ツレヅレグサ

雑記と愚痴と、時々小説

Nightmare City Another Story(5)

2006-05-07 19:10:14 | 小説
       ***BGM:403「Braze of life」***

原作:みーや様「Nightmare City」「Nightmare City Catastrophy」

         Nightmare City Another Story

   第五話『始動』

 前回のおさらい
ギコ、しぃと合流したaaaは、街の出口へと向かった。
しかし、しぃは突然外に出る事を拒絶。その直後、巨大な壁が現れた。
「早く、行きなさい」
彼女は決して外に出られない運命にあったのだ。ギコは必ず助けにいくと約束し、
外へと飛び出した。それを追ってaaaもエアバイクで飛び込んだのだった。

 俺とギコは、光の塊のようになって飛んでいた。その周りには、色とりどりになった壁が見えていた。
どれくらい飛行していただろうか。俺たちはいきなり別の世界に飛び出していた。
それはまるで映像端末で見たトーキョーとかいう街そっくりの世界だった。
町の中心部には300メートルくらいある鉄塔がたち、その周辺を高層ビルが取り巻いている。
見渡す限りのビル群。その間を縫うようにしてリニア式の都市鉄道が走っている。
「これが・・・外の世界か・・・」
ギコは驚いて言った。俺もアイツと同じぐらい驚いていた。
 俺はギコをエアバイクの後ろに乗せると、知り合いの住んでいるマンションへと向かった。
街の中は、思ったよりも緑が多い。おそらくロンドンの田園都市構想を参考にしたのだろう。
有名な自動車会社のマークをつけた車が、時々俺たちを抜き去っていく。ギコは街に見とれていた。
「気をつけないと振り落とされるぞ」
俺が注意するまで、あいつは周りをきょろきょろしていた。
 30分ほど走ったところにそのマンションはあった。一般的な中流マンションであるそこは、
ちょっと前に完成したようにきれいに保ってあった。さすがネット上の世界だ。
俺はエアバイクを駐車場に止め、知り合いの部屋へと向かった。
エレベーターを使い、14階まで行く。そして手前から5部屋目にその部屋はあった。
「一体どんな知り合いが住んでるんだ?」
ギコは俺に聞いてきた。俺は
「会ってからのお楽しみさ」
と言いつつ、チャイムを押した。一般的なメロディーが鳴り、すぐに居住者がインターホンに出てきた。
「セールスはお断りだぞ」
「久しぶりだな。aaaだ」
それですぐにインターホンが切れ、ドアが開いた。そこにはレモン屋が立っていた。
「久しぶり。お前から来るとは珍しいじゃないか」
「ちょっと訳ありでな」
俺とギコはレモン屋の部屋にお邪魔する事にした。
 彼がお茶を運んできた。部屋の中はとてつもなく散らばっていた。
「おいおい。街に住んでた時と変わってねーな」
俺がそう言うと、彼は笑いながら答えた。
「習慣って奴さ。で、レモンは要るか?」
こいつの言うレモンとは、つまり情報の事だ。もちろん金が要るのだが。
「今日はいくらだ?」
「そうだなー・・・、最近あまり客来ないから3万Gでどうだ?」
おいおい。3万っていったら1年間は遊んで暮らせるぞ。と俺は言いそうになったが、しぶしぶ金を払った。
「へへへ、まいどー。で、何が必要だ?」
「街にアクセスできる経路で、管理人の知らないようなところがないか?」
「ちょっと待ってくれ・・・」
彼はそう言うと、机のデスクトップPCに向かった。独自の検索システムで街全体の検索をかける。
俺は茶を飲みながら奴の散らかった私物を見ていた。その中に数冊のエロ本を見つけた。
こいつはまったく変わってないな。そう思っていると、レモン屋が紙切れを持ってきた。
「OK。検索完了だ。どうやら街の管理人が見逃してる進入経路は4つある。これを見てくれ」
「・・・なるほど。今のところ一番早くいけるのは2番目のか」
「ああ。おそらくこれを使った方がいいな。用件はそれだけか?」
そのとき、ギコが口を挟んできた。
「ところでいい宿泊先は知らないか?」
「ああ、それならいい場所がある。この場所だ」
俺はレモン屋に感謝を告げ、再びエアバイクにまたがった。

