ツレヅレグサ

雑記と愚痴と、時々小説

新学期スタート。

2006-08-30 14:40:03 | 日記
ついにこの日が来てしまった。
それは、学校の新学期一日目。
といっても、寝坊して危うく遅れそうになったとかいうのはなかった。
とりあえずうちのクラスは全員無事に来たようだ。
もしかしたら一人や二人ぐらいは来る日を間違えて欠席するかと思ったが。
まったくもって残ねn(ry
さて、早速授業がありました。しかも一限目が体育というオチ。
何で怠けてきた体をいきなり激しく動かさなきゃいけないのか。
はっきりいってイライラしながらバレーボールを打ちまくりました。結果全勝。
といっても俺が活躍したのはサーブのみですがね。
その次が物理で、午後が歴史だった。そして今現在放課後。

まあ、ちゃんと部活には顔出しますよ。昨日は体調不良で倒れてたし。
果たして今年度のマシン名は何になったのかな?
先輩が最も気に入ってるのが「カオス」だからな~・・・。
そして昨年が「G→UNIT(別名パウダーオキシワルツ)」だったし。
そして操縦者はどうなってるんでしょうね?まあ少なくとも俺ではないな。
だって昨日休んでたから俺が候補になるわけないジャマイカ!
んなわけで今年もベンチから応援になりそうです。

では今日はこの辺で更新終わり。また今度。

ではでは。

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Operation Ragnarok(4)

2006-08-27 21:12:22 | 小説
  Operation Ragnarok

  第四話『悲しみのチカラ』

 「第三機甲大隊、目標との戦闘を開始しました。現在の損失は10%以下です」
「第207空挺小隊が目標地点に降下成功。続いて217,、229小隊も降下を開始しています」
「第279対地攻撃中隊は最前線に移動。目標を守備する敵機を撃破せよ」
エリア66の基地に急遽設置された作戦司令部では、オペレーターたちが刻々と変わる戦況を
報告し、指示を次々と出していた。そしてそこには最高司令官の姿もあった。
「指令」
オペレーターの一人に呼びかけられて、司令はそちらに視線を向けた。
「特務隊を乗せた輸送ヘリがあと40分ほどで目標地点に到着します」
「では対地攻撃部隊の一部を特務隊の輸送機護衛に回せ。彼らをなんとしても無事に降ろせ」
「了解。では第275対地攻撃中隊を彼らの護衛に回します」
オペレーターは司令の指示にそう答えると、すぐにその中隊と連絡を取り始めた。
その様子を見ながら、司令は何事かを考えていた。しかしそれを口には出さず、彼は次々と
指示を出していった。

 一方、蒼たちの軍勢はやや押されぎみになっていた。元々戦力に差がありすぎた。
だが、彼は少しも焦った様子はなく、ただ画面に映し出される戦況を静かに観察していた。
「蒼様!このままではシステム起動まで守備隊がもちません!」
BAI社の職員たちの声が止まることなく聞こえてくる。しかし、蒼は黙ったままだった。
「第一防衛ライン、このままではあと10分で突破されます!損耗率20%を超えました!」
「敵の数は増え続けています!このままでは作戦が失敗します!」
しばらくの間、彼は黙ってその声を聞いていた。が、その後静かに命令を出した。
「全防衛システムのリミッターを解除させろ。残りの部隊も投入だ」
その命令に職員がややあわてた様子で返す。
「しかし、リミッターを解除すれば暴走する確率が・・・」
「これは私の命令だ。君たちはそれに素直に従うだけでいいのだよ」
彼はそう言って職員たちを制し、再び口を閉ざした。職員たちは混乱しつつもその命令に
従った。そして構造物と、それを守っているAAや無人機のリミッターが解除された。
 AAたちは今まで守る一方だった戦法を突然変え、次々と治安維持軍に襲い掛かる。
そのあまりにも尋常でない素早さと攻撃力で、今まで、防衛ラインを突破しようと
していた兵士たちが次々と倒れていく。たちまち治安維持軍の勢力圏は押し返された。
「早すぎて狙いが・・・うわああ!?」
「来るな、来るなあああ!!!!」
治安維持軍の兵士たちは悲鳴を上げながら鮮血を飛び散らして地に伏せられていく。
そして、空からは無人機とルクスに破壊されたヘリが地上に降り注ぐ。それはまさに
地獄絵そのままの世界だった。飛び散る血や肉、燃え上がる車両、そして爆音。
再び戦いの行方はわからなくなりつつあった。

 tカラとaaaは埠頭の前にいた。そして彼らの目の前には、中型の軍用輸送ヘリコプターが
いつでも離陸できるようにローターを回転させていた。そのせいか、その周囲は風が
絶えず吹きつけている。ヘリのハッチのそばには数人の兵士と、そしてギコがいた。
「なあ、・・・一体どういう事だ?」
tカラは驚きと唐突さの入り混じった声で、隣にいるaaaに尋ねた。aaaの方はそれほど
気にはしていないらしく、いつもの調子で言った。
「見ての通り、緊急事態発生ってやつだ」
「緊急事態だって・・・?一体何が起こってるんだ?」
「・・・今は説明してる暇がない。その話はヘリの中でするさ」
二人はヘリに歩み寄った。確かに治安維持軍所属の輸送ヘリらしい。盗んだわけで
なければの話だが。ギコは二人がすぐそばまで来ると、aaaに話しかけた。
「まさかaaaが軍の人間だったとは知らなかった。正直まだ信じられないけどさ」
そのギコに、彼は一言だけ返す。
「言っとくが、実はまだ現役だ」
「現役・・・?じゃあお前って本当は軍人なのか?」
tカラが尋ねると、彼は、当然だろ、というような顔をした。
 三人と数人の兵士が乗り込むと、すぐにヘリは埠頭を飛び立った。あっという間に
街を見下ろせる高さまで上昇し、街の外へと向かって飛ぶ。三人は街並みを見下ろし
ながら、
それぞれ何事かを考えていた。しばらくしてaaaが口を開いた。
「二人ともいったい何が起きてるかわかってないだろうな。一通り説明する。
 まず、おそらくこれは知ってると思うが、BAI社については知ってるよな?」
その問いかけに、二人は普通にうなずいた。aaaはそれを見て話を続ける。
「そこのCEO、蒼がどうやらこの世界と現実世界に宣戦布告したらしい。このままだと、
 あと30時間で二つの世界が完全に消滅する。絶対にそれだけは止めなくちゃいけない」
「で、それと俺たちが何か関係あるのか?」
tカラがたずねると、彼はいや、と首を横に振った。
「直接は関係ない。でも、俺一人ではおそらく止める事はできない。俺に力を貸して
ほしいんだ」
「そういう事か・・・」
ギコがそうつぶやいた。そして少しの間をおいた後、続けて言った。
「でも、なぜそこまでして止めようと思ってるんだ?軍が攻撃を開始してるはず・・・」
「お前が軍人だからという理由以外に、何かありそうだな」
tカラもそう言ってaaaの顔を見た。彼は、しばらくの間黙っていたが、ボソッと一言だけ、
つぶやくように言った。
「昔の借りを返すためだ」
そして三人とも黙ったまま、何かを考えていた。

