不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Joshua

2008-07-16 23:53:00 | 映画
最近は1週間に一本のペースで映画を観ていますが
なかなか消化しきれない作品が多くて悩んでいたりします。

今回見たのは「Joshua」。
Joshua

マンハッタンの中上流家庭を舞台にしたサイコ・スリラー。
裕福で幸せな若い夫婦に
二人目の子供が生まれるところから物語は始まりますが
ピアノの天才である9歳の長男が、
妹の誕生に嫉妬して徐々に変化していき
やがて幸せな家族が崩壊していくというのが大筋。

母親は出産後の育児ノイローゼ気味になり、
ナーバスで幻聴・幻覚に襲われ、
長男への愛情も希薄になっていく悲壮な雰囲気を漂わせ、
父親は仕事と家族のどちらでも
さらっとした表面的な係わり合いを続けて、
成長しきれない30代の様相を呈します。
妹の誕生で自分への愛情と注目が薄れて行くのを
はっきりと感じる長男「Joshua」 は
少しづつ性格を歪ませていきます。
その裏には
実は狂信的なキリスト教信者である祖母(父親の母)の影響や
その昔精神的な問題を抱えていた叔父(母親の弟)の影響も
充分に考えられます。

物語は非常にゆっくりしたテンポで流れていき、
まるで真綿で首を絞めるようにじりじりと家族が崩壊していく様子が
言ってみればサイコ・ホラーなのかもしれないけれど、
実際理解不能なシーンや無駄な挿話もあるし、
最終的に私には謎解きができないままで終わっちゃいました。

子供には何の罪もないんだけどね。
映画の中では悪魔的に描かれています。
すごく怖いわけじゃないけど、うすら怖い。
こういう映画のほうが実はずっと後を引いちゃうのかもしれない。