 再び30分ほど走ったところに、宿泊先はあった。この辺りには珍しく、一軒家が建っている。
俺がチャイムを鳴らすと、ユウマとMEGUMIが出てきた。
「よう、ユウマ。久しぶりだな」
「aaa!?なんでここに?」
「メグリンも元気そうだな」
俺がそういうと、彼女は冗談交じりに怒った。
「だからメグリンはやめてよ!」
 とりあえず宿泊先が見つかったので、俺はギコをそこに留めて、武器屋とホームセンターで買出しをした。
帰ってくると、すぐさま中身の確認作業に入った。まずハンドガンが予備も含めて4丁。
固定式の小型機銃が2丁。グレネード発射装置が1丁。それらの銃弾。そしてさまざまな工具と金具。
最後に俺は二振りの木刀を取り出した。
「それ、なんに使うんだ?」
ギコが訊いてきたので、俺は隠さず答えてやった。
「もちろん、お前の特訓用にだ」

 その頃、街では。
「さて、これからどうしますかね」
教授を中心に、反管理システムのAAたちはテーブルを囲んでいた。
「今のところ、運び込んだ武器弾薬は大量にありますが、
 それをそれを使って戦ったとしても彼らに勝つのは難しいでしょう」
「でも、このまま野放しにしておくわけにはいかないだろ」
tカラはそう言って工場の見取り図を広げた。その一角に×印が描いてある。
「さっき潜入した奴によれば、ここにシステムの中枢があるらしい。
 おそらくここをダウンさせれば操られてるAAたちも元に戻るはずだ」
「で、敵はどれくらいいるんだ?」
モララーが口を挟む。tカラは見取り図を指差しながら言った。
「入り口に4人、倉庫に2人、中枢の近くに8人だ。それに加えてロボットも奴らの管理下に置かれてる」
「どれだけ人員を割ける?」
レモナが言った。教授が表を出しながら説明する。
「ここの防衛には少なくとも10人が必要ですね。そして街での戦闘班は30人ほど。
 おそらく10人くらいしか攻撃に回せないと思いますよ」
そのとき、救護のAAが駆け込んできた。
「教授!地下鉄のトンネル内でフサギコを発見しました!」
「怪我はしてるのか?」
「右肩を骨折していますが、意識ははっきりしています!修復は2時間ほどで終わるかと」
「わかりました。引き続き救護の方をよろしくお願いします」
救護係が立ち去ると、教授は会議に戻った。
「さて、われわれの自由のためにがんばりましょう」

 外の世界に来て二日目。
俺は朝早くギコを起こすと、戦闘訓練を始めた。
「この前のダークとの戦闘では確かに勝てたが、その程度じゃ今度はやられるぞ」
俺がそう言って木刀を構えると、ギコも構えた。
「いくぞ!」
俺はギコに斬りかかった。ギコは攻撃を防ごうとしたが、遅い。
パコーンという音とともに、ギコはぶっ倒れた。
「まだ終わってないぞ!起きろ!」
「あんた・・・さっき本気で打っただろ」
ギコが頭を押さえながら立ち上がった。俺はわざと冷たく言ってやった。
「手を抜くわけにはいかないんでな」
そして再び木刀を構える。ギコも今度は真剣に木刀を構えた。
「どうした?前より弱くなったんじゃないのか?」
「う、うるさい!」
今度はギコが斬りかかってきた。俺は楽にアイツの切っ先をそらし、足を引っ掛けた。
「うわっ!?」
転んだところで木刀を振り下ろし、ギコの顔面ぎりぎりのところで木刀を止めた。
「そんな事で彼女を守れると思ってるのか?」
「あんたに何がわかるんだ!」
「ああ、俺にはわからねーよ!お前みたいに仲のいい女がいるわけじゃねーんだ
 でもな、今のお前は弱すぎる。そんなんじゃ彼女を守れないだろう」
「・・・」
「ヤツから彼女を守りたかったら死ぬ気で特訓しろ!」
俺はそう言うと、木刀をどけた。ギコは立ち上がって、木刀を手にした。
「そうだ。それでこそお前らしい」
ギコは木刀を構えた。そのまなざしはさっきと違って迷いがない。
「言ったからには本気でこいよ」
「もちろんだ。いくぞ!」
そして1時間の激闘の末、俺はギコに負けた。ほんとにやるときゃ出来るんだよ、あいつは。

  次回予告
ついに反旗を翻した教授たち。
そしてしぃ救出のために再び街へ向かうaaaとギコ。
果たして彼らを待ち受けるものとは?
次回「反撃」
街の未来を守りきれ、教授!

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