 『降下地点到着まであと2分ほどです。各員降下の準備をしてください』
特務隊14名を乗せた輸送ヘリコプターは、数時間飛行してここまでたどり着いていた。
現在は敵側がやや優勢。最初に戦闘を開始した地上部隊は全滅が確認されている。
機内に設置されたスピーカーから、突然司令の声が聞こえてきた。
『特務隊の全隊員に告ぐ。これより君たちは敵の真っ只中に降下する事になる。
 おそらくこの戦いで命を散らす者が数多く出るだろう。それでも最悪の事態を防ぐ
 ために、最後まで戦ってくれ』
わかってるさ。ドネットは司令の声を聞きながらそう思った。誰も生きて帰れるとは
思っていない。だが、たとえ戦死するとしても、戦って守るべき存在がある。
それを守るためなら、たとえ死ぬ運命であろうと戦うつもりだ。
 それに、と彼は続けて思う。もう、誰も失いたくはない。絶対に今度こそ、僕は
大切なものを守ってみせる。もう、あんな悲しみを生むような事にはしない。
『降下まで残り30秒、全隊員の降下準備完了しました。第275対地攻撃中隊が援護を
 続行。敵は現在地上部隊のみです』
もうすぐだ。手順は先ほどから何度も確認している通り、降下地点の敵を空中から攻撃し、
隙を作って地上に降りる。その後は構造物まで一気に接近、進入して敵を押える。
これが失敗すれば、おそらく戦況は絶望的になるだろう。僕は、絶対に成功させる。
彼は手に持った小銃を強く握り締めながら思った。
『降下まであと5秒!左右ハッチ開放します!』
「銃口を下方の敵に向けろ。降下開始と同時に攻撃を集中させる」
ハッチが開き、下の景色が目に映った。これからここに降り立ち、戦う事になるんだ。
あと3秒、2、1。今だ!ドネットたち特務隊の隊員がいっせいにヘリから飛び降りる。
その一秒後にはそれぞれ隊員たちが空中に浮かんでいた。携行している機器のおかげだ。
ドネットが隊員たちに持たせるよう言ったのは、最近技術開発部が完成させた反重力
発生装置と呼ばれるものだ。簡単に言えば、重力を無効化するコードを持つ装置だ。
これにより、落下軽減だけではなく、人一人くらいなら空中を浮遊する事も可能に
なる。ドネットたちは空中をゆっくりと降下しつつ、地上にいる敵に向けて銃弾を
放った。弾に当たり、何体かのAAが倒れるが、それではまだ着地できるだけのスペースは
確保できていない。クソ、とドネットは舌打ちしながら、すぐ下にいる敵を撃ち続ける。
彼らが着地する数秒前に、やっと敵が一旦退却し、全隊員が降りられるだけのスペースが
出来た。そこへ次々とドネットたちが着地し、装置の電源を切ってそこに廃棄する。
これから先は、この装置も単なる重りでしかない。反重力発生装置はガシャッっという
音を立てて地面に落ちた。
「前進開始。正面の敵に集中し、速やかに敵の本拠地へと侵入する」
ドネットは他の隊員に指示を出し、前に足を進め始めた。今手に持っているのは機関銃
ではなく、ドネット愛用のガンブレードだった。一度後退していた敵が、再びこちらへと
向かってきた。その手には軽合金製の片刃剣を握っている。接近戦でこっちをつぶす気か。
ドネットはそう思いながらガンブレードを構え直すと、走ってきた敵の一体を目にも
留まらぬ速さで斬った。続いてきた数体も同じようにして切り伏せる。この程度では
勝負にならないというのに、敵は狂ったように、次々とこちらへ押し寄せてきた。
同じヘリに乗っていた隊員の何人かが、その狂気に押されそうになっていた。隊員の
一人がドネットにきく。
「中尉、このまま前進ですか?」
彼は徐々に接近してくる敵を見つめながらそれに答えた。
「当然だ。落ち着いて対処すれば雑魚同然の敵だ、回り道をしている暇はない」
「・・・はっ」
隊員たちはその言葉で無理矢理落ち着きを取り戻し、小銃を敵の頭部に向けた。そして
ドネットはガンブレードを再び構え直すと、正面をにらんだ。さあ、戦いはこれからだ。

