ツレヅレグサ

雑記と愚痴と、時々小説

Nightmare City Another Story(9)

2006-05-15 16:53:06 | 小説
       ***BGM:403「Northern Lights」***

原作:みーや様「Nightmare City」「Nightmare City Catastrophy」

         Nightmare City Another Story

   第九話『覚醒』

 前回のおさらい
各場所で戦いが巻き起こる中、aaaは工場に到着。tカラと無事合流して
システムの中枢に向かおうとしたとき、その行く手を古くからの友人、ARKがさえぎった。
そしてギコも、しぃと再会したものの、衝撃の真実を知ってしまった。
そのギコたちを狙う者が近づいてくる。果たして彼らは生き残れるのか?

 しぃたちのいる広場から500メートルほど離れた路上に、ダークモララーがいた。
その左手には血の色に染まった剣を持ち、前方にいるしぃたちを睨みつけていた。
「やっと見つけた・・・」
その言葉には怒りと残酷さがこめられていた。ダークは拳を固める。
「今度こそあの裏切り者を葬ることができる・・・」

 一方、しぃはダークの気配に気づいて立ち上がった。
「ダークは私が引き付けるから、ギコは早く逃げて」
「だめだ。俺はしぃを守るって誓ったんだ」
ギコがしぃにそう言うと、しぃはわかったというようにうなずいた。
「これ、見てもびっくりしないでね」
しぃはそう言うと、両手を広げた。その手の先に光の玉が現れた。
光はやがて弓の形になり、彼女は光の弓を構えた。
「すごい・・・」
ギコは彼女の能力に驚いてつぶやく。しぃは弓を引き絞った。
ヒュンッ。光の矢が次々とダークのいる方角へ放たれていく。ギコもいつでも攻撃できるように身構えた。
 ダークはしぃの攻撃をかわしつつ、走っていた。そして跳躍。
「くらえっ!」
しぃが矢を五つほどまとめて放つ。しかしダークに直撃していたはずの矢は、ダークの攻撃で落とされた。
「そんな攻撃は効かん!」
ダークは着地し、そのままこっちに向かってくる。ギコはダークを止めるために走り出した。
「バカ、丸腰で戦う気か!?」
フサは叫ぶが、次の瞬間黙ってしまった。ギコが能力を開放したのだ。
水のような剣が現れた。そのままダークの剣を受け止める。ぶつかり合う二つの力。
「どけ、このザコが」
「そうはさせるか!」
双方同時に後ろに下がり、再びぶつかり合う。しぃは矢を放とうとしたが、このままではギコに当たってしまう。
ギコはビルを壁走りし、すでに飛び上がったダークに向かって跳躍した。
空中では方向転換は不可能だから、そのまま行けば確実に直撃コースだ。
「もらったあ!」
ギコは全力で剣を横に一閃した。しかし、そこにいるはずのダークの姿が消えた。
「なに?」
「甘い!」
ダークは瞬間移動をしたのだった。ギコは完全に後ろをとられ、防ぐことができない。
そのまま叩き落され、地表に激突した。ギコの剣が消え去る。
「終わりだ」
ダークはそう言って剣をギコに向かって投げた。ギコは立ち上がろうとする。が
「だめだ、力が入らない!」
なぜか自分に向かって飛んでくる剣がスローで見える。もうだめか・・・。
ギコは目をつぶった。そして。ドシュッ。剣が体に刺さる音がした。
あれ?痛みがない!それどころか刺さってないぞ!ギコは違和感に気づいた。
そして目を開けると、そこにはしぃの顔があった。その背中には剣が深々と突き刺さっている。
「しぃ!?まさか・・・」
そう。しぃはギコをかばって盾となったのだ。剣が消え去った。
「ギコ君・・・よかっ・・・た・・・・」
彼女はそう言ってこときれた。その亡骸は光のかけらとなって散る。
AA崩壊。完全に破壊されたAAは自然に崩壊する。それがAAたちの死。
「・・・バカなやつだ」
ダークが笑った。彼は両手を上に掲げ、笑った。そのとたん空が血の色に染まる。
「所詮お前たちはわれわれに管理される身でしかない。捻じ曲げることは不可能なのだよ」
逃げ遅れた母子が不安そうに空を見ている。このままではやがて彼らもシステム化されてしまうだろう。
「くそっ・・・」
フサは悔しそうに空を見上げている。そしてギコは彼女の死と自分の無力に涙を流した。

