
やがてトカゲは「信仰」の象徴となります。
荒野に出て修行や説教を行った
「聖ジローラモ」や「洗礼者ヨハネ」などの足元に
描かれているケースが多く、
その場合にはキリストへの深い信仰を如実に表しています。

一方レビ記の一節で不浄な動物として言及されていることから
否定的な意味合いを持つこともあります。
特に北欧バロック絵画や静物画に描かれている場合には
こうした否定的な意味合いが強くなります。
静物画の中で
肯定的な意味合いを持つ蝶とともに描かれている場合には
人類の永遠のテーマでもある「善」と「悪」の闘いを
意味していることが多くなります。

Francesco_del_cossa_lucertola
次回への布石。
「San Giovanni Battista」の足元に描かれるトカゲ。