 「21!・・・22!」
ドネットたち特務隊が地上に降下し、作戦を開始した頃。ルクスは次々と敵のヘリを
破壊していた。物量作戦のおかげでこっちの空戦力は壊滅した。しかし、このまま空の戦力を放っておくわけにもいかない。そういう事で、ルクスは空中での戦いを繰り広げていた。彼の大鎌が唸りを上げ、治安維持軍の戦闘ヘリの尾部を切り裂く。
「23!・・・ったく、ホントに総力戦でこっちをつぶす気らしいな」
彼は空中で制止しつつ、次々と接近してくる敵のヘリコプターを眺めた。さすがに一人
では対応し切れそうにないようだ。しかし、彼はそれでも笑みを浮かべる。それは
戦う事に魅せられた男の笑いだった。
「まあ、少なくとも時間切れまでこの興奮は続きそうだ。行くぜ!」
そう言って彼は斧を振り上げると、ヘリコプターの群れへと突撃した。

 一方、陸上ではクリアが次々と降下してくる敵兵たちを容赦なくなぎ倒していた。
「邪魔を・・・、するなっ!!」
超人的なスピードに、軍の兵士たちはまったくついてこれないようだ。なす術もなく、
あっという間に仲間たちと同様、肉の塊と化していく。彼は雑魚を次々と切りつけ
ながらも、常に一人の人物をその中から探していた。こんな激しい戦場があれば、剣豪
紅として必ずここに現れるはず。もし見つければ、今度こそこの手で奴を・・・。
そう考えると、彼は自然と手に力が入るのを感じた。目の前にいる狙撃兵を一刀両断
すると、彼は剣についた血糊を振り払い、敵兵の群れへと再び突っ込んだ。
「うおおぉぉ!!!!」
雄叫びを上げながら、彼は視界に移った敵兵を次々と切り裂き、肉塊に変えていった。
いつ現れるとも知れぬ伝説の剣豪の姿を求めながら。倒すと決めた敵を広い戦場の中に
見つけ出そうと見回しながら。
「紅!!どこだ!!!!」
クリアの雄叫びは戦場の隅々に響き渡った。激しき戦いの火花は、まだ付いたばかり
だった。

 次回予告
それぞれの思いが戦場を交錯する。
次回『プライド』

 作者あとがきは作者が非常に切羽詰まっているため、今回はお休みさせていただきます。
ご了承お願いいたします。

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最近フラッシュ作ろうかと考え中

2006-08-22 22:42:36 | 日記
フラッシュ作ってみようかなー。
文字がほとんどのつまらないような奴になるだろうけど。
というわけで皆さんこんばんわ。

さてさて、今日は部活に行ってきましたよ~。
てか、部活はロボット研究会なので、ロボコン目指して奮闘中。
今は、もうほとんど出来上がってきたという感じ。
たぶん9月中には完成するんじゃないかな?
今年こそは全国出場を目指してやってるので、かなりすごい物になってきてます。
まあもし全国に行ったらまた報告します。
といってもその時期はテスト週間でおそらく行けないんだけどね。
俺の仕事?簡易作業だ、文句あるか?

というわけで今日は短く更新です。

ではでは。

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夏休みが終わりに近づいてきたわけですが

2006-08-20 20:40:05 | 日記
 夏休み まもなく終わる 極楽か

よく考えてみれば、もうこんな日付になってしまったのか・・・。
いやぁ、時間の流れというものは本当にすごく速いものだ。
あっという間に夏休みが終わりかけとは、今までほとんど気づかなかった。
で、皆さん。宿題はもう済ませました?
あ、済んでない?それじゃあ俺と同じわけですか(殴
まあ早めに仕上げるようがんばってますが、終わるのは最終日の夜だろうな・・・。
皆さんも最終日は徹夜してでもやってやるとか考えてないで、今から始めましょう。
その方が絶対に楽ですから。これは当然の事実なんですけど。
まあ、そろそろいつもの生活習慣に戻さないとやばいなとは思ってますよ、はい。
じゃあみんな体調を崩さないよう気をつけて。

と、ここで終わると思ったか!
まだまだ終わりませんよ、これは。
さて、話は変わりますが、太平洋戦争が終結して61年が経ったわけです。
その間に幾つもの紛争が起き、何人もの難民が隣国にあふれ、何人もの兵士が
命を落としているわけですが。
皆さんはどう思いますか、戦後61年間の世界の歩んだ道について。
なぜ人は戦いを続けるのか。そして、その裏に常に存在するマネーゲーム。
そんなものがなぜいつもあるのか。そして、たいした事もない欲望のために
国民を狂気に陥れ、戦争へと駆り立てる人とは一体何なのか。
答えは一切存在しないこの問題、しかし、考えなくてはならない問題。
もし、このまま欲望のままに人が戦争を続ければどうなるか。
答えは一つ。それは現代文明の崩壊をまねく。
同じ種族である人間を区別し、選別する事で自分たちが優秀な者だと思い込ませる。
そして殺戮し、実験に使い、奪い取り、破壊しつくす。
果たしてそれが人の望むような事なのか。否。
では、どうすればこの世界を変えることが出来るのか。それもまた謎。
全ては暗黒の奥に隠され、その姿はいまだわかっていない。
でも、今ひとつだけ確かなことが存在する。
それは、同じ人間同士で争うという馬鹿な真似は避けなければならないという事。
そのために人は高い知能を持っているのだと思う。
だからこそ、今も続いている醜い争いは避け、そして止めなければならない。
これから訪れるであろう気候の変化や、天変地異に備えるために。
そして、全ての人々が望んできたような世界に近くしなければならない。
俺の意見はこのくらいだ。
みんなも、自分の意見を形にすることが必要だと思う。
だから、これから形にしていってほしい。

ではでは。

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Operation Ragnalok(3)