 一方、工場内では俺とARKが戦いを繰り広げていた。
ARKの能力は自在に飛び回る八本の剣。俺はそれを紙一重で回避しつつ、攻撃しようとする。
しかしその攻撃は飛んできたほかの剣に邪魔され、ARKまでは届かない。
「くそ!ちょこまかと!」
「ハハハ。どうだ、この力は!」
そして飛びかかる剣を弾くが、そこには別の剣が待ち構えている。このままでは確実に俺が不利だ。
どうすればやつに決定的な一撃を食らわせられるか?そのとき、俺はいい事を考えた。
「くらえ!」
俺はARKにではなく、剣そのものに斬撃を加えた。海燕の破壊力は半端じゃない。
剣は簡単に砕け散った。
「よし、いける!」
しかし、次の瞬間には剣が完全に修復されてしまった。なんてこった。
「いい考えだったが、この能力には意味がないぞ」
ARKは俺をあざ笑うように言った。そして今度は剣が二倍に分裂した。
「何!?」
「お返しだ!」
一斉に剣が突っ込んでくる。俺はそんなものよけきる気はない。
何とか大事な部位だけ守るようにして攻撃を防いだ。剣が俺の腕や足を切り裂いた。
「くそっ!」
はっきり言ってほとんど勝ち目がない。だがここで負けるわけにはいかない。
その瞬間、今度は確実に俺は突き刺された。そのまま後ろの壁に、磔にされる。
「意外と弱かったな。なに、苦しめるようなことはしないさ。一撃で終わらせてあげるよ」
ARKは笑って、さらに剣を出現させた。万事休す。
仕方ない。使いたくはなかったが「あれ」を使うしかないな。俺はその力を使うことにした。
「死ね!」
無数の剣が飛んでくる。そして俺を串刺しにしようとした瞬間、俺は力を解放した。

 俺は、彼女を守るって言った。それなのに、僕は彼女を殺させてしまった。
ギコの頭の中で、さまざまな思いが駆け巡る。俺は無力だった。守りたい者さえ守れないなんて・・・。
「・・・目を覚ませ。お前はそれであきらめるつもりか?」
またあの声が聞こえた。もう、俺はあきらめてしまいたい。でも。
「・・・お前は彼女の思いを無駄にする気か?彼女がお前をかばったのはなぜだ?」
それは。彼女が俺を好きだったから。守るべき人だったから。でも、僕は。
「・・・お前はこの戦いを終わらせなくてはならない。皆のためにも、彼女のためにも」
彼女のためにも・・・。そうだ!俺は彼女のためにも戦うべきだ!
「お前が戦うのなら、私の力を与えよう」
俺の力・・・。あんたは一体・・・?
「私は、お前の・・・」
その瞬間、ギコの体を光が包んだ。

 突然閃光が走り、ダークはびっくりしたようにギコのいる場所を見た。
「一体何が!?何が起こっている!?」
その光が収まったそこには、真の力を解放したギコがいた。
擬人化した彼の右手には光の剣が握られている。それは、まるで十字架のようだった。
「・・・ダーク!俺はお前を絶対に倒す!!」
これ以上誰も傷つけさせない!ギコの瞳に迷いの色はなかった。
「何てことだ!まさかこいつが覚醒するとは!」
ダークはあせった。そのダークに向かってギコの剣が牙をむく。
「ハアアアアアアアア!!!!」
ダークはその斬撃を受け止めたが、その瞬間、周囲の空間が崩壊を起こした。
「なんて破壊力だ・・・!」
激しい爆発が巻き起こる。ダークはそれにまぎれて逃げようとしたが、ギコに行く手を阻まれた。
「逃がすかっ!」
ぶつかり合う刃。しかし、ダークは完全に押されていた。
「くっ!」
ダークがなぎ払おうとしたときには、ギコはダークの背後に回っていた。
かろうじて防ぐものの、もう既に追いつめられていた。そしてギコとぶつかり、崖の下に落ちていく。
そこには巨大なビルがあった。そのガラスの天井を突き破り、吹き抜けを落ちていく。
バカな。この私が負けるというのか。ダークはその事実に唖然とする。
そしてギコは剣を構え、とどめの一撃を放つ。

サザンクロス。

ビルに十字の亀裂が入り、強烈な衝撃波が辺り一帯を吹き飛ばす。ダークはその攻撃をまともに食らい、消滅した。
そしてギコ自身もその衝撃波によって吹き飛ばされ、宙を舞った。