2006-08-19 22:01:21 | 小説
  Operation Ragnalok

 第三話『戦いのためだけに』

 エリア66。そのほとんどの都市は廃墟となり、現在はそのほとんどをBAI社が管理している。
もちろんエリアを管轄する部隊はいるものの、戦力はほとんどと言っていいほど持っていない。
それに、BAI社の方から「治安についてはこちらで解決する」と言ってきたものだから、
ほとんど仕事はないと言っていいほどだった。その日までは。
 管轄部隊の基地には今、次々と各地の地上攻撃部隊が集結していた。戦車や装甲機動車、
自走砲などの車両が輸送機から降ろされ、指定された位置へと移動していく。
しかも兵士の数も相当なもので、基地の至る所に集まり、武装や作戦の確認などを行っていた。
いつもの寂れた基地ではなく、非常ににぎやかな、しかし張り詰めた雰囲気が漂う状態だった。
管轄の部隊は雑用よろしく、集結した攻撃部隊にこき使われていた。一人が愚痴をこぼす。
「・・・ったく、何で俺たちがこんな雑用をさせられてんだよ?普通なら俺たちも出撃だろう?
 何で基地に残れって事になるんだよ」
「そこの君!ごちゃごちゃ言ってないでこの車両を移動させろ!」
普通の軍人ではなさそうな雰囲気の女性、いや女っぽい男性が彼を怒鳴りつけた。
彼は一瞬そちらを睨んだが、しぶしぶ車両に乗り込みエンジンをかけた。
 その医務室ではさくらがベッドの上で上半身だけを起こし、外の様子を見ていた。
彼女は気を失ったままこの基地に運び込まれ、そして先ほど目を覚ましたばかりだった。
「戦争か・・・。一体どれだけの人が戻ってこられるんだろう・・・?」
窓の外にいる兵士たちを見て、彼女はぼそぼそとつぶやいた。救出された他の兵士は外にいる。
どうやら戦闘には出ないが、基地内でいろいろと手伝っているようだ。さくらはベッドから出た。
彼女の頭には包帯が巻かれてはいるが、出血はもう完全に収まっている。彼女は軍服を着ると、
部屋の外に出てみた。そこにも衛生兵たちが集まり、携行する医療器具などを確認していた。
そのうちの一人がさくらに気がつき、彼女に声をかけた。
「さくら上級衛生兵、無事で何よりです。あなたはここに残って、搬送されてきた負傷者の
 手当てを行ってください」
「はい。みんなも必ず生きて帰ってきてください」
彼女がそう言うと、他の衛生兵たちは彼女に敬礼した。生きて帰ってきてほしい、
彼女は心の底からそう願っていた。
 外では、先程の男性が車両内に入って部下に指示を出していた。その車両内は最新の
電子機器が所狭しと積み込まれ、水冷装置が静かに音を立てている。
「全システムの起動を確認後、戦況監視システムと通信システムをオンに。その後は敵の
 遠隔攻撃システムをワームで叩く。おそらく敵側にもそれなりの技量を持った奴がいるはず。
 一瞬でも油断は禁物だ。わかっているな?」
彼がそう確認すると、部下はすぐに返答した。
「はっ。全システム起動。起動確認後に戦況監視システム、及び通信システムをオンに変更」
「目標、遠隔攻撃システムサーバー。隠しポートの検索を開始します」
「ワーク制御プログラム起動準備開始。今回の作戦に最適なワームを選択」
ワームとは、仮想サーバーを攻撃するための単純型ウイルスの事だ。仮想サーバーが現実世界
で言うコンピュータなら、ワームはコンピュータウイルスということになる。
当然ながら、ワームに具体的な形は存在しない。仮想サーバー上に存在する一つのプログラム
でしかないのだから。とそのとき、他の部隊の隊長が車両のドアをあけた。彼がそちらの
方に顔を向け、どうした、と尋ねる。
「いや、君たち情報担当部隊の仕事が少し気になってね。しかし私が見てもさっぱりわからんね」
そのやや年老いた隊長はそう言いながら車両内を見渡した。
「ところでロゼリィ情報担当官、コーヒーは好きなほうかね?」
彼が尋ねると、男性―ロゼリィ情報担当官―は別に嫌いではない、と一言だけ答えた。
年老いた隊長はそうか、とうなずくと車両から出て行った。コーヒーを一緒に飲もうとでも
思っていたのか、あの隊長は。私にそんな物をゆっくりと飲んでいる暇はない。たとえ飲む
としても、この場所で眠気覚ましのために飲むぐらいだ。彼はそう考えながらも、さっきの
年老いた隊長が果たして生きて戻ってくるかどうか、少し気がかりだった。

 「タイムリミットまであと35時間か・・・」
高く聳え立つ構造物の上層部、一人のための部屋とは思えないほど広い部屋の中心に蒼は立ち、
その周囲を取り囲むディスプレイに映し出される光景を眺めていた。それは構造物の周囲に
集まった彼の私兵部隊、そして無人戦闘車両と無人戦闘ヘリコプターの映像だった。
「治安維持軍が攻めてきたところで、時間内にここを落とせるかどうか。彼らは無駄な事を
 しているに過ぎない。まあいいだろう、多少は彼らの遊びに付き合ってやらなければな」
彼はそう言って冷たく笑う。その目にはただならぬ狂気が映し出されていた。
 一方、下層部には四賢人のうち二人がいた。
「クリア、お前は地上の敵を一掃してくれ。俺は空にいる奴らを片っ端から落とす。
 もちろん紅が現れたら、お前が戦え」
鎌を持ったAAは、半透明の剣を持つAAにそう言った。
「わかっている。ルクス、貴様は絶対に俺の邪魔をするな!」
クリアがそう怒鳴ると、ルクスは彼に一応の返事を返した。
「はいはい。じゃあそういう事でいいな」
そのとき、敵の接近を知らせるアラームがけたたましく鳴り響いた。ついに戦闘開始だ。
二人は互いの顔を見て軽くうなずくと、戦いの場へと飛び出していった。
 「ついに始まりますか・・・」
中層部には、四賢人のうち一人が待機していた。彼は落ち着いた物腰でそうつぶやくと、
そばに置いてある金属の8面体を拾い上げた。そして八面体をいじり、手を離すとそれは
自動的に宙に浮き、彼の周囲を回転し始めた。彼はもうひとつの八面体も同じように起動し、
彼の周囲を二つの八面体が浮かんでいる状態にした。彼はまたつぶやいた。
「さて、私はとりあえず見物でもしますかね・・・」

 場所は変わってレモン屋宅。レモン屋は軍にいるある人物の仮想サーバーにアクセス
していた。というのも、今回の作戦に関する情報を一番持っているのがその人物だからだ。
いつものように自作のツールを使用し、相手の仮想サーバーに新しくポートを作る。
そしてそこから気づかれないようにアクセスし、情報を次々と引き出していく。
「それにしても、情報を扱う人間が簡単に情報を盗られるのは情けないな」
彼は思わずそうつぶやいた。引き出すべき情報をすべて抜き取ると、彼は別のツールを使って
先ほど作ったポートを隠蔽した。定期的に情報を抜き取れば、戦闘情報が楽に把握できる。
そして相手がこちらを見つけられないよう、さらに偽装をかけた。
「これでよし、と。さて、早速確認するか」
彼は抜き出した情報を瞬時に分類していき、重要なものに一通り目を通した。
「これはすごいな。治安維持軍のほぼ全戦力を一点に投入するなんて前代未聞じゃないのか?
 ・・・。なるほど、特務隊のほぼ全員が最前線に投入されるのか」
そうやって情報を見ていくうち、彼はとんでもない事に気がついた。それは、ある兵器に
ついての情報だった。その兵器は直接戦闘には関わらない。
「軍が特殊なワームを開発、使用するだと。いったいどこにそんな頭のいい野郎が・・・」
彼はそこで考えてみた。俺の知り合いでそういったものを開発できる奴は・・・。
とりあえず数人はいるな。でも軍にいる奴は確かいないはずだ。ということはあいつか。
彼の頭の中には、ロゼリィの姿が浮かんでいた。たしかロゼリィは情報担当官で、情報戦に
最も慣れているはず。
「・・・なんでこういう時に俺の敵になってるんだ」
レモン屋は舌打ちした。軍にとっては、彼の存在をあまり好いてはいないからだ。
しかもよりによって情報担当官が相手となると・・・。
「まあいい。どうせ俺が捕まってもあいつが何とかするだろうし」
もちろんあいつとは、いつも情報をほしがる奴のことだ。レモン屋はそう言って再び作業を
始めることにした。

 治安維持軍の地上部隊は蒼たちのいる巨大構造物へと向かっていた。車両の巻き上げる
土煙が視界を茶に染める。そして車両内ではまもなく始まる戦いに向け、気を張り詰めていた。
そのうちの一人は、緊張のあまり手に持った銃が震えていた。彼の隣にいた兵士が声をかける。
「そんなにビビるなよ?少し落ち着いたらどうだ?」
「そんな事言われても・・・、勝手に手が震えるんです」
彼は普段よりも緊張した声で返事した。
「じゃあこれとかどうだ?手のひらに『人』と書いて飲み込めば落ち着くって聞いた事が
 あるぞ」
「そんな事で直るわけないですよ」
「いいからやってみろよ。気分だけでも楽になるって」
隣の兵士が必死に勧めてくるので、彼は仕方なくやってみた。先ほどと緊張は変わらないが、
先ほどよりは気分が楽になったように感じた。要は心の持ち様か・・・、と彼は思った。
「な?ちょっとは落ち着いたろ?」
隣のやつはそう言って笑った。車内が少し明るい雰囲気に変わった。
 「まもなく展開地点に到達する。全員無事で帰ってこい」
運転席にいる兵士はそう言いながら、車両をその場所で停止させ、後部ドアを開いた。
ドアが開くと同時に兵士たちは外へ飛び出し、車両の周囲に散開した。彼らの顔は非常に
引き締まった表情になっていた。先ほど乗っていた装甲車は全員が降りた事を確認すると、
後方へと下がっていった。入れ替わりに戦車隊が前進してくる。隊長ははるか先にある、
敵の構造物を見つめ、そして彼の部下たちに振り返って命令した。
「これより攻撃を開始する。各自、絶対に隊から離れるな!」
「はいっ!」
彼らの返事とともに、その部隊は構造物の建っている方向へと進撃を始めた。
 「敵部隊を確認。無人機を発進させ、戦車隊を撃破する。クローンAAは歩兵を攻撃」
たくさんの物理サーバーが並べられた部屋で、BAI社の職員たちがせわしなく動き回っている。
その中央で指示を出しているのは四賢人の一人、ホッシュ系のAAだった。
彼はキーボードを叩きながら職員たちにリアルタイムで指示を送り続けていた。
「敵の現在位置を確認。無人機を直ちに出撃させろ」
「了解」
「クローンたちは敵の射程外よりアウトレンジ攻撃、絶対に寄せ付けるな」
 そして外では、無人ヘリコプターが次々と飛び立ち、接近してくる戦車に向けてミサイルを
放った。いくつかの戦車から火柱が吹き上がる。しかし、同時に無人機も戦車からの攻撃で
一機、また一機と落とされていった。どちらも一進一退の攻防を繰り広げる。
そしてクローンAAたちはライフルやロケットランチャーを構え、敵部隊に向けて発射する。
その敵部隊からも銃弾が次々と飛んでくる。爆音、銃声、叫びと怒号が戦場に響き渡る。
 その様子を、蒼は上層部のモニタールームでじっくりと『鑑賞』していた。
今のところはどちらも五分五分だ。しかしあの二人が戦闘に入れば、すぐに状況は
一変するだろう。彼の口から笑いがこぼれる。
「せいぜいあがくがいいさ。我々の計画はお前たちに止めることなど不可能だからな!」
彼の笑いが響く中、モニターに爆発が映し出された。その下では幾つもの命が散っていた。
「どれだけ犠牲を見ればわかるのだ、お前たちは。守るものはそこまで争うほどのものか?」
否、と彼は思う。彼らが守ろうとしているものは幻想でしかなく、意味はない。
ここで兵士たちの命が散っていく事は完全に無駄なのだ、と。
「無駄な事をして、結局は何も守れない。それが現実なのだよ」
彼はモニターの中にいる兵士たちを見ながらそう言い放った。


 次回予告
全てを守るために、彼は戦いを挑む。
次回『悲しみのチカラ』

 ひとこと
うわー、もう第三話まで書いちゃったじゃないか!
このペースで行っちゃうとさっさと終わってしまう!(嫌じゃないけど
というわけで次回は第四話です。彼が戦闘開始です。

※この物語は明らかなフィクションであり、今現在は現実とはまったく関係がありません。

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帰ってきたYO!!