 一方、工場のほうも閃光に包まれた。
ARKの放った無数の剣がその光で消滅する。俺に突き刺さった剣も消滅し、傷が回復する。
俺はその覚醒状態を現した。擬人化したその背中には、二枚の翼が生えている。
擬人化とギコエル化が同時に起こってしまうがために起きる現象。あまりこの姿は見せたくなかった。
「そんな・・・バカな・・・!!」
ARKが驚いた表情で俺を見つめる。当然だ。覚醒状態になれるヤツはほとんどいないからだ。
「・・・これだけは使いたくなかったんだが」
別にもったいぶってたわけじゃない。あまりにも強力すぎるから使いたくなかったのだ。
「なめるなっ!」
ARKの周りに再び無数の剣が出現する。そして再び俺に向かって突っ込んできた。
しかし、今の俺にとっては遅すぎる。俺は軽くかわすと、海燕の斬撃をお見舞いした。
辺り一帯の機械が一刀両断される。その奥の扉も破壊された。
おそらくシステムの中枢はあそこだ。そのとき、ARKが斬りかかってきた。
「おっと」
俺はそれを事も無げにかわし、扉の向こうまで一気にダッシュした。
そこには思ったとおりシステムの中枢サーバーがあった。側面に「MONORIS」と刻まれていた。
モノリス。「2001年」のへんてこ野郎じゃないんだから。そう思ったとき、剣が飛んできた。
それを破壊し、俺は剣を収めた。ここから剣は必要ない。ARKがすぐに無数の剣とともに入ってきた。
「丸腰で戦う?俺をバカにしてるのか?」
ARKは俺の行為をヤツへの侮辱と受け取ったらしい。実際には管理人がだが。
「いいだろう。あまりなめてかかると後悔するぞ!」
そして再び剣が飛んでくる。今度は回転しながらだ。俺はそれをすばやくかわしながら力をためる。
「くそ、ちょこまかと!」
ARKも二刀流で切りかかってくるが、俺は紙一重でよける。あと少し。
俺は目標をロックし、ARKに狙いを定める。
剣が飛んできたが、右手から衝撃波を出して破壊した。準備完了。オールターゲットロックオン。
俺の左手から10センチほど離れたところに光の玉が現れる。その玉が輝きを増す。
「いくぞ!」
そして突進。ARKは剣を集めて防御しようとする。そんなんじゃ駄目だ。
そして俺は発射した。

カノン。

激しい光の束が剣を破壊し、ARKの胴を貫く。そしてそのすぐ先でいくつもの光のすじに分かれ、
モノリスを焼き尽くした。そして周囲の機械が爆発し、俺とARKを衝撃が包んだ。

 教授は工場に閃光が走るのを見た。その直後、激しい爆発が巻き起こる。
あそこにいるtカラやaaaは大丈夫だろうか。教授は車を飛ばして工場に急ぐ。

 ギコは地上に向かって落下し始めた。彼はさっきの衝撃で気を失っている。
と、彼の中から光が抜け出る。光は一瞬しぃの姿になり、擬人化した。
「しぃ!」
ギコは彼女に気づいて手を伸ばす。彼女もギコのほうに手を伸ばした。しかし。
あと少しで手が届くというところで彼女が崩壊を始めた。ギコが目を見開く。
彼女は一瞬驚いたが、すぐに笑顔でギコを見た。その目尻に涙が光っている。
「・・・ありがとう」
彼女はひとこと言って、消滅した。
「うわああああああああ!!!!」
ギコが絶叫する。その悲しい叫びは、街の隅々まで響き渡った。

  次回予告
ギコとaaa、そしてAAたちの活躍によって戦いは終わった。
しかし、大切なものを失ってしまった。
彼らはそれでも未来を描く。
次回「僕たちのユクエ」
自らの明日、つかみ取れ、ギコ!

 作者のひとこと
よっしゃー!後1話で終わりそうだ!さらば楽しき戦闘シーンwww。
後一話だけになりましたが、もうそのあたりはオリジナルなので。
そして次回策も検討中(おそらく定期テスト以降)。
これからもよろしくお願いします。

 **お知らせ**
小説完成後、再編集の後ホームページを作成して載せることにしました。
タイトルは「akkiyの小説広場(仮)」です。
今後情報載せてくのでよろしく。

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