2006-08-16 23:06:47 | 日記
親の実家から帰ってきました。
日に焼けて、肌がヒリヒリしてますよ。軟膏塗らなきゃ。
さて、ずいぶんと更新が出来なかったわけですが。
なんか更新してないのに人が結構来たようです。意外。
さて、小説の方はどこまで進んだかというと。
すみません、一行も手をつけてません(殴
俺としたことが、USBメモリに入れずに実家に行ったので何も書けませんでした。
というのは嘘で、一応個人的なものを書き進めていました。
まあ公開とかするのはずいぶん先の話ですが。

話は変わりますが、皆様はお盆をどう過ごされたでしょうか。
俺の場合は親戚の墓参りやら、山に遊びに行ったりなど、遊びまくりでした。
ぜんぜん遊んでないとか言う人、ごめんね。
まあその辺はどうしようもないものがあるわけなので、正月を楽しみにして
くだらない毎日を乗り切りましょう。

小泉首相が8月15日の朝に参拝しましたね、靖国に。
しかも署名には「内閣総理大臣 小泉純一郎」と書いたらしいですね。
いくら今年で首相が終わりだからって、そんなにはっちゃけたらいかんでしょう。
小泉本人は気にしてなくても、中国とか韓国が文句を言い出すと困るんで。
特に家電の部品とかは中国や韓国の工場で作ってるから、輸出が止まると困る。
だから挑発と受け取りかねないような事は出来れば控えてほしかった。
もし貿易が止まったら、お前のせいだからな!(・∀・)9m
こんだけは言わせてもらう。
確かに参拝は自由かもしれない。でも、それで迷惑する人間もいる。
そういう事をよく理解した上で、覚悟を決めて参拝しろ。
そうしないと俺は、俺らは納得できん。

じゃあ今日は眠いのでこの辺で。

ではでは。

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当分実家に行ってきます

2006-08-11 19:55:00 | 日記
明日から親の実家に行くので、当分は書き込まないと思います。
でも、一応小説は続きを書きます。書かないと忘れるので。
フラッシュメモリに保存して持って行きます。帰るときにはもう一話出来ているはず。
というわけでHPも更新休みますが、それでもみんなよろしくねという事で。
きもいんじゃヴォケ!とか言う奴は畑の肥やしにするぞ!(嘘
そんなこんなで行ってきます。お土産は・・・ないかもね。

さて、小説の作業状況が気になる方もいると思うので。
現在は第三話を書き終えているので、公開できます。第四話はまだまだ。
この調子でいくと小説が完結するのは期末直前・・・。
しまった!もっと計画的に書いていればよかったと今更思ったり。
まあ仕方がない。期末前になったら小説は一旦凍結します。
でも期末後はだーっと書きまくって公開だなこりゃ。

そんなわけで今日の更新は終わり。おそらく16日に更新します。

ではでは。

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ガラクタノカミサマを見ました、と

2006-08-08 23:01:13 | 日記
ご無沙汰してます、akkiyです。
今日はですねー、久しぶりにフラッシュ系の話題を見つけました。
NCアナザーの元ネタフラッシュを作られたみ~や氏の新作ですね。
「ガラクタノカミサマ」
『カミサマ』── それは、この国を管理し、未来を予知する大規模な人工知能群

『巫女』── それは、カミサマの声を聞き、人々に伝える唯一の人間

カミサマと巫女は、この国の未来への道標となり、人々はそれに従って暮らしていた。

たとえそれが、いかなる犠牲を伴うものであろうとも……

内容としては、大切な妹を拉致られて瀕死の重傷を負った主人公が、
機械化された体になった後にそのカミサマをぶっ壊しに行きます。
てか強すぎだよ主人公。ナイトメアのギコよりはるかに強いw
そして巫女のいる場所にたどり着くけど・・・
まあそんな感じですね、ぱっと見では。
久々に感動の振えがきましたからね、この作品。
もう早速小説k(ryなんて考えちゃいましたからね。
とりあえずみ~や氏のHPへのリンクを張っておきます。

clairvoyance

じゃあ今日はめんどくさいのでこの辺で。

ではでは。

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simcityにはまった!

2006-08-07 08:26:36 | 日記
simcityって面白いと思いだした。
てか、最初のsimcity1が意外と面白かったりする。
何ではまっちゃうんだろう、おかげで小説が書けないジャマイカ!

・・・すみませんね。

てなわけで久しぶりの更新なわけですが。
土曜日に公開した奴はまあまあだったようです。
まあいつものことだし、別に気にしてないけど。
来週も確実に公開できるはず。てか公開しなきゃいかん。
チャット友達も結構期待しているようなので、それなりにがんばらないと。

ああ、宿題終わってねえ orz
今日か明日やらなきゃな・・・。
まあそんなわけで夏休みなのに超忙しいんですよ。
誰か手伝ってくれ~(無理

じゃあ今日はこの辺で更新終わり。

ではでは。

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Operation Ragnalok(2)

2006-08-03 14:09:24 | 小説
  Operation Ragnalok

  第二話『砲火の予兆』

 前回のあらすじ・・・アメリカ合衆国海軍の新鋭潜水艦『ニューオリンズ』が日本へ
向けて航行している途中、突如攻撃システムが作動。米国西海岸の都市サンフランシスコが
ミサイル攻撃を受けて壊滅してしまった。仮想空間治安維持軍は事件の犯人である蒼を
確保、あるいは殺害するために一個中隊を差向けた。しかし、四賢人の一人によって派遣部隊は
壊滅し、かろうじて数人が生き残るという有様だった。

 エリア66を管轄している部隊からの連絡は、最高司令官が予想していたよりも最悪だった。
最高司令官はその結果に驚いたようだったが、しかし非常に冷静にもなっていた。
「一個中隊が一人のAAによって全滅だと・・・?そんな話はあの作戦の時以来だぞ。
 ・・・各師団の指揮官を呼べ。ここにいなければ代理の者を呼んで来い。軍議を行うぞ」
彼は隣にいた副官にそう命じた。副官はそれを聞くなり敬礼をし、
「はっ。直ちに議場への招集をかけます」
と答えて席を立った。司令は先ほど届いた資料を握りつぶすと、くずかごに放り投げた。

 中隊が全滅して数時間後。仮想空間、現実世界の二つの世界に向けて一つの映像が流された。
その映像では、要塞の中らしい場所で蒼が延々としゃべっていた。
「・・・我々はこれまで現実世界からさまざまな制約を受けてきた。しかしそれも終わる。
 我々は現実世界とは別個の存在として存在し、我々自身の権利というものがある。
 その権利を別の世界の存在から制限される事は、本来あってはならない事であり、
 我々からしてみれば、許しがたい現実でもある。その制限から解き放たれるべきなのだ。
 だからこそ我々は現実世界に対して次の事を求める。現実世界は我々の権利を認めること。
 現実世界からの制限を直ちに解除し、仮想空間上の自由を保障すること。
 そして、現実世界の直属機関である仮想空間治安維持軍を解散させ、自治を認めること。
 以上の事柄がこれより48時間以内に達成されない場合には、両世界の主要都市を攻撃する。
 現在我々は現実世界におけるほとんどの兵器を管理下に置いている。我々が命令を出せば、
 現実世界は簡単に破壊する事が出来る。これは脅しではない。ありのままの事実だ。
 素直に従ってくれれば、両世界の安全は保障する。賢い判断をしてくれる事を期待している」
そこでモニタ表示が消され、その前に司令が顔を出した。
「これが今回の事件の首謀者、蒼の声明だ。彼が言った通りだとすれば、タイムリミットは
 あと46時間ほどだ。このままでは、最悪の場合二つの世界ともが破滅する恐れがある。
 その事態だけは我々としても、一人の仮想空間上の存在としても許す事は出来ない。
 そして我々にはこの世界と、この世界に生きるAAたちを守る義務がある。以上の事から、
 我々は彼とその一味に対して徹底抗戦を仕掛けることに決定した。数時間前の
 攻撃では壊滅状態だった。この作戦でも多大な犠牲が出る可能性はきわめて高い。
 しかし、それでも我々には守るべき世界、守るべき命がある。最後の時が来るまで、
 我々は戦い続ける」
司令はそう言いながらひとつの事を思い出していた。それは遠くにいる妻子たちの事。
それは他の指揮官、あるいは代理にとっても同じことだった。そして司令は最後にこう言った。
「これより非常事態を宣言。最低限の部隊を残し、それ以外は直ちに出撃させる。
 これは我々と、現実世界の命運をかけた戦いだ。失敗は許されない」
そう言い終わった瞬間、指揮官たちと司令はほぼ同時に敬礼した。
「はっ!」
そしてすぐに自分たちの部隊へと指示を出し始める。その様子を司令は黙って見ていた。
胸の内に強い決意を秘めながら。

 「ドネット中尉、どうやら出撃命令です」
特務隊の駐屯所では、ドネットたちが非常事態に備えて待機していた。ついに戦闘らしい。
ドネットはそう伝えてきた部下に、詳しい事情を聞いた。どうやら蒼がテロまがいな事を
しようとしているらしい。やはり彼が黒幕だったのか。ドネットはふと考えた。
ソフィリアに暗殺を命じていたのも彼なら、これは僕にも蒼にとっても彼女の弔い合戦か。
「輸送ヘリコプター、および護衛の戦闘ヘリコプターを用意。それと今回は各自に『あれ』を
 携行するように連絡する事。それと各自一番使い慣れた武装を持つように」
ドネットは彼にそう命じ、立ち上がった。もうあんな悲劇は繰り返させない、絶対に。
彼はそう思いながら拳をギュッと握った。そのときドアが開き、フォトリィ中尉が顔を出した。
「あなたにも出撃命令が来たみたいね。というよりも特務隊は全員に招集がかかってるけど。
 じゃあ私の部隊は先に出撃するけど、あなたはいつ出るの?」
「それだけ難易度の高い作戦だという事でしょう。準備が出来次第すぐに出撃します」
「そう。お互い生存できればいいわね」
フォトリィ中尉はそう言うと、すぐにドアを閉めて出て行った。彼はソフィリアの遺品の一つ、
赤い石のはめ込まれたペンダントを手にとってしばらく眺めたが、元の場所に戻した。
そして自分のガンブレードと、先程言った『あれ』を持って部屋を出た。

 そのころ、エリア66では蒼たちが構造物の下層部にいた。そこには幾つもの水槽が、
何列にもわたって置かれている。その中では人に近い形のAAが浮かんでいた。
そのAAたちを見つめる蒼の顔が、照明で妖しく浮かび上がっていた。
「我々がこれまで数年にわたって研究してきたもの・・・。ついに使うときが来たか」
彼の周囲では、BAI社の職員たちが操作パネルを前に、AAたちの細かい調整を行っていた。
彼らは戦闘能力に関するプログラムを強化した戦闘用のAA。もうすぐ彼らは放たれる。
今の狭い水槽の中から、広大なこの仮想空間上に。そして我々の計画を阻む者たちを一掃する。
「AAの起動開始まであと10分程度です。起動後はすぐに戦闘開始も可能なはずです」
職員の一人が蒼に説明すると、蒼は思わず笑みを浮かべながらこう言った。
「そうか。では開発中の実験体も起動を開始しろ。問題ない、あれの動作は確実だよ」
「は、はい。直ちに」
職員が多少慌てながら、奥の水槽へと向かっていく。そこにはしぃ型をベースにしたAAが
水槽の中に浮かんでいる。へその辺りには彼女の状態を維持するためのケーブルがつながれ、
上部のケーブルへと接続されている。そして彼女の背中には一対の白い翼が生えている。
あと数十時間で我々の計画は現実のものとなり、この世界には新しい秩序が出来上がる。
このAAたちはそのための道具でしかない、蒼はそう考えながら水槽を眺めていた。
そのとき、上層部から連絡が入った。
「どうやら治安維持軍が動き出したようです。おそらく数時間後には戦闘になります。
 どうやら彼らは最低限の守備部隊以外の全ての戦力を投入してくるようですね」
全ての戦力、か。まあいいだろう。しばらくの間遊んでやるとするか。蒼はそう考えながら
水槽のある部屋を後にした。

 その頃、俺(aaa)は何をしていたかというと、tカラたちと喫茶店で昼食をとっていた。
数週間前にあの事件を調べて以来、BAI社の動きについてはレモン屋から度々教えて
もらっていた。だが、これまでのところはそう大きい動きもないようだ。俺はひとまず安心していた。
 驚いた事といえば、数週間いなかった間に街がすっかりきれいになっていた事だった。
しかも、広場にある枯れてしまった木は、誰が治したのか、現在は葉を青々と茂らせていた。
「前と比べて雰囲気も格段に明るくなったし、保養地としても人気が出てきたし。
 まさにこの街は無敵だな(笑)」
喫茶店のマスターはそう言ってコーヒーを入れた。といっても俺が飲むのはアイスティーだが。
注文したケーキがちょうど運ばれてきて、早速食べようとしたところで端末が鳴った。
ちっ。もう少し遅くにかけて来ればいいのに。俺はそう思いながら席を立った。
外に出て通話ボタンを押すと、レモン屋の声が聞こえてきた。
『まずい事になった。蒼がとんでもない事をしでかしたぞ』
おいおい、何でこういう時に限ってそういう状況が訪れるんだよ。まったく嫌になる。
「で、一体何をしでかしたんだ、奴は?」
俺が聞き返すと、レモン屋は焦った声で話し始めた。
『現実世界に対して脅しをかけた。目的は仮想空間の独立で、人質は現実世界と仮想空間の
全主要都市だ。もう既に現実世界の一つの都市が弾道ミサイルで消し飛んでいる』
どういうことだ?何でそんな無謀なことをあいつはやろうとしているんだ?俺はふと思った。
あいつらしくない出方だな・・・・。
『どうする?お前の事だから行くんだろ?』
「ああ、もちろんだ。あいつを止めなきゃ世界は破滅する。レモン屋はどうする気だ?」
『俺は・・・まあじっくりとやらせてもらうさ。じゃあ生きて帰れよ』
レモン屋はそこまで言って通話を切った。俺はすぐに端末をしまうと、tカラたちのいる
テーブルへと戻った。
 「ずいぶん長かったな。知り合いからか?」
tカラはコーヒーカップを置くと俺に尋ねた。俺はいや、と一言答えて席に座る。
「ちょっと急用が出来た。コレ食ったらすぐに帰るからな」
「急用ですか・・・」
教授は俺が何か隠している事を察しているようだ。まあいい、後で説明すればいい事だ。
俺はケーキをさっさと食べ、アイスティーを飲み干した。そして立ち上がった後にtカラに
声をかけた。
「なあtカラ、とりあえず三時間後に埠頭に来てくれ。お前にも手伝って欲しい事がある。
そのときにあのハンマーも持ってきてくれ」
「ああ、別にいいけど」
tカラはいつものように答えた。俺はそれを聞き届けると店を出た。早速準備に取り
掛からなければ。
 
 ギコは埠頭で一人佇んでいた。彼の頭の中ではあのときの出来事が早送りのごとく回って
いた。この世界を旅して回っている間に、自分の持つ力の制御が出来るようにはなってきた。
しかし、どんなに強くなろうと失ったものはもう戻ってこない。彼はしぃの事を思い出した。
あそこまで俺を愛してくれた人はいないだろう。俺も彼女が好きだった。でも・・・
彼女はあの時に俺をかばって死んだんだ。どれだけ彼女を思っても、もう彼女は戻ってこない。
でも、まだ失っていないものを守る事は誰にだって出来る。だからこれから戦いに行く。
彼は首にぶら下げた蒼い石を右手にそっと乗せた。いつだったか彼女がくれた物だ。
「私はここにいるよ」
しぃの声が聞こえた気がして、彼は辺りを見回したが、そこには誰もいなかった。
彼女はもうどこにもいない、でも、彼女は俺の心の中にいる。一生そこに居続けるだろう。
彼は視線を再び海の方へと向けた。これから俺たちは一体どこへと向かうのだろうか。
「しぃ・・・俺たちはこれからどうなるんだろうな」
彼は思わずつぶやいた。答えが返ってくるはずもないが、なんとなくそう言いたかったのだ。
でも、どこへ向かうにしても、俺は絶対に生き延びてみせる。先に逝ったしぃのためにも。

 それぞれの思いが戦いへと収束していく。そして最後の戦いは始まろうとしていた。

 次回予告
戦うために作られた存在が牙をむく。
次回『戦いのためだけに』

 一言だけだ
やべえ、また長文になってきてるし。本にしたらこのシリーズ3冊はいくな。

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